二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第六十三話 イビル七将軍たちの暗躍 ( No.169 )
- 日時: 2012/11/11 23:33
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a8bifGsH)
「さあ、まずは前菜。ヨノワール、ゴー!」
トゥレイスのポケモンは、フィアの遺跡で見たあのヨノワール。
「やっぱりそいつか。だったら、バフォット、頼む!」
レオのポケモンはバフォット。サイコキネシス無効、ゴースト技今一つと、タイプ上では非常に有利だ。
「むう、バフォットか。生憎こいつは格闘技ナッシングだが…まあいい! ヨノワール、炎のパンチ!」
ヨノワールは拳に炎を灯し、殴りかかる。鋼タイプを持っているバフォットには、炎技はよく効く。
「バフォット、地震だ!」
バフォットは地面に衝撃を与えて地面を揺らし、その衝撃波でヨノワールの動きを止める。
ヨノワールは浮いているが、特性は浮遊ではないので、普通に地震を喰らった。
「チャンスを逃すな! ぶち壊す!」
バフォットはもの凄い勢いで突進、体勢を崩しているヨノワールに激突し、吹っ飛ばした。
しかし、ヨノワールは楽々起き上がる。まだまだ余裕の表情だ。
「ふん、このヨノワールが優れているのは防御面だ。その程度のアタックでは致命傷にも至るまい。ヨノワール、鬼火!」
ヨノワールは青い火の玉を発射する。
バフォットはそれを避けようとしたが、火の玉は不規則に動き、バフォットに命中してしまう。
ダメージはほとんどないが、バフォットの体には火傷が出来ていた。
「さて、これがヨノワールの力だ。相手を火傷にして攻撃力を下げ、体力をじわじわと蝕む」
得意げにトゥレイスは言った。
「くっ、バフォット、メタルブラスト!」
バフォットは鋼の強大なエネルギーを撃ち出す。
しかし、攻撃が下がっているため、ヨノワールはあまりダメージを受けていない。
「炎のパンチ!」
ヨノワールは拳に炎を灯し、殴りかかる。
「バフォット、ぶち壊す!」
バフォットはもの凄い勢いで突進、ヨノワールに激突。
お互いの技の威力は互角で、競り合い、やがてお互いが退く。
が、
「もう一度ぶち壊すだ!」
すかさずバフォットはもう一度突進、今度こそヨノワールに激突。
しかも急所に命中したようで、かなりのダメージが通っているように見える。
攻撃が下がっているといえども、急所への効果抜群の一撃は相当な威力だ。
「くっ、ヨノワール! やれるか!」
まだヨノワールは起き上がるが、体力はもう少なそうだ。
しかも、
「遅えんだよ! バフォット、メタルブラスト!」
隙を逃さず、バフォットが鋼のエネルギーをヨノワールに撃ち込んでいた。
奇襲にヨノワールは吹っ飛ばされ、これで戦闘不能になってしまう。
しかし、火傷のダメージで、バフォットもその場に倒れた。
「ヨノワール、サンキュー」
「よくやったぞ、バフォット」
お互いにポケモンをボールに戻し、
「流石イビルの要注意人物だな。だが私は貴様のような愚民には負けんぞ。さあ、ここからメインディッシュだ!」
「上等だ。僕だって何度も戦いを超えてきた。絶対負けないぞ!」
二番手のボールを取り出した。
地下三階に到達したユウは、スミレと遭遇した。
「追っ手がかなり少なくなった気がしますが、何かあったのでしょうか?」
「さあな。ま、追われにくくなったのはいいことだ」
この背景にはフウカのモニタールーム占拠が関わっている。
ヒョウカクの吹雪や、テイルーンの熱風により、モニタールームの機能がほとんどやられ、無数にある監視カメラは今3個ほどしか機能していない。
「とにかく、先へ進みましょう」
「そうだな。さっさとここを壊滅してしまおう」
二人が先へ進もうとした、その時だった。
「あら、ジムリーダーが二人もいるじゃない。これはちょっと大変ね」
突然後ろから聞こえた、流れるような女の声。
「「誰だ!」」
二人は振り向くが、そこに人はいない。
代わりに、そこにいたのはポケモン。そして、その後ろから声がする。
「シルドール、催眠波動」
白と赤を基調とする、人形のような姿に、両手と背中に盾を持つ、そのポケモン——シルドールは、催眠効果のある波動を放つ。
その波動を喰らったユウとスミレの意識を、闇に落としていった。
「ま、こんなところでしょ。シルドール、お疲れ様」
シルドールの後ろから出てきた女は、イビル七将軍のメイサだった。
地下五階の一室。
ソファーに腰掛け、その男は眠っていた。
「リゲル様、大変です! モニタールームから連絡です! 起きて下さい!」
一人の下っ端が、慌てて駆け寄ってくる。
「何だ」
リゲルと呼ばれたその男は、うっすら目を開け、いかにも面倒くさそうな口調で返事をする。
「モニタールームが制圧され、監視カメラが使い物にならないとの連絡がありました! いかがいたしますか!」
下っ端はかなり焦っている様子だが、リゲルの表情は変わらない。面倒くさそうにため息を付くと、
「そういう報告はトゥレイスにでもしとけよ。七将軍リーダーはトゥレイスだろうが」
それに、とリゲルは付け加え、
「俺様はこのアジトなんざどうでもいいんだ。俺様がイビル七将軍最強ってだけで、マターはすぐに俺様に重要な任務を与えたがる」
もう一度ため息を付くリゲル。
「せっかくだから教えてやる。俺様は強者との戦いを求めてイビルに入団した。こういう組織に入れば、反対勢力と戦える。その中に強者がいるかも知れんからな」
だが、とリゲルは続ける。
「そんな強いトレーナーは全く現れない。全くだ! ジムリーダーでは足りん。もっと強い者との戦いが、俺様は欲しいのだよ」
しかし、それに対する下っ端の反応は、リゲルにとって意外だった。
「それでしたら、いい知らせがございますよ」
下っ端は、笑ってそう言った。
「ああ?」
「実は、モニタールームを占拠した者が、こちらに向かっているらしいのです。そのトレーナー、何でも、アンタレス様のドラピオンに圧勝したほどの力の持ち主で…」
それ以降も下っ端は何か説明していたが、リゲルはもう聞いていなかった。
イビル七将軍三位のアンタレス。そのドラピオンに圧勝したトレーナー。
強者だ。それがこちらに向かっている。
「そうか…。よし、神よ、頼むぞ。俺様の欲求を満たせるような、相当の強者であってくれ!」
リゲルの顔から、思わず笑みがこぼれた。