二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第六十八話 トゥレイスは動く ( No.186 )
- 日時: 2012/11/12 00:02
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a8bifGsH)
「さあ、僕のエースの力を見せてやる! リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルが動いた。ハサーガとの距離を詰めたかと思うと、次の瞬間には尻尾の葉でハサーガを切り裂いていた。
「ぐっ、速い…ッ! ハサーガ、氷の牙!」
ハサーガは牙に氷をまとい、五つの口で一斉に噛み付きかかる。
「リーテイル、エアスラッシュだ!」
リーテイルは六つの背中の葉を振り、六つの空気の刃を放った。
五つの刃がハサーガの氷の牙を全て止め、最後の一つが殻をかぶった頭に叩き込まれた。
「くっそお! ハサーガ、炎の牙、氷の牙、雷の牙!」
再びハサーガは鎌首をもたげ、炎二つ、氷二つ、雷一つを構えて迫る。
「リーテイル、もう一度エアスラッシュ!」
再びリーテイルは葉を振り、六つの空気の刃を放つ。
「同じ手は効かんぞ! ハサーガ、回避!」
流石にトゥレイスも馬鹿ではない。ハサーガは空気の刃を避け、まず雷の牙をリーテイルに突き立てた。
「…よし、これで今度こそチェックメイト。氷の牙!」
残る四つの牙が氷をまとい、一斉に噛み付きかかる。
だが、
「リーテイル、ドラゴンビート!」
リーテイルは龍の心臓の鼓動のような音波を出し、ハサーガを吹っ飛ばす。
「何だと…ッ!」
ハサーガはまだ辛うじて起き上がるが、体力はもう残り少ない。
だがその時、トゥレイスに無線が入る。
「くそっ、こんな大事なときに! 何の用だ! 私は今バトル中だぞ!」
『すいません、トゥレイス様…! しかし、リゲル様が…』
「何? リゲルがバトルを始める? …分かった、今すぐそちらへ向かう」
トゥレイスは無線を切り、レオの方を向く。
「このバトルは中止だ。急用が出来た。ハサーガ、ゴー!」
「え? おい、待てよ——」
レオが止めようとしたが、トゥレイスはハサーガに乗り、ハサーガが力を加えて床に大穴を開け、トゥレイスとハサーガはその穴の中に飛び込んでいった。
「出て来い、トコヤミ」
「…ストータス」
シャウラの切り札は例のトコヤミ。シアンのポケモンは、岩で出来た甲羅を持つ、大きな赤い陸亀のようなポケモン。
ストータス、石炭ポケモン。炎・岩タイプ。
「ストータス、煙幕」
ストータスは鼻と甲羅から煙を発し、部屋を煙幕で覆い、視界を塞いでしまう。
「そういう戦略か。だがこいつの特性は鋭い目。この煙の中でもお前がはっきり見えるぞ」
「そう? ストータス、サンドソニック」
ストータスは地面を踏み鳴らし、地面を這う衝撃波を起こす。
「トコヤミ、地面に潜れ」
トコヤミは素早く体を地中に引っ込める。
サンドソニックは地面を「這う」衝撃波であるため、地震と違い地中では喰らわない。
「ダイヤブラスト」
素早くトコヤミは地上に現れ、青白い光線を放つ。
「ストータス、熱風」
トコヤミは高温の風を放って、ダイヤブラストを相殺し、
「マグネットボム」
磁石のような爆弾を放つ。
トコヤミは地面に潜るが、爆弾はその穴目掛けて確実に入り込み、トコヤミに吸い付き爆発する。
「むー、まだまだ。トコヤミ、シャドーボール」
トコヤミは影の弾を口から発射。
ストータスは鈍足なので、かわすのは得意ではない。影の弾の直撃を受けた。
「なかなか、強いね」
「当たり前だ。イビル七将軍には、一名除き強者しかいないからな」
お互いに集中を高めあっている、その時だった。
バゴォン! と。
天井が破壊され、巨大な蛇のようなポケモンが天井を突き破り、さらに床を破壊して下に落ちていった。
「!?」
シアンは呆然としている。
しかし、シャウラはハサーガにぶつかり、吹っ飛ばされていた。
薄い壁を突き破り、シャウラの小さな体が壁の外へ吹っ飛んでいった。
トコヤミはキョロキョロしていたが、主人を追うため、地中に潜ってしまった。
「…大丈夫かな」
敵といえども、流石にこれは心配だ。だが、その必要は無かった。
破れた壁の向こうから、氷の結晶のようなポケモン、フリージオが、気を失っているシャウラを鎖で抱えていた。
そして、もう一人。
「ふう。通路を歩いていたら突然シャウラが飛んでくるんだもの。ビックリしちゃった。あなたがやったの?」
その女——メイサはシアンの方を見るが、
「…違うようね。トゥレイスが暴れたかな」
勝手に解釈してしまった。
「さて、ボスから連絡があったし、私はこれでおさらばしようかしら。シャウラ、起きなさい」
メイサはシャウラを揺さぶるが、シャウラはフリージオの鎖に抱えられたまま目を開かない。
死んではいないようだが、衝撃が大きかったようだ。
「ま、しょうがないか。それじゃ、さようなら」
それだけ言って、メイサとフリージオ、そしてシャウラは通路の奥に消えていった。
しばらくしてからトコヤミが現れ、メイサを追っていった。
「さあ、奥を目指そう」
シアンは、何事も無かったようにその部屋を後にし、アジトを再び進んでいく。
さて、今日はこれ含め二話更新できそうです。リーテイル、強いですね。トゥレイスのハサーガを物ともしませんでした。ちなみに、シャウラはイビル最年少です。七将軍だけでなく、下っ端も含めてです。あと、シャウラの言葉の『一名除き』は…お察しください。さあ、あとはキラとフウカですね。次回はキラvsアンタレス決着。それでは、次回もお楽しみに!