二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第七十四話 旅人 ( No.204 )
日時: 2012/11/13 22:45
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VmxYa/ch)

ウェイガは、崖から飛び降りた。上手く着地したのか、特に怪我は無いようだ(相当足が痺れているようだが)。
「まあいいわ。標的変更よ、シルドール、催眠波動」
シルドールはマカドゥスの方を向くと、催眠作用のある波動を放つ。
「マカドゥス、かわして電磁波だ!」
マカドゥスは素早い動きで波動を避けると、弱い電撃を放ち、シルドールを麻痺させる。
「くっ、シルドール、ダイヤブラスト」
「怖い顔だ!」
シルドールは青白い光線を放とうとしたが、それよりも早く、マカドゥスが憤怒の形相でシルドールを睨みつけ、シルドールの動きを止めてしまう。
「十万ボルト!」
その隙を逃さず、マカドゥスは強烈な電撃を放つ。
本来ならこの攻撃でも耐えられるシルドールだが、今は殻を破るの効果で耐久が下がっている。
さらに、ロップル戦でのダメージも負っていたため、この電撃でシルドールは戦闘不能になってしまった。
「あー、戻って、シルドール」
メイサはシルドールをボールに戻す。
「まだよ。私にはまだポケモンが二体残ってる。この子達だって弱くないんだから」
だが、
「それでも二体一だ」
レオもいる。一旦ロップルを戻し、別のモンスターボールを構えている。
「くう…それでもまだよ。フローズン側にはシャウラがいる。シャウラを呼べば、こちらも二人よ」
あくまでも食い下がってくるメイサ。普段のメイサならこの時点で引き下がるであろう。
メイサの態度からも、この作戦がいかに重要であるかを理解することが出来る。
しかし、
「よし、これで全部か。なら」
「私たちも加わって、四対二になるけど?」
最高のタイミングで、キラとチヅルが下っ端を片付ける。
「ぐっ…」
今度こそメイサは押し黙ってしまう。そして、
「(そ、そうよね。よく考えたらシャウラだって今すぐ来られる訳じゃないし、この状況だと四対一? 絶対無理じゃないの)」
何かをボソボソと呟く。そして、
「しょうがないわね。クルサも成功したって言ってたし、もういいか」
どうやら逃げる気らしい。
「逃がさないぞ!」
レオが怒鳴り、四人は一歩進み出る。だが、
「ご指名ですよアリンセス、回復指令」
メイサはアリポケモンのアリンセスを出し、アリンセスは無数の蟻を呼び出す。
蟻はアリンセスとメイサに纏わり付き、蟻が去っていったときにはもうメイサはどこにもいなかった。
「ちっ、逃げられたか…!」
舌打ちするキラ。
「逃がしてしまった以上は仕方あるまい。奴らの目的地は分かっているだろう? ならば追おうではないか」
ウェイガは意気揚々と言ったが、ふと何かに気付いたように三人の方を向く。
「改めて自己紹介しておこう。私はウェイガ。こいつは相棒のマカドゥス。二人でウチセト地方を旅している」
ウェイガの言葉と共に、マカドゥスも一声吼える。
「私には幼き頃の記憶が無い。こうして旅を続けていれば、少しは昔の記憶が戻せるかもしれないと思い、旅を続けて—ッ!?」
突然、ウェイガの表情がつる。
「ど、どうしました?」
三人がびっくりし、不安そうに聞く。ウェイガは答えず、すぐにポケットから小さいビンを取り出し、中の飲み物を少し飲んだ。
「—ふう。すまなかった。これを定期的に飲まないと、発作が出てしまうのでな」
元のウェイガに戻った。
「それより、フローズンシティに向かおうではないか。イビルが何かとんでもないことを起こしているらしい」
「そ、そうでしたね」
「行きましょう!」
そして、四人はフローズンシティへ向けて走り出す。


フローズンシティ。
冬でもないのに雪が降り、雪が積もり、おとぎ話のような可愛い家が並んでいる、幻想的な町だ。
女性にはとても人気がありそうだ。
だが、町の様子がおかしい。霧が濃く、さらに人っ子一人見当たらない。
「どうなってんだ…?」
レオが呟く。
その時、遠くで爆発音が起こった。
四人は顔を見合わせると、爆発音が聞こえたほうへ走っていく。
もう一度爆発音が聞こえた。今度は近い!
すると、人影が見えた。警官だ。
その警官は四人を見るなり、近づいてきた。
「君たち! 今は外出は危険だ。昔の着物を着た訳の分からない男が、この町のジムリーダーと戦っている。今は避難していなさい!」
「僕たちはそのジムリーダー、シオンさんを助けるために、ラビンジムのスミレさんに頼まれてきました。ここを通してください」
レオが交渉に出る。警官はなかなか認めてくれなかったが、最後には理解し、四人を通してくれた。
そして、四人はついに戦う二人の人を見つけた。
片方は、傘帽子を被り、昔の旅人のような袴風にコーディネートされたイビルの制服を着た男。
イビル七将軍のクルサ。
対するは、黒いショートヘアー、首にヘッドホンをぶらさげ、水色のコートにジーパンを着用の、アサツキより少し年上くらいの女性。
クルサの右腕には、変な機械が付いている。箱の先端に、黄色いアンテナが付いたような機械だ。
「ぶひゃはははは、流石にジムリーダーでも、こいつを止めることは出来へんみたいやな!」
クルサはやけに自慢げだが、そのポケモンの姿は霧に隠れて見えない。
「くっ…フローリア、まだ行けるわよ。冷凍ビーム!」
その女性——おそらくシオンだろう——のポケモンは、雪女のような美しいポケモン、氷タイプのフローリア。
フローリアが氷の光線を放つ。
だが、その瞬間、暴風が起こり、冷凍ビームが跳ね返された。
光線はフローリアを貫き、フローリアは倒れてしまう。
「なんて事…フローリアまで…」
絶望的な表情を見せるシオン。
だが、その暴風で霧が少し晴れ、クルサのポケモンが明らかになる。
水色の鳥ポケモンだ。氷の鶏冠に大きな翼を持ち、尾羽は長く、体は青白く輝いている。
その瞬間、四人は言葉を失った。

そのポケモンは、氷の神と言われる伝説のポケモン、フリーザーだったのだから。



さて、フローズンシティです。クルサ久しぶりの登場、さらに新キャラ、ジムリーダーのシオン。そしてまさかのクルサが伝説のポケモンを使っているという、掟破りのバトルが展開されています。その謎については次回明らかに。それにしても、もう七つ目のジムってことは、もう終盤まで来てるのか…さて、次回はクルサの、イビルの謎編。それでは、次回もお楽しみに!