二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re:第百十話 雷皇 ( No.279 )
- 日時: 2012/11/18 19:11
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Dj5QpmsJ)
シナイやグレースが、イビルの下っ端から情報を聞き出そうとしていた頃。
ポケモントレーナー、フウカは、七つ目のバッジを賭け、アロンジシティでタマナとのジム戦をしていた。
「ガッツロス、襲撃!」
「ロップル、かわしてアイスバーン!」
現在、お互いに最後の一体。
ガッツロスが一瞬でロップルとの距離を詰めて襲いかかるが、ほんの一瞬のタイムラグを見極め、ロップルは襲撃を避ける。
そして、すかさず氷の衝撃波で反撃、ガッツロスを吹っ飛ばす。
「まだです! ガッツロス、スプラッシュ!」
ガッツロスは鋏に水をまとい、水飛沫を上げながら鋏を振りかざす。
「ロップル、ピッカリ玉!」
素早くロップルは閃光玉のようなものを炸裂させ、眩い光でガッツロスの動きを止める。
「サイコパンチ!」
その隙を逃さず、ロップルは手に念力を込め、ロケットパンチのように拳を飛ばす。
「これで止め! ロップル、アイスバーン!」
体勢がまだ整っていないガッツロスに、氷の衝撃波が襲い掛かる。
効果抜群の攻撃をまともに喰らい、ガッツロスは吹っ飛び、戦闘不能となって倒れた。
「ガッツロス! …うちの負けです。アロンジシティジム勝利の証、スピカバッジを受け取ってください」
「ありがとうございます! これで七つ目。ラストは、ソルナシティか…」
お礼を言い、フウカはジムを出る。
「ふー…最近の挑戦者は強い人が多いですね」
ジムで共に鍛えているトレーナーたちと話すタマナと、
「今のトレーナー、強かったですね」
「特にあのロップルの動き。あれは相当鍛えられてますよ」
色々と意見を出し合い、より上を目指すジムトレーナーたち。
「うちも虫ポケモン採集ばっかりしてないで、もっと鍛えないといけませんね」
気合いを入れ直し、まずはポケモンを回復させるタマナ。
その時、不意にライブキャスターの通信が入る。
相手はチャンピオンのグレース。
「チャンピオン!? はい、こちらタマナです。どうしたんですか?」
『至急、水源の洞窟に向かってくれ。奥の方で、イビルの連中が伝説のポケモンを狙っている。それを食い止めるんだ』
「伝説のポケモン!? 分かりました、すぐに向かいます!」
タマナは通話を切り、そこでふと思う。
(でもイビルの部隊は多いはず。七将軍が二、三人いてもおかしくありません)
しばしタマナは考える。
(そうだ、先程のトレーナーさんにお願いしましょう。ポケモンセンターでポケモンの回復をしているはず!)
ことが決まれば話は早い。
タマナはジムを飛び出し、ポケモンセンターへ向かう。
「よーし、この調子で八つ目のバッジも取っちゃおう!」
陽気に鼻歌を歌いながら、フウカはポケモンセンターを出る。
その時、
「あ、いた! いました!」
こんな声が聞こえ、ふと横を振り向くと、そこには走ってきたのか、肩で息をするタマナが。
「お願いがあります。水源の洞窟まで、一緒に来てもらえませんか?」
「構いませんけど、何かあったんですか?」
「はい、イビルがまた何か企んでいるようで、その討伐に協力してほしいのです」
イビルと聞くやいなや、フウカの表情は一変する。
「分かりました。行きましょう!」
タマナとフウカは、共に駆け出す。
水源の洞窟。
入ると、一見水で行き止まりに見えるが、実はその向こうに道が続いている。
フウカはテイルーンに掴まって宙を飛び、タマナはフウカからヒョウカクを借り、水の上を進んでいく。
しばらく進むと、再び陸地が見えてきた。
しかし、それだけでは無い。人影がある。
「何の用だ!」
「怪しい奴め!」
イビルの下っ端だ。かなりいる。
「怪しいのはどっちよ! テイルーン、ハリケーン!」
タマナがポケモンを出すまでもなかった。
テイルーンが暴風を起こし、下っ端ら自身をまとめて吹っ飛ばしてしまう。
「よし、さあ、行きましょう!」
その時。
向こうから、何かの足音がした。
人間の物ではない。もっと別の何かが、近づいてくる。
モンスターボールを握り締める二人。
そして、ついにそれは現れた。
黄色い四肢、黒い稲妻の模様に、稲妻形の尻尾。背中には雷雲のような毛がなびいている。
伝説のポケモン、ライコウ。
「これが…ライコウ…」
伝説のポケモンの姿に、茫然とするフウカ。しかしタマナは、イビルの狙いを即座に思い出す。
「ライコウ、聞いてください。今、悪の組織の者たちが、貴方を狙っています。すぐに逃げてください」
だが、タマナの言葉が通じないのか、ライコウは動かない。
タマナたちが敵でないことは認識しているようだが…
「ここは危険です。すぐに離」
タマナの声は、最後まで聞こえなかった。
「見つけたわ! シルドール、ダイヤブラスト!」
「仕留める! チェキラス、サイコバレット!」
すざましい爆音とともに右の壁が破壊され、そこから現れた二人のイビル七将軍がライコウに奇襲を喰らわせた。
不意に強烈な攻撃を受け、ライコウは大きく吹っ飛ばされ、壁に激突。
直後、十名ほどの下っ端たちが現れ、ライコウを包囲する。
現れたイビル七将軍は、モデル並みの美女メイサと、つぎはぎだらけの服を着たホラー系少女シャウラ。
「貴女たちがライコウを見つけてくれたお陰で手間が省けたわ、ありがとうね」
「そのお礼に、私らからは貴様等に敗北をプレゼントしよう」
シャウラとメイサは同時にモンスターボールを取り出す。
「ライコウにあんな事を…貴女たち、許さない!」
激昂するフウカ。
「ライコウ、すみません…代わりにうちらが、イビルを倒します。」
タマナも顔を上げ、ボールを取り出す。
水源の洞窟での戦いが始まる。