二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第七十二話 日陰の霊と岩の怪物 ( No.200 )
- 日時: 2012/11/13 22:43
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VmxYa/ch)
「さあ、ロップル、お願いします!」
フウカの最後の一体は、エースポケモンのロップル。心なしかレオの個体よりも強そうに見える。
「ちなみに、私がこのロップルで負けたことは一度もありません」
フウカの目は自信に燃える。
「そうか。では俺様がその記録を止めてやろう」
リゲルの言葉と同時、強烈な砂嵐が吹き始めた。
テイルーンの特性はエアロックであったため、先程までは発動していなかったが、テイルーンが倒れたため、バンギラスの特性、砂起こしが発動したのだ。
「さて、バンギラス、ぶち壊す」
バンギラスは地を蹴って突進、勢いに任せてロップルに殴りかかる。
「ロップル、受け流して!」
だがロップルは白い帽子を取り外し、闘牛士が牛を受け流すように、バンギラスの拳を後ろへ受け流す。
「追撃です! シグナルビーム!」
続けてロップルはカラフルな光線を放ち、振り返ったばかりのバンギラスを攻撃する。
だが、効果抜群にも関わらず、バンギラスにはあまりダメージが通っているようには見えない。
「岩タイプのポケモンは、砂嵐状態のとき特防が上がる。その程度の攻撃ではびくともしない」
バンギラスは吼えることはないが、再び目を上げてロップルを睨む。
「さあここからだ。数の多い攻撃は、どう防御する? バンギラス、ストーンエッジ」
バンギラスは無数の尖った岩を発生させ、一気に放つ。
対して、ロップルは身軽なステップで次々と岩を避けていく。
だが、フウカは分かっている。
長期戦になると非常に不利だ。常に砂嵐が吹き荒れているため、ロップルはちょっとずつではあるがダメージを受けている。
(このままだと危険です…早めに決着をつけないと)
「ロップル、ピッカリ玉!」
ロップルは黄色い玉を投げつける。
玉がバンギラスに当たると、その玉は炸裂し、閃光を放つ。
「アイスバーンです!」
リゲルとバンギラスの視界を封じている間に、ロップルは氷の衝撃波を放つ。
閃光が消えると、バンギラスは下半身が氷付けになっていた。
「なるほど、視界を奪いつつ、その間に動きを止めてしまう、か。いい作戦だ」
そう言いながらも、リゲルの表情は変わらない。シグナルビーム以外に有効打がないのを見抜いているのだろう。
「ロップル、シグナルビーム!」
フウカはリゲルの言葉に答えなかった。ロップルはカラフルな光線を放ち、バンギラスは動けず、光線の直撃を喰らう。
だが、やはりバンギラスに大きなダメージは無さそうだ。
「さて、そろそろ脱出か。バンギラス、怒りの炎」
バンギラスは怒りのように燃え盛る炎を放ち、氷を溶かす。
「もう一撃だ。このように攻撃範囲の広い技なら、どう防ぐ?」
さらにもう一度バンギラスは怒りのように燃え盛る炎を放つ。
「これなら! ロップル、跳ね返して!」
ロップルは帽子を構えて、炎を跳ね返す。
バンギラスに炎が命中、効果今ひとつゆえダメージは少ない。だが、ここでフウカに運が傾いた。
バンギラスの腹に、赤い傷が出来ている。炎を喰らい、バンギラスは火傷状態になっているのだ。
「火傷か…。攻撃力が下がり、ダメージも受ける。面倒くせえな。だが、俺様のバンギラスはその程度ものともしない」
バンギラスが初めて声を上げた。低く唸り、ロップルを睨みつける。
「さあ、バンギラス、ぶち壊す」
バンギラスが拳を握り締める。地を蹴って動こうとした、その時だった。
「リゲル、撤収だ。今すぐこいつに乗れ」
先程トゥレイスが破壊した天井から、ポケモンが降りてくる。
オレンジ色の、尻尾に炎を灯したドラゴンポケモン、リザードンだ。
そのリザードンには、三人の人影が。アンタレス、カペラ、そして…マター。
同時に、この部屋の扉が開き、レオ、キラ、チヅル、シアンの四人が駆け込んでくる。
「くっ…マター!」
この中で唯一マターを知っているレオが怒鳴る。
マターはそれには答えず、リゲルの方を向く。
「クルサたちから、実験に成功したとの報告があった。このアジトはもう用済みだ。撤収するぞ」
リゲルは舌打ちし、渋々バンギラスを戻すと、リザードンに乗る。
…前に、泡を吹いているトゥレイスをリザードンに乗せ、それから自分も乗った。
「そこの五人組。もうすぐ、私たちの目的が実現します。あとはフローズンシティにて実験を確認すれば、ガタノアの居場所を見つけ、呼び出すだけ。何をしても無駄です。では、さらば!」
それだけ言って、マターはリザードンに上昇を指示し、飛び去っていった。
「すまない。ジムリーダーの癖に、何の役にも立てなかった」
「僕もです。不意打ちを喰らったとはいえ、あまりに情けない」
ラビリン図書館に戻った七人と博士。まずジムリーダーが頭を下げた。
「いや、謝ることなんてないです。僕たちも最終的に奴らを逃してしまった」
レオたちはジムリーダーをかばう。
「まあ、今回のことはしょうがない。問題は次だ。確か、実験が成功したと言っていたんだよね?」
コウラン博士が、話題を本題に持っていった。
「奴らはフローズンシティと言っていたらしいね。スミレ、シオンに連絡を頼む」
「分かってる。まあシオンなら大丈夫だとは思うが」
といいつつ、スミレは一旦部屋の外に出る。
「さて、こちらでは引き続き、ガタノアについて調べていくよ」
博士はそう言った。
とりあえず、次に目指すのはフローズンシティだ。
長かったイビルアジト壊滅編、ついに完結です。最後のリゲル対フウカを期待していた人、こういうわけの分からない展開になって本当に申し訳ありません。とりあえず、次回はフローズンシティの前、ダイセツ山です。それでは、次回もお楽しみに!