二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re:第百十四話 動き出すイビルの頭領 ( No.287 )
- 日時: 2012/12/05 20:28
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 1ZQMbD0m)
ソルナシティのジム内。
ここにいるのは、レオ、グレース、ザントの三人。
「そろそろイビルも動いてもいい頃なんですけどね」
「奴らにアジトが無くなった今、集団で移動しているとは考えにくい。統制が取れていないのかもしれん。とりあえずは各地のジムリーダーにガタノアやイビルの情報を探ってもらってはいるが…」
レオとグレースが話している中、ザントは傍らで昼寝中である。
「イビルが動かないのが一番いいですけどね」
「まあそうだな」
グレースも今は、レオのことを立派な戦力として見ている。
その時。
唐突に、グレースのライブキャスターが鳴った。
「ん、スミレか…こちらグレース。どうした?」
『グレースさん、き、緊急です! 一刻も早くフィアタウンまで来てください!』
「…なに? フィアタウン?」
グレースとレオは怪訝な表情を浮かべる。
レオはフィアタウンを一度訪れた事があるが、フィアタウンは壁画以外何もないただの小さい町だった。
しかし、
『フィアタウン中央の遺跡が爆破されました! 僕とジムトレーナーたちで包囲していますが、敵の数は分からずです。増援お願いします!』
レオとグレースは顔を見合わせた。
間違いない。
噂をすればなんとやら、遂にイビルが動き出した。
「よし分かった、今すぐ行く。それまで粘れ」
そう言って、グレースは通話を切る。
「話は聞いたな。レオ君、行くぞ」
「はい」
ザントに置き手紙を残し、グレースはメタグロスに、レオはリーテイルに乗ってフィアタウンへと向かう。
フィアタウン中央の遺跡の入り口からは、未だ煙が上がっている。
「グレースさん、こちらです!」
空から来た二人に気付いたスミレが、手を振って場所を知らせる。
村人は避難したようだ。遺跡を取り囲むようにジムトレーナーが並び、入り口前にはスミレと、村の長老のお婆さん。
「先程、中の様子を確認しました。壁画が爆破され、奥への道が現れていますが、見たところ一本道です」
丁寧に話すスミレと、
「この町の貴重な歴史物を傷つけおって…何者かは知らぬが、許さん!」
憤慨する長老。
以前トゥレイスがこの遺跡を調査していたのだが、その時は何も見つからなかった。
通常では見つけられないほどの物なのだろうか。だとすれば、中には何が?
「話は理解した。私は中に入り、遺跡を爆破したものを追う。レオ君、君はどうする。待っていても構わないぞ」
「いいえ、僕も行きます。こんなことをした奴を許すわけにはいかない」
「…分かった。ではついて来い!」
レオとグレースは、遺跡の中へ入り込んでいく。
確かに、元々壁画があったところに大きな穴が開いていた。
そして、報告通り中は一本道。二人は奥を目指して走る。
「イビルの奴ら、今度は何をしでかす気だ…?」
「ここに何かがあるのだろう。イビルが死ぬほど欲しがる何かが。そうでなければ、用心深いイビルの事だ、わざわざこのような目立つ真似をする訳がない」
話しながら、二人は奥を目指す。
しばらく進むと、終点が見えてきた。
終点にあったものは、、今までとは違う感じの開けた部屋と、
一人の人間。
「フハハハ! まさかこんなところにあろうとは。トゥレイスでは気付かないわけだ。超高性能レーダーでも引っかからない上に」
そいつはゆっくりと振り向く。
「いちいち邪魔者が入るのだからなあ」
後ろでくくられた長髪は、所々赤い。
青い瞳は猛獣のように鋭く、右手には機械の爪『ゲート』を装備した男。
イビルの総大将、マター。
マターは不適に笑い、
「来るのが遅かったようですな」
そう言って、黒い宝石を二人に見せる。
「目的の物、つまりこの宝石は既に我が手中にあり。残念でしたな」
「それは何だ?」
レオが詰め寄る。
「フハハハハ! 今私は機嫌がいいから、教えてやろう。これの名は『テラージュエル』。ガタノアを呼び覚ますのに必要な石だ」
二人が驚愕を浮かべるのも気にせず、マターは話を続ける。
「しかし、このジュエルだけではガタノアを操れない。そこで『ゲート』と『リモコン』の出番。テラージュエルで目を覚ましたガタノアを『ゲート』で呼び寄せ、『リモコン』で操る。これが私たちイビルの最終目標です」
ですが、とマターは続け、
「問題は場所。ある決められた場所でジュエルを使わなければ、ガタノアは目を覚まさない。しかし、その場所はもう解析済みです。もうすぐで、我々は世界征服を成し遂げるのです!」
高らかに笑うマター。
「…ふざけんなよ」
そして、静かに口を開くレオ。
「世界征服? 絶対に食い止めてやる。マター、僕と戦え! そのテラージュエルとやらを返してもらうぞ!」
だが、そんなレオの怒鳴り声を聞いても、マターは不気味な笑みを浮かべるのみ。
「何を言うかと思えば。私はこの後、天井をぶち抜いて退散するだけです。」
ですが、とマターは続け、
「せっかくですから、戦うのも面白い。いいでしょう、では三対三。いつもの五割ほどの力でよければ、相手をして差し上げましょう」
再び高らかに笑い、モンスターボールを取り出すマター。
「グレースさん、ここは僕に任せてください」
レオもゆっくりとボールを取り出す。
ついにイビルが動き出します。フィアタウン遺跡を爆破し、欲しいものを無理矢理手に入れたマター。マターの口調には敬語が多いですが、これはゲーチスのように、相手を嘲ったり馬鹿にしたりするために使っているもので、部下とは普通に話します。さあ、イビルの総大将の実力は如何に? 次回はレオ対マターです。それでは、次回もお楽しみに!