二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 番外編三話 溢れる闘志 ( No.259 )
- 日時: 2012/11/18 16:36
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 0sokIT7I)
双方の必殺技が激突し、爆風が巻き起こる。
「ぐっ……!」
「……ッ!」
爆風に耐えようと、身を屈める二人。
煙が消えると、まずジバコイルが目を回して倒れていた。
サムラダケはまだ立っていたが、フレアドライブの反動が来て力尽き、倒れてしまった。
「サムラダケ、ナイスファイトだ。戻って休んでくれ」
「よくやったぞ、ジバコイル。ゆっくり休め」
お互いにポケモンをボールに戻し、次のボールを取り出す。
「今のところは互角か」
「そのようだな。勝負はここからだ、行くぞ!」
まずはグレースが動く。
「闘志溢れる剛力の戦士よ、戦場を駆け巡れ、力で悪を打ち砕け! 出でよ、ガッツロス!」
グレースのポケモンは、強靭な顎と鋏を持つ、焦げ茶色の四足歩行の虫ポケモン。
ガッツロス、鍬形ポケモン。虫・地面タイプで、カイロスの進化系。
「ふん、悪タイプキラーのつもりか。出て来い、モアドガス!」
ザントのポケモンはモアドガス。
ガンをとばし、煙を吹き出して、ガッツロスを威嚇する。
「まずは私から行くぞ。ガッツロス、ストーンエッジ!」
ガッツロスは尖った無数の岩を撃ち出す。
「モアドガス、雷!」
対してモアドガスは雷に匹敵する超高電圧の電撃で岩を相殺すると、
「大文字!」
すぐさま大の字型の炎を放つ。
「ガッツロス、もう一度ストーンエッジ!」
ガッツロスはもう一回無数の尖った岩を放って炎を打ち消し、
「襲撃だ!」
羽を開いたかと思うと一瞬でモアドガスの背後へ回り、鋏を振るいモアドガスを吹っ飛ばす。
「続けてインファイト!」
吹っ飛んでいくモアドガスにすぐさま追い付き、ガッツロスは打撃を叩き込もうとするが、
「モアドガス、やれ」
ザントの一声でモアドガスは体の穴から大量の毒ガスを発射。
技ではないので毒にはならず、ダメージもないが、ガッツロスの動きを止めるのには十分。
「大文字!」
その隙を逃さず、モアドガスの大の字型の炎がガッツロスに直撃する。
ガッツロスは空中で大きく体勢を崩すが、何とか着地。
「危険な毒素!」
続けてモアドガスは有害極まりない毒素の塊を放つ。
「ガッツロス、潜る!」
だがガッツロスは素早く地面に潜って毒素を避けると、すぐさま地面から飛び出し、モアドガスを攻撃する。
効果抜群、これはなかなかのダメージだ。
「潜るはなかなか便利な技だ。地中に潜って相手の技を回避出来、なおかつ攻撃までの時間も穴を掘るより短い優れものさ」
若干威力は落ちるがな、とグレースは付け足し、
「ガッツロス、襲撃!」
ガッツロスは今度は一瞬でモアドガスの正面に現れ、鋏をモアドガスに振りかざす。
「くっ、モアドガス、危険な毒素!」
すぐさまモアドガスは有害物質を放つが、
「潜る!」
ガッツロスは急降下して地面に潜り、毒素を避ける。
正直、モアドガスはガッツロスに対して相性がよくない。
モアドガスの攻撃は強力な技ばかりだが、その分小回りが利かなくなる。
一方、ガッツロスは、一撃一撃にパワーがある割に隙が少なく、見た目に反して動きも速い。
「ネクロシアを出すべきだったか…まあいい。モアドガス、大文字!」
「ガッツロス、かわしてインファイト!」
モアドガスは大の字型の炎を撃ち出すが、やはりガッツロスには当たらない。
隙が少なく、技を当てることが難しい。当てる隙があるとすれば、
今のインファイトのように、正面から突っ込んでくるときくらいだ。
「今だ! モアドガス、ダークリゾルブ!」
このチャンスを逃すほど、ザントは馬鹿ではない。
待ってましたとばかりに、モアドガスはどす黒い悪のオーラを、いや、『闇』を放つ。
「何!? しまった…!」
闇は突っ込んできたガッツロスを飲み込み、ガッツロスの体力を蝕む。
「ここでガッツロスに馬鹿正直に突っ込ませたのは、お前にしてはつまらん失策だったな。いくらチャンピオンとは言え、力押しだけで勝てるほど、俺のポケモンは弱くない。モアドガス、大文字!」
闇(の中のガッツロス)に向かって、モアドガスは大の字型の炎を撃ち出す。
当然ガッツロスは動くことなど出来ず、炎の直撃を喰らう。
闇が通り過ぎると、ガッツロスはまだ倒れてはいないが、大ダメージを負っていた。
名前にもある『ガッツ』すなわち闘志で耐えきったのだろうが、あと一撃で終わりだ。
「動けないうちに決めるとしよう。モアドガス、大文字!」
モアドガスは大の字型の炎を撃ち出す。
動けないガッツロスに向かって、炎はぐんぐんと迫り、
ガッツロスは消えた。
「…!?」
流石のザントでも驚きを隠せない。
直後、地中からガッツロスが飛び出し、モアドガスを吹っ飛ばしていた。
「潜るだと…! あのダメージで、まだそこまで動くとはな!」
「残念ながら、私のガッツロスは体力が一寸でも残っていれば、普通通りに動けるんでね。ガッツロス、とどめの襲撃!」
ガッツロスは吹っ飛んでいくモアドガスを先回りし、その鋏でモアドガスを掴むと、勢いよく地面へ叩き落とす。
「大文字!」
しかし、地面に叩きつけられる寸前、モアドガスは気力を振り絞って大文字を撃ち出した。
モアドガスは地面に叩きつけられ、戦闘不能。
ガッツロスも、突然の反撃に対応できず、喰らって戦闘不能となってしまう。
「何ッ!? …仕方ない、ガッツロス、よくやった。休んでてくれ」
「モアドガス、よく頑張ったな。休んでいろ」
お互いにポケモンをボールに戻す。
ついに、お互いの切り札が登場。もはや交わす言葉など必要ない。
「終焉を告げよ。出て来い、サザンドラ!」
ザントのポケモンは、絶対王者サザンドラ。
対して、グレースは何も言わなかった。
ただ黙って、ポケモンを繰り出す。
その瞬間、蒼い閃光がフィールドを飛んだ。
いや違う。それがグレースの切り札だ。蒼い閃光は、フィールドの空を四、五回旋回し、グレースの目の前に降りる。
「……ッ!」
その瞬間、ザントは(彼としては極めて珍しいことに)愕然とした。
その蒼い閃光、そのポケモンは、
番外編三話目。グレースの出したガッツロスは、僕のお気に入りです。自分は虫ポケモンが大好きでして。あ、ジムリーダーとか四天王って、挑戦者の強さに合わせてバトルをしているらしいですよ。まあザントはいつでも本気ですけどね。さて、次回は番外編完結。それでは、次回もお楽しみに!