二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百一話 終焉を告げる悪龍 ( No.251 )
- 日時: 2012/11/18 16:32
- 名前: 星屑 ◆HI8wW8o9Hw (ID: 57S6xAsa)
「サザンドラ、大文字!」
四メートル強の怪物、サザンドラは雄叫びを上げると、轟音を上げて燃え盛る大の字型の炎を放つ。
「当たらなければいい! リーテイル、かわしてリーフブレード!」
リーテイルは大文字の隙間を最小限の動きで掻い潜り、一気にサザンドラとの距離を詰め、尻尾の葉でサザンドラを切り裂く。
「龍の波動だ!」
サザンドラは素早く振り返ると、龍の力が凝縮された波動を放つ。
「リーテイル、来るぞ!」
レオの言葉でリーテイルは急上昇、波動を避け、
「エアスラッシュ!」
羽ばたいて大量の空気の刃を放つ。
「龍の波動!」
しかし、無数の刃に切り裂かれているにも関わらず、サザンドラは龍の波動を放つ。
ここでの反撃は予想できず、リーテイルは波動を喰らって吹っ飛ばされる。
「八年以上前から、俺は何度も何度も強大なトレーナー達を倒してきた。この程度恐れる霊ではない! サザンドラ、大文字!」
ザントの叫びに呼応するようにサザンドラは吼え、大の字型の炎を放つ。
「大文字は当たれないな。リーテイル、かわしてドラゴンビート!」
リーテイルは素早く体勢を立て直し炎をかわすと、龍の心臓の鼓動のような音波を放つ。
「サザンドラ、大地の力!」
だが、サザンドラの真下から大量の土砂が噴き出し、音波を相殺する。
「龍の波動!」
そして間髪入れずに龍の波動を発射。
「リーテイル、もう一度!」
リーテイルはもう一度音波を放つが、やはり龍の波動の方が強く、音波は破られてしまう。
しかし命中した龍の波動はある程度弱められており、大したダメージではない。
「エアスラッシュ!」
そこへすかさずリーテイルは反撃の無数の空気の刃を放つ。
サザンドラを切り裂くが、
「大文字!」
やはりサザンドラは動じない。
大の字型の炎を放って反撃。
リーテイルはすぐさま回避したが、炎がリーテイルを掠めた。
「危ねえ…リーテイル、リーフブレード!」
リーフブレードはサザンドラに急接近。
「大文字三発!」
サザンドラは執拗に大文字を放ってくるが、リーテイルはそれらを上手く潜り抜け、尻尾の葉でサザンドラを切り裂く。
「ドラゴンビート!」
「龍の波動!」
リーテイルは龍の音波を、サザンドラは龍の波動を放つ。
今度はお互いにぶつかることなく通り抜け、それぞれに命中。
「まだまだ。サザンドラ、大文字!」
サザンドラは大の字型の炎を放つが、
「もう大文字は攻略済みです! かわしてリーフブレード!」
リーテイルは炎を上手く掻い潜り、尻尾の葉を振りかざす。
「龍の波動!」
しかし、至近距離からのサザンドラの龍の波動はかわせず、リーフブレードで波動を相殺。
「もう一撃だ!」
サザンドラはその隙を狙って、もう一度波動を放つが、既にリーテイルはそれを読み、サザンドラと距離を取っていた。
龍の波動を、余裕を持って避ける。
(たった一週間で、ここまで成長するとは…)
これまで、ザントは初見の挑戦者は全員倒してきた。
リベンジでは何回も負けているもののい、1ヶ月以上特訓してくる者が大多数。
一週間でここまで成長したトレーナーなど、ザントは見たことがない。
(『あいつ』以上、か)
この挑戦者は、八年前に倒した救世主と同じ目をしている。
だからこそ。
ザントは全力を以てレオと戦う。
「サザンドラ、クリムゾンエイト!」
サザンドラの必殺技が放たれる。
血塗れた真っ赤な八つの花弁のような光線が襲い掛かる。
だが、レオは怯まなかった。
