二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第八話 謎の悪組織イビル ( No.29 )
日時: 2012/11/10 21:00
名前: パーセンター ◆sC9ueof0V6 (ID: 1HHiytFf)

タマナの表情が途端に険しくなった。
「大丈夫。タマナお姉ちゃんがすぐに取り返してあげるからね。レオ君、ちょっと来てください!」
タマナはレオをジムの奥へ連れて行く。
「タマナさん、イビルって最近のニュースでよくやってる…」
「ええ、謎の悪組織です。今までアロンジではあまり見掛けなかったのですが、その盲点を突いたのでしょうか…」
ジムの奥には、ポケモンセンターでよく見る機械が置いてあった。
「ジムリーダーは、挑戦者さんを待たせないよう、ジムの中でポケモンを回復出来るんです。六体までいけますから、レオ君のポケモンも貸してください」
タマナの言葉に従い、レオはモンスターボールをタマナに渡す。
タマナはモンスターボールを六個設置した。
五秒経過。タマナはモンスターボールを取る。
「よし、これで回復。レオ君、うちと一緒に来てください。恐らく相手は二人以上、こっちも多い方がいいんです」
「分かりました。僕も行きます!」
「ありがとう、じゃあ早速行きますよ!」
タマナとレオはジムを出る。そこにはまださっきの男の子がいた。
「ねえ、あいつらどっちに逃げた?」
「あっち!」
少年が指差したのは西。そこには503番道路が繋がっている。
「よし、行きましょう!」
タマナとレオは、503番道路へ向かって走り出す。


503番道路は、みた感じ一本道だった。
「よし、これなら追いつける! お願いします、コユキムシ!」
タマナはコユキムシを出した。
「先に行って、怪しい奴らがいないか確認してきて!」
コユキムシは頷き、飛んでいった。
しかし、二分ほどで戻ってくる。
コユキムシはキイキイと鳴く。レオには何を言ってるのか全く分からないが、タマナは虫ポケモンの言葉を理解出来るのか、コユキムシの声に耳を傾ける。
「レオ君、奴ら洞窟の入り口で休憩中らしいです。一気に行きましょう!」
タマナは再び駆け出した。レオも後を追う。


洞窟の入り口には、黒い服を着た二人の男がいた。その制服の胸には、変なマークがある。
彼らは『イビル』という組織の下っ端だ。
上の者たちに、とあるポケモンを回収せよと指令を受け、アロンジに忍び込んだ訳だが…
「しっかし、何でこんな小さいポケモンが必要なのかね」
「聞いてなかったのか? こいつは月から来たらしいポケモンだ。こいつのエネルギーが、俺たちの計画に必要なんだよ」
奪ったポケモンは、深緑の色をした兎のようなポケモン。
名前はルナビット。月から来たと言われている、珍しいポケモンだ。
取りあえず一旦帰るか、と意見を一致させ、ここから引き上げようとしたが、

「そこまでです! 奪ったポケモンを返しなさい!」
「遂に見つけたぞ、イビルの下っ端共!」

ギリギリでタマナとレオが到着。
驚いたのは下っ端二人組だ。
咄嗟に逃げ道を確認する。横に続く道と、洞窟の中。
下っ端二人組はルナビットの入っている袋を抱え、洞窟の中へと飛び込んだ。
瞬間、二人組は後悔することになる。

洞窟の中は、すぐに湖に直面する道しか無かった。
早い話が行き止まりだ。

「さあ、観念しなさい!」
タマナとレオがゆっくりと近づいてくる。
慌てたのは下っ端二人組だ。何か使える物は無いかと必死で辺りを見渡す。
そして、ルナビットを持っている下っ端は閃いた。
「動くな! そこから一歩でも動けば、こいつを湖へ投げ捨てるぞ!」
ルナビットの入っている袋を指差し、怒鳴る。
「…ッ!」
タマナが悔しそうな表情で一歩引いた。しかし、レオは顔色一つ変えず、こう言った。
「それ捨てたら、怒られるのはお前たちじゃないのか?」
下っ端二人組が凍りつく。
実際、レオの言うとおりだ。今回の指令は、ルナビットを届けること。それを自ら捨てたことを知られれば、間違い無く罰が待っている。
「ちっ…」
下っ端が悔しそうに舌打ちする。その時だった。

「ルナビットなら必要無くなった。返してやれ」

レオたちの後ろから突然聞こえた声。
「誰だ!」
タマナとレオが振り向くと、そこにいたのは女性だった。
見た感じはタマナより少し年上。腰くらいまであるピンクの髪は風も無いのに揺れ、ドレス風にコーディネートされたイビルの制服を着ている。
「あたしはアンタレス、イビルの『七将軍』の一人だ」
「七将軍…?」
「幹部的な立ち位置だと思って差し支えない。お前たち、ルナビットを返してやれ。調査の結果、ルナビットの力とガタノアとは無関係だと判明した」
その言葉を聞いた下っ端は、ルナビットの袋を投げ渡し、急いでアンタレスと名乗った女の元へ向かう。
「ああそうだ。そこの二人、今回はこちらの活動に支障は無かったから、見逃してやる。だが、これからもあたしらの邪魔をするなら、その時は容赦しない。覚悟しておくんだな」
それだけ言うと、アンタレスと下っ端二人は消えた。
取りあえずは、ポケモン救出成功だ。


「タマナお姉ちゃん、それにトレーナーさん、ありがとう! ルナビット、大丈夫だった?」
ルナビットの持ち主は、さっきの男の子の友達の女の子だった。
レオはその様子を見届けると、
「それじゃ、さようなら!」
タマナと二人の子ども達に見送られながら、次の町へ向かっていく。


やべえ、後書きって書くのめっちゃ楽しいんですけど。まあそれは置いといて、今回は、『イビル七将軍』の一人、アンタレスの登場です。まあ一瞬でしたけどね。アニメなら三十秒くらいでしょう。後、今回は一つ重要なキーワードが出ています。今後の展開の注目ポイントですよ。さて、次回は次の町に到着です。それでは、次回もお楽しみに!