二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第七十一話 雲と毒霧 ( No.197 )
- 日時: 2012/11/13 19:56
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VmxYa/ch)
「よし。出て来い、スモーガス」
リゲルの二番手は、楕円形の形をした紫色の体に、体の上下に銀色の角が付いているポケモン。傍らには赤い宝石がはめ込まれた物体が浮いている。
スモーガス、毒煙ポケモン。毒・炎タイプ。
「煙…テイルーン、お願いします」
フウカの二番手はテイルーンだ。
「おや。そいつが二番手なら、最後にもっと強いのが控えているのか」
「それは答えられませんけど、もしそうだとしたら?」
「いや、何でもないさ。始めようか、スモーガス、手始めに毒煙幕だ」
スモーガスは口を開き、紫色の煙幕を放ち、部屋を煙で覆う。
「効きませんよ! テイルーン、ハリケーン!」
対して、テイルーンは暴風を巻き起こし、毒の煙を吹き飛ばす。
だが、吹き飛ばされた煙は部屋の隅に押し返されただけで、ハリケーンが止むと再び部屋を満たしてしまった。
「発想はいいな。だが環境が悪い。この部屋には風の出入り道が無いから、空気が交換されず、煙は元のままだ」
リゲルはにやりと笑う。
ちなみに、煙が部屋全体を満たしているわけではない。部屋の上半分より少し下から上を覆っているため、トレーナーには当たらない。
「スモーガス、火炎放射」
煙幕を使う本人であるスモーガスは、煙の中身もよく見える。赤い宝石で煙の中を見て、炎を噴射。
——することが出来なかった。
スモーガスは炎を口に溜め込んだ状態で、煙を見回している。
「…? どうしたスモーガス!」
だが、スモーガスは炎を放たない。まるで、標的が見えていないようだった。
「何が起こってやがる! スモーガス、壁に火炎放射!」
スモーガスは灼熱の炎を壁に向けて放ち、壁を破壊する。
「怪しい風だ!」
さらに不思議な力のこもった風を発射し、毒煙幕を吹き飛ばす。
そして、スモーガスが標的を見つけられなかった理由が明らかになる。
頭と尻尾から出ている雲が、紫色に染まり、テイルーンの体を覆っていた。
「テイルーンは雲ポケモン。こうやって、雲や煙の中に紛れることなんて容易いですよ。毒煙幕なので、ダメージは少々受けたみたいですけど」
「そういうことかよ。スモーガス、怪しい風だ」
スモーガスは再び不思議な力の込められた風を放つ。
だが、テイルーンは逆にその風を利用して浮かび上がり、怪しい風を難なく避ける。
「面倒くせえ…スモーガス、火炎放射」
スモーガスは口を開き、今度こそ灼熱の炎を放つ。
「テイルーン、ハリケーン!」
だがテイルーンは暴風を巻き起こして、火炎放射を近づけない。
「アクアボルトです!」
すかさず、テイルーンは電気が流れた水を放つ。
スモーガスに命中。さらに電気の影響も受け、体が痺れてしまう。
「くっそ、スモーガス、ダークリゾルブ!」
スモーガスの体が闇のオーラに包まれる。次の瞬間には闇のオーラが放たれ、テイルーンに襲い掛かる。
「テイルーン、風に乗って!」
テイルーンは僅かな風を見つけ、その風に乗ってダークリゾルブを避ける。
「隙を逃すな。火炎放射」
すかさずスモーガスは灼熱の炎を放つ。
テイルーンが動いたところに丁度炎が飛び、テイルーンに炎が直撃する。
「さあ、やっと当たったか。追撃だ、もう一撃」
もう一発スモーガスは灼熱の炎を放つ。
「テイルーン、アクアボルト!」
テイルーンは電気を込めた水を放ち、火炎放射を消す。
「ハリケーン!」
そしてテイルーンは暴風を巻き起こし、スモーガスを吹っ飛ばす。
「まだだ。スモーガス、ダークリゾルブ!」
だが、スモーガスは先程受けた麻痺で、体が動かなかった。
「止めです! テイルーン、アクアボルト!」
テイルーンは電気を込めた水を放つ。
スモーガスに命中し、スモーガスはゆっくりと地面に落ち、戦闘不能となってしまった。
「…ちっ、戻っとけよスモーガス」
舌打ちし、リゲルはスモーガスをボールに戻す。
「ここまで俺様を追い込んだこと、それは褒めてやろう。だがここまでだ。俺様の最後の一体を、そう簡単に倒せると思うな」
そしてリゲルは、最後のボールを取り出す。
「出て来い、バンギラス」
リゲルの最後のポケモンは、緑色の巨大な怪獣のようなポケモン。
バンギラス、鎧ポケモン。岩・悪タイプ。
普通なら、こういう怪物系のポケモンは出て来ると吼えるものが多いが、このバンギラスは全く声を上げなかった。
静かに目を上げると、テイルーンを睨みつける。
「弱い犬ほどよく吼える…はっきり言うが、こいつは全バンギラスの中でもトップクラスのバンギラスだ」
リゲルの顔に笑みが浮く。
「その圧倒的な力を不用意に誇示しない。最小限の力で、最大限の見返りを手に入れられる」
「相当鍛えられているのが分かります。でも、負けません! テイルーン、アクアボルト!」
テイルーンは電気を込めた水を放つ。
「バンギラス、龍の舞」
バンギラスは龍のように力強く舞い、スピードと攻撃力を上げ、アクアボルトも避ける。
「こちらのターンだ。バンギラス、ストーンエッジ」
バンギラスは尖った無数の岩を放つ。先程のプラネムのものよりも強大だ。
「テイルーン、ハリケーンです!」
テイルーンは暴風を巻き起こす。
だが、その暴風でも岩を押し戻せなかった。
尖った岩がテイルーンを捕らえ、効果抜群である強烈な一発を喰らったテイルーンは、ついに倒れてしまった。
「ありがとう、テイルーン。休んでてください」
フウカはテイルーンを労い、ボールに戻す。
「相当強いですね。これなら私のパートナーも存分に戦えそうです」
「ほう。俺様のバンギラスを、倒せるとでも言うのか」
「勿論…!」
フウカは最後のボールを取り出した。
更新が遅れて、申し訳ないです。霧火さん、テイルーンの戦術はこんな感じでいいんでしょうか? 不安です。さて、リゲル対フウカ、中盤です。リゲルの最終兵器バンギラスの強さは、トゥレイスのハサーガなど足元にも及びません。さあ、この強敵相手に、フウカはどう立ち向かうのか? 次回は遂にリゲル対フウカ、決着です。それでは、次回もお楽しみに!