リーテイルの必殺技に賭ける。
「リーテイル、ハードプラント!」
リーテイルの叫びと共に、大地が割れ、太く頑丈な無数の根が飛び出す。
無数の根は一斉に進撃を開始する。
八つの真紅の光線と、無数の強靭な根が激突。
お互いに激しくせめぎ合い、一歩も引かない。
しかし、遂に拮抗が破れる。
光線が根を引き裂いた。無数の根は次第に勢いを失い、八つの光線に貫かれた。
光線はそのまま直進し、リーテイルを捕らえた。
リーテイルがその場に崩れ落ちる。ハードプラントで威力が弱まっていたのが救いで、戦闘不能ではない。ないが、
「だが、この辺りが限界のようだな」
その言葉にレオは歯噛みしたが、確かにザントの言葉通り、リーテイルは満身創痍、立ち上がるのがやっとと言ったところ。
ザントはうっすらと笑った。
たかが一週間の特訓では、やはりザントには勝てない。
特にこのサザンドラは、今までのザントの手持ち全員を相手取ることが出来る。
初手のヘルガーが敗れた時は少々焦ったが、やはりまだこのトレーナーは自分に勝てる器じゃない。
「まあ、一週間の特訓でここまで成長したことは誉めてやる。もう少し特訓を積んでこい。サザンドラ、大文字!」
サザンドラは留めの一撃とばかりに、大の字型の炎を放つ。
リーテイルに向かって一直線に迫り、爆発を起こした。
勝った。
リーテイルの今の状態で、今の攻撃を避けられるはずがない。
この煙が消えれば、リーテイルが倒れているはずだ。
しかし。
それはあくまでも、ザントの考えでしかない。
突如、一陣の緑の風が突き抜け、サザンドラを切り裂いた。
「何ッ!?」
慌ててそれを目で追うザント。
リーテイルは、倒れてなどいなかった。
上空から、静かにサザンドラを睨み付けていた。
「僕のリーテイルは、これくらいで倒れるようなやわなポケモンじゃありませんよ」
自信を持ってレオは言い放つ。今の大文字でリーテイルが倒れたなど、微塵も考えなかった。
サザンドラは不意打ちのリーフブレードを喰らい、しかも急所に当たったようで、明確な痛みを露わにしている。
しかも、今リーテイルは、特性『深緑』が発動している。
「確かに、僕のリーテイルはそのサザンドラのような最強の肩書きは持っていません。僕の手持ち全てを相手できるわけではない」
でもそれは、とレオは続け、
「僕の仲間たち六匹は、全員が強いから!」
ザントはその言葉を聞き、微かに笑う。
理屈にもならない理由。しかし、その言葉には確かな自信があった。
「いいだろう。そうとなれば、こちらも最大の力を持って相手をしよう!」
ザントの叫びに応えるように、サザンドラも盛大に吼えた。
「サザンドラ、最大火力のクリムゾンエイト!」
「リーテイル、最大パワーでハードプラント!」
サザンドラは血のような真紅の八つの花弁のような光線を、リーテイルは大地を揺るがすほどの力を持つ無数の根を放つ。
これだけの状態ならば、サザンドラに軍配が上がる。
しかし今、リーテイルは、特性『深緑』が発動している。
格段に強化された無数の根は、拮抗の末、遂に真紅の光線を弾き飛ばした。
行く手を防ぐものが無くなった根は待ってましたとばかりに進撃し、瞬く間にサザンドラを覆い尽くしてしまった。
「…ここまでか」
根が過ぎ去ると、最強の怪物サザンドラは、遂に戦闘不能となり、目を回していた。
「負けるなどとは微塵も考えていなかったぞ。見事だ」
ザントは素直にレオを賞賛する。
「たった一週間で、人間はここまで成長出来るんだな」
そして、ザントはジムバッジを取り出す。
金色に輝いており、アルファベットのBとSが繋がっているような形だ。
「ソルナジム勝利の証、そしてウチセトのジムを全て制覇した証、アルドラバッジだ」
「ありがとうございます!」
遂に、レオは八つ全てのバッジを手に入れた。