二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re:第百二話 炎帝 ( No.268 )
- 日時: 2012/11/18 16:40
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: d1Bequrp)
レオがザントにリベンジを果たす三日ほど前。
タイメイシティのジムリーダー、シナイは、十人ほどの下っ端たちを捕らえていた。
以前心の館で確保した下っ端に発信機を付けてわざと逃がし、仲間と合流したところをまとめて捕まえた。
しかし、何をしていたかいくら問い正しても、
「この町自慢の拷問道具でも持って来い。俺たちのボスへの忠誠心を見せてやる」
の一点張りで、一向に聞き出せない。
と言うわけで、仕方なくシナイはグレースを呼んだ。
シナイが再び問うが、やはり下っ端たちは答えない。その様子を見たグレースは、
「…とりあえず、こいつらがイビルの計画を知っているのは確かなようだね」
よし、とグレースは頷き、
「ちょっと待っててくれ。助っ人を呼んでくる」
そう言ってメタグロスを出し、メタグロスに乗って飛び去っていった。
「で、私への用っていうのは?」
暫くしてグレースと共に戻ってきたのは、アメジスシティジムリーダー、ヤシロ。
「イビルの下っ端たちをとっ捕まえたのだが、一向に口を開かないのさ」
「なるほど、そういう訳ね。任せて」
可愛げに微笑む、実はウチセトジムリーダー最年長であるヤシロ。
宇宙人のような姿のポケモン、ビビッドンを出し、下っ端たちの方を向く。
「さて貴方たち、このビビッドンは、人の記憶を覗く力がある。これ以上黙り込んでても無駄、さっさと喋っちゃいなさいな」
その言葉に、下っ端たちの殆どが愕然とする。
しかし、リーダー格の者だけは表情を変えず、
「ハッタリだ。そんな術があるなら、貴様は最初からそれを使っているはずだ」
その言葉に、ヤシロはため息を付くと、
「しょうがないわね…強がらなくていいから、喋っちゃいなさい。子供の頃は気が弱くて、よくいじめを受けていた貴方」
実際に過去を覗くと、そのリーダー格は悔しげな表情を浮かべ、遂に口を開く。
「…伝説のポケモン、ライコウ、エンテイ、スイクンを操り、イビルの戦力とする。これで準備は整うとボスは言っていた」
ヤシロとシナイは驚き、顔を見合わせるが、実際にマターがギラティナを呼び出すのを見ているグレースにとっては十分想定内の範囲だ。
「して、その場所は」
「ブルムの森の奥地、ダイセツ山の頂上付近、水源の洞窟の奥深く、とのことだ」
ほう、とグレースは頷き、ライブキャスターを起動。
今聞いた場所に一番近いところにいるジムリーダーに、連絡を取る。
グレースから報告を受けたラビンタウンジムリーダーのスミレは、偶然ラビンタウンに居合わせたトレーナー、シアンに協力を頼み、ダイセツ山へ向かっていた。
普通ならフローズンシティのシオンが出向くのだが、シオンはまだ怪我が治っておらず歩けない。
「にしても、イビルの奴ら、ことごとく伝説のポケモンを戦力に加えたがるね」
「…なんとしても、阻止ですね」
そんな事を話しながらダイセツ山を登る二人。
だが、まだそんなに登らないうちに、
「何者だ、怪しい奴!」
「邪魔者だ、捕らえろ!」
下っ端たちのお出迎えだ。
「ったく、怪しい奴はどっちだって話だよ。出て来い、ホムロソク」
「…ストータス」
二人はすぐにポケモンを出し、
「ホムロソク、火炎放射」
「ストータス、熱風…」
なるべく広範囲に炎を撒く。
当然、雪山でそんな事をすれば、
「な、なんだこの音は!」
ゴゴゴゴゴ…と轟音が木霊する。
そう、雪崩だ。雪の一部が脆くなり、積もっていた雪が一気に流れ落ちる。
そして、その隙にシアンは巨大なツチノコのようなポケモン、ノコウテイを出し、
「ノコウテイ、潜って」
スミレと共に地面に潜り、地下から一気に突き進む。
地上の下っ端は、突然の雪崩に為す術もなく飲み込まれ、流されていくが、地下の二人にはそんな事関係ない。
地面を高速で掘り進み、音が止んだ辺りで地上に出る。
その時だ。そんなに遠くない所から爆音が聞こえた。
スミレとシアンは顔を見合わせ、その方向へ走っていく。
すると、そこにいたのは、数人のイビルの下っ端。
そして、軍服のようなイビルの制服を着たイビル七将軍、カペラ。
同じく、中世の王のような風貌の男、トゥレイス。
そして、赤い顔に茶色の体毛、背中からは煙のような毛が生えた、威厳のあるポケモン。
「あれは…」
「エンテイ、だと…」
情報は本当だった。
「ちっ、とっとと大人しく操られやがれ!」
「落ち着けカペラ! まずはこいつの動きをストップさせる。その隙にお前が『リモコン』で電波を五秒間当てればハント成功だ!」
だが、そこは伝説のポケモン。イビル七将軍の二人を相手に、互角以上の戦いを見せる。
「イビル、待て!」
「…そこで止まってもらうよ」
すかさずスミレとシアンが進み出る。
声に気づき、振り向くイビル七将軍二人。
片方は敵意を露わに二人を睨み、もう片方は大きく笑い出す。
「ぐっ、後少しだったのによ。邪魔すんじゃねえ!」
「ハハハハハ! よいではないかカペラ、このくらいのシナリオの方が面白い! エンテイは下っ端たちに相手取らせ、その間にこいつらをダイセツ山の麓まで叩き落とすぞ」
「ハナからそのつもりだ、トゥレイス。お前に言われるまでもないさ!」
『リモコン』を下っ端たちに渡し、戦闘態勢に入る七将軍二人。
「やるしか、ないようだね…!」
「…臨戦」
スミレとシアンも、ボールを取り出す。
久し振りの本編です。今回は久し振りに登場する人物が多かったですね。ちなみに、水源の洞窟というのは、始めの方でルナビットを奪ったイビルの下っ端が追い詰められたあの洞窟です。覚えてない人は見といてください。さて、次回は、スミレ&シアン、トゥレイス&パワーアップしたカペラの戦いです。ダブルバトルにはしません。それでは、次回もお楽しみに!