二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第四十六話 反転世界の王 ( No.136 )
- 日時: 2012/11/11 17:27
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a8bifGsH)
有り得ない事が起こってしまった。
破れた世界の王、そして、第三の神の異名を持つポケモン、反骨ポケモンのギラティナ。
その神が、今レオの目の前にいる。
ギラティナは体をくねらせ、虚空に浮かび、そして、
「ゴギャアアアアアアアアアアアアア!」
この建物を揺るがす程の咆哮を上げる。
その眼は怒りに満ちていた。破れた世界から強引に引きずり出されたのだ、怒るのも当然のことだろう。
さらに、この最悪の状況に追い討ちをかける者がいる。
「ギラティナよ、お前の住処からお前を引きずり出したのは、そこの三人だ。今ここで、恨みを晴らしても構わないぞ!」
マターはギラティナにレオたちへの攻撃をけしかける。
ギラティナはマターの言葉が通じるのだろうか、その怒りに満ちた眼をレオたちに向け、再び咆哮する。
だがその時、グレースが一歩前へ進み出た。
「おやおや、どうしました? 降伏なら無駄ですよ。私には今のギラティナを止める術はありません」
だがそこで、
「はは」
マターはグレースの笑い声を聞いた。
だが、その笑い声は、尽くせる手段が消えたものの放つ、諦めの笑いではなかった。
本当に、笑いを耐えようとして思わず漏れてしまったような、そんな笑い声を。
「貴様は何を言っているのだ? 誰が降伏などするといった」
そして、マターはピースサインを作り、それを差し出す。
「二体だ」
「は?」
マターにはグレースが何を言っているのか分からなかった。
そんなマターの様子を察したグレースは、さらに言葉を付け加える。
「私のポケモン二体で、そのギラティナを倒してみせよう」
今度こそマターは凍りついた。
グレースの言っている事が理解できなかった。
いや、直接的には理解できた。理解できないのはグレースの心情だ。
伝説の、しかも神と言われるポケモンを、たった二体で倒そうなど、狂気の沙汰だ。
グレースはもうマターには目をくれず、ギラティナに向き直る。
「さあ来い。貴様の相手はこの私の、神聖なるポケモンたちだ」
そしてグレースは最初のモンスターボールを取り出す。
「さあ行くぞ。振り下ろされるは正義の鉄槌、全ての悪を破壊するその槌で、邪心なる神をも打ち砕け! 出でよ、メタグロス!」
グレースの一番手は、×の形をした鉄が顔に付き、四つの頑丈な鉄の足を持つ、鉄の塊のようなポケモン。
メタグロス、鉄足ポケモン。鋼・エスパータイプ。
「メタグロス、まずは冷凍パンチ!」
手足を折りたたみ、メタグロスは浮かび上がる。
猛スピードでギラティナに近づき、右手だけを伸ばし、冷気を込めたパンチで殴りかかる。
だが、そこは伝説のポケモン。効果抜群の一撃を受けたが、表情は余裕。
ギラティナは瞳に怒りを浮かべ、怒りに任せて強力な炎を打ち出す。
「怒りの炎か。メタグロス!」
メタグロスとは、四つの脳を持つポケモン。スーパーコンピュータよりも高い知能を持ち、相手の動きを先に読んで行動が出来る。
メタグロスは炎の軌道を完璧に把握、再び宙に浮き、最小限の的確な動きで確実に炎を避ける。
「思念の頭突きだ!」
そしてメタグロスは額に思念の力を込め、一気に突進、硬い額でギラティナに激突した。
顔面に命中、今度はギラティナもはっきりした痛みを感じたようだ。
しかし、すぐさまギラティナは反撃に出る。波動を思い切り凝縮した弾を、すかさずメタグロスに放つ。
この至近距離の攻撃は流石のメタグロスも避けられず、波動の一撃を喰らってしまう。
「ぐう、波動弾か。だが私のメタグロスは鋼鉄の盾よりも堅い体を持つ。その程度の攻撃では致命傷にもいたらんぞ」
確かに、その言葉通りだった。
メタグロスはすぐさま体勢を立て直し、ゆっくりと着地。
「メタグロス、メタルブラスト!」
メタグロスは鋼のエネルギーを巨大な物質に変え、一気に発射する。
だが、ギラティナは突然闇と共にその姿を消した。
「シャドーダイブか…大技だな。メタグロス、技の軌道を推測、確実に敵の一撃を回避せよ!」
メタグロスは目を閉じ、演算に入る。敵の先程までの動き、消えた位置、それらの情報から、ギラティナの予測出現場所を計算。
そしてメタグロスはカッと目を見開いた。足を一瞬で折りたたみ、思い切り横へ素早く移動する。
次の瞬間、闇からギラティナが飛び出し、先程までメタグロスがいた場所を襲っていた。
「すげえ…!」
レオは思わず声を上げてしまった。
メタグロスは、敵の一撃を正確に計算し、最小限の動きで確実に最大の成果を上げていく。
「これが私の、いや、私のポケモンの力だよ。伝説とはいえ、そのギラティナはあくまで野生のポケモン。人の育てたポケモンに比べれば、どうしても劣る部分が出てくるはずだ」
グレースは、ポケモン自身の力の差を、その部分で埋めているのだ。
それにより、伝説のポケモン相手にも互角以上に戦えるのだ。
ギラティナは怒りを眼に浮かべ、その怒りに任せて強烈な炎を放つ。
「無駄だ。メタグロス、かわしてメタルブラスト!」
メタグロスは手足をたたんで浮かび上がり、炎を的確に避けていく。
炎が尽きた瞬間を狙って、メタグロスは鋼エネルギーを巨大な質量の物質として撃ち出す。
ギラティナにまともに命中、爆発音と共に煙が上がった。
ギラティナと、チャンピオン・グレースとの戦いです。自分で書いてて何ですけど、初手のメタグロスから強いですねー。伝説のポケモン相手に、互角以上の戦いを展開しています。ゲームでもメタグロスはかなりの強ポケ。あの攻撃力から繰り出される一致コメパンの破壊力は尋常じゃない。…俺はなぜメタグロスを語っているのだろうか。伝説相手に互角以上に戦えるのは、チャンピオンであるグレースの力でもあります。次回は、ギラティナ戦の続き。それでは、次回もお楽しみに!