二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第九十七話 地獄門の番犬 ( No.245 )
日時: 2012/11/17 19:07
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Dj5QpmsJ)

一週間後。
レオは、再びソルナジムを訪れていた。
レオはあれから一週間、毎日バトルクラブに通い、ポケモンと共に特訓をして来たのだ。
レオは今、自信に満ちている。
「お願いします!」
大きく叫んで、レオはジム内の扉を開ける。
スタジアムの反対側に佇むその男、ザント。
右腕は無く、左足は義足だが、華奢で弱そうな雰囲気を一切見せないその男は、入って来たレオをじっと見据える。
「…来たな」
ザントは短く言う。
「はい、僕はまた戻ってきました。今度は特訓を重ねに重ねた…前の僕とは違いますよ!」
自信たっぷりにレオは言葉を返す。
「そのようだな。今までの者とは目の輝き方が違う」
ザントは小さく笑い、
「本気で行かせてもらうぞ。前は四体だったが、今度は五体で行かせてもらうぞ。五体五の勝負だ」
「臨むところです。絶対に負けません!」
レオ対ザントのバトルが、再び始まる。


「まずは俺からポケモンを出そう。出て来い、ヘルガー!」
ザントの一番手は、黒い狼のような姿に、二本の白い捻れた角、悪魔のような尻尾、そして首には白い髑髏を付けたポケモン。
その姿はまさに地獄の番犬。ヘルガー、ダークポケモン。悪・炎タイプ。
「サザンドラじゃないのか…だけどこいつもなかなかヤバそうだな。ここは頼むぞ、テペトラー!」
レオの一番手は、タイプ上有利なテペトラー。スタジアムに出ると、体勢を取り、ヘルガーを睨み付ける。
「特訓の成果とやらを、見せてもらおうか」
「上等です! テペトラー、まず一発ぶち込もうか! ハイドロポンプ!」
テペトラーは口から大量の水を噴射する。一週間前と比べ、大幅にパワーアップしている。
「ほう…ヘルガー、ダークロアー!」
ヘルガーは悪意に満ちた咆哮と共に、もの凄い勢いの闇の衝撃波を放つ。
だがハイドロポンプも押し負けない。互角に競り合い、やがてお互いに消滅する。
「おや、こいつのダークロアーに押し切られなかったのか? ならばヘルガー、放電だ!」
ヘルガーは辺り一面に電撃を撒き散らす。
これは避けられず、テペトラーは電撃を喰らってしまう。喰らってしまうが、
「負けんな! テペトラー、波動弾!」
テペトラーは電撃など気にせず、波動を凝縮した弾を放ち、テペトラーを吹っ飛ばす。
「なるほど、特訓の成果は確かに出ているようだな」
「まだまだ。これだけじゃないですよ。テペトラー、お前の新技を見せるぞ」
レオのポケモンは、全員特訓によって新しい技を覚えたのだ。そして、このテペトラーの覚えた技は、

「テペトラー、インファイト!」

テペトラーは守りを捨てて、ヘルガー目掛けて突撃。
まず拳を叩き込み、そしてヘルガーに怒涛の連続攻撃を叩き込む。
そして最後に、渾身のキックでヘルガーを思い切り叩き飛ばした。
「ふん、なかなかやるようだな。では行くぞ、こっちも必殺技を放つとするか」
そして、ザントはカッと目を見開いた。

「ヘルガー、地獄の炎!」

ヘルガーは口から激しく燃え盛る、地獄で燃えるような赤黒い炎を放つ。
「何だ!? テペトラー、ハイドロポンプ!」
テペトラーは大量の水を噴射するが、その水は炎に難なく蒸発させられ、その赤黒い炎がテペトラーを捕える。
しかも、名前からして炎技だが、テペトラーはやけにダメージが大きい。
「このダメージ量は…」
「地獄の炎、こいつは便利な技でね。効果今一つの相性を一つ打消し、ついでに貰い火等の特性も無効化する」
つまり、テペトラーには効果今一つではなく、等倍となってしまったということ。
「そういうことか…テペトラー、やれるか?」
テペトラーは確かに頷く。
「よっし! テペトラー、波動弾だ!」
「ヘルガー、ヘドロ爆弾!」
テペトラーは波動を凝縮した弾を放つが、ヘルガーはヘドロの塊を連続で発射し、波動弾を打ち消す。
「ダークロアー!」
続いてヘルガーは悪意に満ちた咆哮と共に闇の衝撃波を放つ。
「テペトラー、跳び上がれ!」
テペトラーは地を蹴って思い切り跳び上がり、ダークロアーを避ける。
「ハイドロポンプ!」
そしてその上空から大量の水を噴射、ヘルガーにまともに命中。
「もらった! インファイト!」
テペトラーはもはや守りなど考えない。一直線にヘルガー目掛けて突撃する。
「っ、ヘルガー、地獄の炎!」
ヘルガーは何とか体勢を立て直し、赤黒い炎を放とうとするが、少々遅かった。
テペトラーの連続攻撃がヘルガーを捕え、そして、最後の渾身のキックで思い切りヘルガーを吹っ飛ばした。
「何ッ!?」
ザントが慌てて吹き飛んで行ったヘルガーの方を振り返る。
ヘルガーは戦闘不能となり、壁にぶつかって倒れていた。
「よくやった、ヘルガー。休んでいろ」
ザントはヘルガーをボールに戻す。表情が読めない。
「まさか、俺から先手を奪うとはな。このヘルガーは先鋒戦ではほとんど負けないのだがな」
「言ったでしょ、厳しい特訓を重ねたって。絶対に負けません」
「…そうか」
ザントは特に表情を変えず、次のボールを取り出す。



ザントへのリベンジマッチ、開幕です。レオはパワーアップしたテペトラーを繰り出し、先鋒のヘルガーをいきなり倒します。しかし、勝負は五体五。勝敗はまだまだ分かりません。ザントの新メンバーにもご期待下さい。さて、次回は言うまでもなく続きです。それでは、次回もお楽しみに!