二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第五十話 『ガタノア』への足掛かり ( No.146 )
- 日時: 2012/11/11 23:05
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a8bifGsH)
森を抜けると、小さな町があった。
「この町は…?」
レオはマップを広げる。
この町の名はフィアタウン。小さい町、というか村にも近く、木製の家が四件ほどしかない。
ポケモンセンターはあるので、レオはとりあえず立ち寄り、ゴルドーとテペトラーを回復させた。
パンフレットを取り、レオはフィアタウンについて調べる。
『フィアタウンは、昔ながらの小さい村。村を北に進むと、海底トンネルを渡り、ラビンタウンにたどり着く。西に進むと、ダイセツ山を越え、フローズンシティにたどり着く』
名前だけだが、二つの町ともレオは知っている。
ラビンタウンはレオが行こうとしたが、土砂崩れによって警官に止められた町。
フローズンシティは、ロップルを連れていたトレーナー、フウカの出身地だ。
『この町の見所は、村の中央に開く、フィア遺跡です。遺跡にはポケモンか何かが描かれています』
とりあえずやることも無いので、レオはその遺跡へ行ってみることにした。
ポケモンセンターから出、遺跡に向かおうとしたその時、
「おやおや、あんた、トレーナーだね?」
レオに誰かが話しかける。
レオが振り向くと、そこにいたのは老婆だった。
「私はこの村の村長じゃよ。トレーナーさん、今から何か予定は?」
「ああ、今からこの村の遺跡に向かおうと思っているんですけど」
レオが応えると、村長はにっこり笑って、
「そうか。それはよかった」
村長はたいそう嬉しそうにうなずき、
「私は今、あんたに遺跡へ行くのを進めようと思ったところじゃった。この村にはあの遺跡しか見るもの無いからのう。この村に来てくれた人には、遺跡見学を勧めておるのじゃよ」
村長は歩き出す。遺跡を案内してくれるらしい。
レオも、村長について歩き出した。
遺跡とは言ったものの、入り口は洞窟のようなものだ。
中もそう広くない。大広間があるが、それだけだ。
「これじゃよ。これはウチセト地方の伝説のポケモンらしいのじゃが、何を意味するのかは一切不明じゃ」
村長が指差した先には、何かが描かれている。
二体の…ポケモンだろうか?
片方は、白い体に緑の不可解な模様が入った、二足歩行のポケモン。
後頭部には触角?が突き出、尻尾は長い。人型だが、龍に見えなくも無い。
もうう片方は、ピンク色の体に、紫と白の不可解な模様が入った、幽霊のような格好をしているポケモン。
足は無い。宙に浮いているのだろうか。幽霊よりは、こちらも龍に見えなくも無い。
「これが何のポケモンなのか、私には分からん。しかし、これには深い秘密があるのかもしれんな…」
引き止めて悪かったね、と村長は最後に添える。
そして、レオと村長はフィア遺跡の入り口に戻り、外に出ようとした。
まさにその瞬間。
「フハハハハハ! どきたまえ、そこの愚民共!」
何者かが、遺跡の入り口に立っていた。
男だ。金髪で、昔の王家のようなカールをし、服もカラフルで豪華な、昔の王のような風貌。
だが、胸にはイビルの紋章。
「イビル七将軍か…ッ!」
レオが言うと、その男は首をかしげる。
「おや、何故貴様のような愚民が、私たちの位の呼び名を知っている?」
だがその直後、閃いたように顔を上げた。
「オウ! もしや貴様、イビルの要注意人物の!」
「要注意人物? 確かあのマターもそんな事言ってたな…。で、お前は誰だ! イビル七将軍だろう?」
レオが強い口調で訊く。
「イエース。私はトゥレイス! イビル七将軍内の、ナンバー2なり!」
その男、トゥレイスは、ナンバー2をやけに強調した。
「で、ここに何しに来た。ここには何も無いぞ! ただポケモンの壁画が描かれているだけだ!」
「まだまだ甘いな。私の用は、その壁画なのだよ」
そして、トゥレイスはボールを取り出す。
「レディーゴー! ヨノワール!」
トゥレイスが出したのは、頭にアンテナを付け、腹に大きな口のある、一つ目の死神のようなポケモン。
ヨノワール、手掴みポケモン。ゴーストタイプ。
それを見て、レオもボールを構える。
「やる気か。出て来い、ハ—」
「サイコキネシス」
しかし、レオがポケモンを出す前に、ヨノワールは強い念動力でレオと村長の動きを止めてしまう。
もの凄い力だ。全く体が動かない。
「私は、バトルをしに来たのではない。あくまでこの壁画の調査なのだよ」
そう言うと、トゥレイスは壁画の所へ歩いていく。
レオは動こうとしたが、ヨノワールのサイコキネシスが強すぎて、ぴくりとも動けない。
トゥレイスは下っ端を呼び、壁画を調査していく。
だが、途中でトゥレイスは首を傾げだす。
その後、すぐにその調査は終わったらしい。トゥレイスは振り向き、レオの元に近づく。
「貴様にいいことを教えてやろう。あの壁画にある、ピンク色の龍がいるだろう?」
「それがどうした」
何とか口は動かせるレオ。
「あの龍の名前を教えてやろう。そう、あの龍の名は——」
トゥレイスは一拍置き、
「ガタノア、という名前だ」
レオの表情がはっとした顔になる。
「よし。ヨノワール、サンキュー」
トゥレイスはヨノワールをボールに戻す。
レオと村長は突然念動力が解け、地面に倒れる。
「この遺跡ははずれだな。壁画があるだけだ。私はこれで退散する」
そう言って、トゥレイスは遺跡から出て行く。
「待て!」
レオは急いで遺跡から出たが、トゥレイスはもうどこにもいなかった。
ジムも何も無い町、フィアタウン。カンナギタウンに似ているのはきっと気のせいです。そして、バトルはありませんでしたが、イビル七将軍のトゥレイスが登場。しかし、ヨノワールのサイコキネシスの強さが、トゥレイスの力を物語っています。さて、次回は海底トンネル、そしてラビンタウン。それでは、次回もお楽しみに!