二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第四十五話 闇に蠢くイビルの頭領 ( No.133 )
- 日時: 2012/11/11 17:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a8bifGsH)
フリージオはどんどんラスターカノンを溜めていく。
「フリージオ、あと十秒で発射よ」
そう言って、メイサは小さくカウントダウンを始める。
(くっそ、何か無いか…? 動けずとも、氷を割る…内部から力を入れる…)
時間が無い。残り七秒。
(内部から力を入れる…内部から…そうだ!)
咄嗟に、レオは考え付いた。
一か八か、この技にかける。
「ハンタマ、ビルドアップ!」
ハンタマは体こそ動かさなかったが、目つきがキッと変わった。
体の筋肉を増強させる事によって、氷に圧力をかける。
「無駄よ。あと四秒」
メイサが言った、その時だった。
氷にひびが入った。内部からの圧力に耐え切れないのだ。
「ハンタマ、もう一度だ!」
ハンタマはさらに筋肉を増強、さらに力をかける。
「三、二…」
フリージオが最大火力の鋼の砲撃を放った。
まさにその瞬間、氷が割れ、中のハンタマが飛び出す。
「何…ッ!? まあいいわ。ゼロ、発射!」
メイサは驚きをあらわにしたが、すぐに平静を取り戻し、フリージオに砲撃を支持する。
フリージオは最大火力並みの鋼の砲撃を発射。まさに絶大な威力だ。
だが、
「ハンタマ、ブレイズキック!」
あろうことかハンタマは足に炎をまとい、砲撃に突っ込む。
だが、その蹴りの威力が尋常ではない。ビルドアップを三度使ったハンタマの今の攻撃力は、計り知れない程なのだ。
ハンタマの炎のキックは、フリージオの砲撃を突き破り、進んでいく。
ついに砲撃が途切れた。だが、ハンタマの炎のキックはまだ解けていない。
ハンタマの渾身のブレイズキックが、フリージオの顔面を捕らえた。
フリージオは壁に激突するが、体を震わせ、まだ起き上がろうとする。
「止めのマッハパンチ!」
しかし、次の瞬間、フリージオの正面にハンタマが現れる。
そのまま、握り締めた拳をフリージオの顔面に叩き込んだ。
グシャ、と木製の壁を潰した音が響く。フリージオは壁に埋もれ、戦闘不能となっていた。
「戻って、フリージオ」
メイサはフリージオをボールに戻す。その時、
「師匠! レオ君!」
シャウラを下したアサツキも到着。メイサは苦い表情を浮かべると、
「この廊下の突き当たりの部屋に、私たちの元締めがいらっしゃるわ。元締めに会いに来たんでしょ? 行きたけりゃどうぞ」
そう言って、メイサは不機嫌そうに廊下の向こうへ歩き、闇の奥に去っていった。
「うむ。レオ君、今のバトル、なかなかの腕前だった」
グレースがレオに賞賛を送る。
「いえ、僕もまだまだですよ。それより、早く進みましょう。さっきのメイサの言葉が正しければ、この奥にイビルのボスがいるはずです」
「そうだったな。各自、準備はいいな?」
三人は廊下を奥へ突き進む。
廊下の突き当たりのドアが、バタン! と勢いよく開かれた。
「観念しろ、イビルのボス!」
レオが怒声と共に一歩踏み込む。グレースとアサツキも後に続く。
部屋の中には何も無かった。男が一人しかいなかった。
後ろでくくられている髪は黒く、所々髪の先が赤くなっている。
目は青く、猛獣のように鋭い。青い服を着ており、胸にはイビルの紋章がある。
右手には、金属の長い爪をつけている。何かのための機械なのだろう。
その男が、口を開いた。
「これはこれは。要注意ポケモントレ−ナーにジムリーダー、そしてチャンピオンとは、なかなかいい面子ですな」
相手を見下すような、軽い声だ。だが、レオは無視できないキーワードを確かに聞いていた。
そう、
「チャンピオン!?」
レオは思わずグレースを見る。
グレースは、仕方無さそうに首を振り。
「そうだ。私はウチセト地方のチャンピオンだ。隠しきっておきたかったが、バレてしまったらしょうがない」
チャンピオンをこの目で見られて感激のレオだが、状況を思い出し、すぐに体勢を構えなおす。
「さて、何の用でしょうか? 基本私たちイビルの者たちは貴方達のような者とは関わりを持つ事を拒んでおります。よければこのままお引取り頂きたい」
「貴様が、イビルのボスか?」
グレースはその男の言葉を無視し、質問する。
「こちらの質問は無視ですか。まあいいでしょう。いかにも、私はイビルのリーダー、マターと申します」
その男——マターは、意外にあっさり正体をばらした。
「で、イビルはここで何をしている」
グレースは厳しい口調で尋ねる。聞くだけで逆らえない雰囲気を感じ取るような鋭い言葉なのだが、
「テストですよ」
マターは軽い口調で、一瞬にしてその雰囲気を消し去った。
「テストだと?」
「ええ。この『ゲート』のテストです」
そう言って、マターは右手に付けた爪を指差す。『ゲート』という機械らしい。
「それは何の機械だ」
グレースが更に問い詰めるが、
「ここから先は教えられません。教える事も出来ますが、その場合、貴方達の身の安全は保障されなくなります」
マターは口調を変えた。鋭い口調となる。
「私としては、必要の無い血は流したくありません。ここでお引取り頂きたい。それを拒む場合、これより、貴方達の身の安全が保障できなくなります」
「構わん。話せ」
グレースは、マターの言葉に動じず、続きを要求する。
マターはため息をつき、
「よろしい。これより、私は貴方達の身の安全の保障を捨てます」
そして、右手の爪、『ゲート』を構える。
「この『ゲート』は、裏の世界や異次元空間と、この世界のゲートを作り出す機械でしてね」
それで『ゲート』。
「これを使って、こんなことも出来るんですよ」
その瞬間、マターはギラリと目を光らせ、不敵に笑う。
『ゲート』を起動させ、爪で虚空を引っかく。
すると、空間に亀裂が入り、その亀裂が穴を作る。
その穴から見えるのは、訳の分からない世界。これが裏の世界なのだろうか。
だが、その時。
そのゲートから何かが出てきた。
長大な胴体に3対、尾に2対の円錐状の突起を持ち、その部分に黒と赤の横縞を持つポケモン。先端に棘の生えた、六本の黒い羽。顔の金色の装飾部分は三日月状の鋭い形状。
「これは…!」
レオはこのポケモンを知っている。神話の本で見た事がある。
破れた世界の王とされる、神と崇められしポケモン。
グレースやアサツキもこのポケモンを知っているのだろう、驚愕をあらわにしている。
そう。
目の前にいるこのポケモンは、どう見ても伝説のポケモン、ギラティナだったのだ。
さてイビルのボスが登場、グレースがチャンピオンであることが発覚。そしてまさかのギラティナ(オリジンフォルム)登場です。何か凄い急展開ですね。何か書くこと無いので、もう次回予告行きます。次回はマター戦(というかギラティナ戦)。それでは、次回もお楽しみに!