二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第九十八話 悪党の本気 ( No.246 )
日時: 2012/11/18 06:45
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9nuUP99I)

「次はこいつだ。出て来い、ズルズキン!」
ザントの二番手は、オレンジ色のトカゲ人間のような姿に、赤いトサカ、脱皮した時に出来たのであろう皮を着たポケモン。
ズルズキン、悪党ポケモン。悪・格闘タイプ。
だが、ズルズキンはテペトラーをギロリと睨むと、胡坐をかいて座り込んでしまう。
「…舐めやがって。テペトラー、インファイト!」
レオは思わず暴言を吐いた。
テペトラーはそんなズルズキン目掛けて、もの凄い勢いで突っ込む。
「別に舐めてなどいない。こいつのバトルスタイルだよ」
軽くザントは返し、
「跳び膝蹴りだ!」
ズルズキンは立ち上がり、突然地を蹴って跳び出す。
テペトラーの一発目を首を横に振って避け、強烈な膝蹴りをテペトラーの腹に叩き込んだ。
「な…ッ! テペトラー!」
ヘルガー戦でもダメージがあったテペトラーは、今の一撃で戦闘不能となってしまう。
ズルズキンは再び座り込む。
「ありがとうテペトラー。しっかり仕事を果たしてくれたよ」
レオはテペトラーを労い、ボールに戻す。
「舐めてたのはこっちだったみたいですね…今のはやられましたよ。だけどまだ四体四だ。頼むぞ、フィニクス!」
レオの二番手は、飛行技を持つフィニクス。ハンタマはもう少し取っておきたい。
「フィニクスか。確か特性は貰い火だったな」
「ええ、だから炎技は効きませんよ。フィニクス、まずはエアスラッシュ!」
フィニクスは羽ばたき、無数の空気の刃を放つ。チヅルのコクジャクを真似た特訓を重ねたため、その数はかなりの数だ。
「ほう、ここでも特訓の成果は出ているな。ズルズキン、防御!」
ズルズキンは立ち上がると、脱皮した際の皮を被って、エアスラッシュから身を守る。
なかなか機能したようだ。ズルズキン本体にはあまりダメージが通っていない。
「ちっ、だったら今度は、ドラゴンダイブ!」
フィニクスは上空へ飛び上がり、すざましい殺気と共に急降下する。
「勢いも殺気もパワーアップしているな。こいつはズルズキンでは厳しいか…」
だが、ここのジム独自のルールで、お互いにポケモンの交代禁止というのがある。
しかし、

「ズルズキン、ドラゴンテール!」

急降下してくるフィニクスを打ち返すように、ズルズキンは思い切り尻尾を振るってフィニクスに叩きつける。
すると、フィニクスは大きく吹っ飛ばされ、ボールに戻ってしまった。
「!?」
そして別のボールからポケモンが飛び出す。
出て来たのは、相性的に不利であるバフォットだ。
いきなりの事態に困惑するレオ。
「何が起こったか分からない、という顔をしてるな」
ザントの表情には、微笑が浮かんでいる。
「ドラゴンテールはダメージを与えるだけでなく、それを喰らった相手を強制的にボールに戻し、別のポケモンを引きずり出す。非常に便利な技だ」
確かに、使う側にしてみれば便利だ。そして、使われる側にしてみれば大きく不利である。何せ、作戦を大きく崩されてしまうのだ。
「…まあ、こうなってしまったらしょうがない。行くぞバフォット!」
レオの声に応えるように、バフォットは咆哮を上げる。
「さあバフォット、まずはメタルブラスト!」
バフォットは強大な鋼エネルギーを発射する。
立ち上がったズルズキンの隙を逃さず、メタルブラストが直撃するが、
「ズルズキン、復讐だ!」
ズルズキンにはレオが思ったほどのダメージは通っていない。すぐさまバフォットに接近し、攻撃の恨みを拳に込めてバフォットを殴り飛ばす。
「ズルズキンが本来優れているのは耐久。しかし、攻撃力もそこそこあり、攻守共に優れたアタッカーとしても採用できる」
「なるほど、どうりでダメージが少ない訳だ。だったらバフォット、お前の新技を見せてやれ!」
レオの言葉を受け、バフォットは再び大きく吼える。

「バフォット、大地の怒り!」

バフォットが大きく地面を揺らす。
地面が崩れ、大量の瓦礫がズルズキンに襲い掛かる。
「やるな。ズルズキン、防御!」
ズルズキンは皮を被って、瓦礫から身を守るが、耐え切れず、遂に吹っ飛ばされる。
ズルズキンは壁に激突するが、被っていた皮が衝撃を抑え、まだ倒れていない。
「随分と手荒い必殺技だ。ズルズキン、復讐!」
ズルズキンは壁を蹴って突撃、恨みを込めた拳を振るう。
「ぶつかってやる! バフォット、メガホーン!」
バフォットも堅い角を構えて突進する。
拳と角が激突、威力は互角で、お互いに一旦退く。
「バフォット、メタルブラスト!」
そこにバフォットがすかさず強大な鋼エネルギーを撃ち出す。
「ズルズキン、悪いがここは耐えてくれ!」
ズルズキンは皮を被って防御の体勢を取り、メタルブラストの直撃を真正面から受ける。
それでも、ズルズキンは耐え、まだ立ち上がる。
「これでどうだ! バフォット、メガホーン!」
バフォットは角を構えて、猛スピードで突進する。
しかし、

「貰った。ズルズキン、跳び膝蹴り!」

待ってましたとばかりに、ズルズキンは地を蹴って勢いよく跳び出し、バフォットの角を首を振って避けると、渾身の膝蹴りを叩き込む。
「しまッ…!」
バフォットは勢いよく吹っ飛ばされる。
効果は抜群で、四倍のダメージ。
これを耐え切ることは出来ず、バフォットは戦闘不能となってしまう。
「…バフォット、よくやった。休んでてくれ」
レオはバフォットをボールに戻した。ズルズキンは着地すると、再び不良のように座り込む。
「ザントさん、流石ですね。そのズルズキン、相当な強さだ」
「当たり前だ。俺が育てたポケモンだからな」
ザントは特に表情を変えずにそう返す。
「次のこいつでそのズルズキンを止めます。そして勝つのは僕だ!」
レオはそう叫んで、次のボールを取り出す。



レオ対ザント、その二。ザントの新鋭、ズルズキンが登場、その暴れっぷりを見せてくれています。テペトラーを確実に下し、ドラゴンテールでレオを惑わせ、バフォットまで倒すなど、相当強いです。あと、前回のヘルガーの技、地獄の炎は僕のオリ技となっています。前作でもちらっと登場しているので(最後の秀夜戦で使用)、よかったら見てみて下さい。ま、次回も続きとなりますね。それでは、次回もお楽しみに!