二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re:第百六話 水君 ( No.273 )
- 日時: 2012/11/18 16:49
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Yry.8Fde)
スミレが指令を受けた同じ頃。
ブルムシティジムリーダーのアサツキは、ブルムシティの森を奥へと進んでいた。
連れの者はいない。来る前に、ナシカというトレーナーに助太刀を頼んだが、
「イビルを倒す? 私にメリット無いし、そもそも興味ないから無理」
軽く一蹴された。
とは言え、並みのトレーナーではアサツキのフシギバナに勝つことは出来ないので、アサツキはある程度の余裕を持てている。
加えて、天然の迷路であるブルムの森を、スミレは完全に把握し、迷うことなく進んでいく。
その時、アサツキは近くに人の声を聞く。
「誰かいる…しかも一人じゃないな」
慌ててアサツキは木に登り、下を伺う。
下には、イビルの下っ端が何人もいた。
「これは面倒だね…」
しかし、イビルがいるということは、とりあえず目的地は正しい。
無駄な戦いは避けたいアサツキは木々を伝って、地上にいる下っ端たちをやり過ごしながら先へ進んでいく。
奥地に辿り着いたアサツキ。
ブルムの森の奥地には、透き通った綺麗な湖がある。
だが、近くに人影は見当たらない。
「ここじゃないの…?」
不安に駆られながらも、アサツキがもう少し様子を伺おうとしたその時、
バサァ! と。
茂みから、一体のポケモンが躍り出た。
獣型のポケモンで、水色の体に、しなやかな四肢。
頭には青いリングがあり、背中には紫の霧のような体毛。
伝説のポケモン、スイクン。
「あれが…伝説のポケモン!」
噂は本当だった。さらに、
「クルサ! 奴を水辺に近づけるな! 水に乗ったら逃げられる!」
「任せえやアンタレス! 下っ端たち、湖を包囲せえ!」
暴れ鳥ポケモンのドゴンに掴まったアンタレスが上空から、土豚ポケモンのモグルトンに乗ったクルサが茂みから飛び出す。
そしてスイクンが水に飛び乗った直後、それこそ大量の下っ端が現れ、湖を囲んでしまう。
(まずい。このままじゃ、スイクンが!)
そう思ったアサツキは、一歩前に踏み出す。
「待ちなさいイビル! あたしが相手よ!」
その声でアサツキに気づいたアンタレスとクルサ、そして下っ端たちが一斉に振り向く。
「ああ? 邪魔者か。面倒くさいネズミが紛れ込んだようだな」
「これはこれは、一人でやって来るたあ、勇気あることで」
七将軍の一人は面倒くさそうに呟き、もう一人は嘲笑する。
「アンタレス、下がっときや。あっしが片付けるから、そっちはスイクンを任せる」
「いいだろう。負けるんじゃないぞ」
勿論、とクルサは親指を突き立て、アサツキを見据える。
「邪魔はさせへんで。バトルは二対二や、キノガッサ、見参!」
「悪いけど、負けるわけにいかないのよね。出ておいで、バーネッコ!」
クルサのポケモンは茸ポケモンのキノガッサ。アサツキのポケモンは根っこポケモンのバーネッコ。
草タイプ同士の対決だ。
「さあ、キノガッサ、種爆弾!」
キノガッサは無数の種を放つ。バーネッコに当たる瞬間、その種は破裂し、バーネッコを襲う。
「バーネッコ、地震!」
バーネッコはのたうち回り、衝撃波を起こしてキノガッサを吹っ飛ばし、
「穴を掘る!」
地面に潜り、地下からキノガッサに忍び寄る。
キノガッサの足下の大地が割れ、バーネッコがキノガッサを突き上げる。
「返し技や! キノガッサ、アイアンテール!」
突き上げられながらも、キノガッサは鋼鉄のように固い尻尾でバーネッコを弾き飛ばす。
「マッハパンチ!」
吹っ飛ぶバーネッコを先回りし、キノガッサはバーネッコの上を取る。
上から思い切り殴り、バーネッコを地面に叩き落とす。
「さらにアイアンテール!」
そのままキノガッサは鋼鉄のように固い尻尾を振り下ろす。
「好き勝手はそこまでよ! バーネッコ、パワーウィップ!」
バーネッコも胴体を蔓のように振るい、アイアンテールと拮抗する。
しばし競り合い、お互いに離れる。
「バーネッコ、グランボールダ!」
バーネッコはいくつもの巨大な岩を放ち、キノガッサを岩で覆う。
「当たるかよ! キノガッサ、マッハパンチ!」
キノガッサは拳を構え、超スピードで岩をかわすと、そのままバーネッコに拳の一撃を与える。
「怯まないで。バーネッコ、パワーウィップ!」
言わばカウンターのタイミングで、バーネッコは胴体を振るい反撃。
しかし、キノガッサは既に一歩退き、パワーウィップを避けていた。
そして、胴体の一撃を空振りし、隙が出来たところをクルサは見逃さない。
「キノガッサ、サイコパンチ!」
キノガッサは念力を拳に溜め、ロケットパンチのように拳の波動を撃ち出し、バーネッコを吹っ飛ばす。
「ぼちぼち止めや! キノガッサ、アイアンテール!」
吹っ飛ばされていくバーネッコを追い、キノガッサは駆ける。
大きく跳び、尻尾を鋼鉄の如く硬化させ、その尻尾を叩き込む。
直前に、青白く煌めく爆風が襲い掛かり、キノガッサを吹っ飛ばした。
「!? な、なんや?」
突然の攻撃に焦るクルサ。
キノガッサは強烈な不意打ちを喰らい、しかも急所に当たったようで、戦闘不能となってしまう。
クルサとアサツキは、爆風が放たれた場所を見上げる。
そこは太い木の上。
長い金髪の男がおり、その傍らには化石から復活した古代ポケモン、サーベルポケモンのマカドゥス。
その男が、アサツキに向かって口を開く。
「事態のほどは理解した。旅人ウェイガ、遅ればせながら助太刀しよう」
ブルムの森での、スイクンをめぐる戦いです。今回の主役はジムリーダーのアサツキ、そして久々にほんの少しでたナシカと、カッコ良く決めたウェイガの登場です。ちなみに、アサツキと言えばフシギバナですが、実力的には、ザントのモアドガスを少し上回ります。横腹の弱点があるのが欠点ですね。ザントのポケモンには総じてそのような欠点はありませんし。だからこそ、当時のレオも勝てたわけですね。さて、次回は当然続きです。それでは、次回もお楽しみに!