二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百十八話 現れた決戦の地 ( No.293 )
日時: 2012/11/18 19:26
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Dj5QpmsJ)

ザントからの連絡を受け取ったグレースは、すぐに他のジムリーダーたちに連絡する。
今すぐソルナシティに向かえ。出来れば腕の立つトレーナーと一緒に、と。
「敵方は大量の数だ。さらに伝説のポケモンも従えている。ジムリーダーと私だけでは足りないかもしれぬ」
とのことだ。
「レオ君、君は先にソルナシティに向かってくれ。それと」
グレースは少し言葉を切り、
「…君のような一般のトレーナーを巻き込んでしまい、本当にすまない」
グレースなりの気遣いだった。
「いいんですよ。任せてください」
レオはそれだけ言うと、リーテイルに乗り、マターが天井に開けた穴から飛んでいく。


ソルナシティの中央部が、影で覆われていた。
その上空には、古代の巨大遺跡。
ソルナシティに集合していたのは、ジムリーダー五人と、キラ、チヅル、シアン、そしてウェイガ。
しばらくして、グレースが来、更にシナイ、そしてタマナとフウカが到着。
「ザントはどうした?」
「ソルナシティの住民を避難させてる。船が怖がってソルナに来ないから、サザンドラに乗せてフローズンまでね」
シナイの言葉に、シオンが答える。もう怪我は治っているようだ。
「しかし師匠、なぜこのような遺跡が突然…」
アサツキがグレースに尋ねるが、それに答えたのはユウだった。
「はるか昔、このソルナの地はある古代文明が栄えていました。その民族は平和と恐怖を司る二体のポケモンを崇めていました。そして今にも文明が滅ぼされるというとき、彼らは神を崇める遺跡だけでも守るために、術を使い、遺跡を空に浮かべて隠し、神の力である二つの宝石を別の場所へ隠し、宝石を見つけ、再び彼らの文明を興してくれる者を待った…との神話が書かれた本がラビリン図書館にありました。前にイビルに盗まれた本の一冊はそれです」
「それが皮肉にも、悪人に見つかってしまったわけか」
グレースが呟く。
その時、サザンドラに乗ったザントが戻ってきた。
「チャンピオン。今し方、イビルの連中が遺跡に入っていくのを目撃した。奴らは既に中にいるぞ」
「分かった。ザント、住民の避難は終わったか?」
「生憎とまだまだだ。この町のジムリーダーとして、俺が全員避難させる。お前等は先に遺跡に行け」
分かった、とグレースは頷き、ジムリーダー七人とレオたち六人の方を向く。
「これより、空中遺跡でイビルと決戦だ! 奴らの目標を何としても阻止する! 覚悟は出来てるか!」
「「「おおーっ!」」」
十三人の声が響き渡る。
グレースは大きく息を吸い、
「総員、出撃!!!」
その言葉と共に、各々はそれぞれのポケモンに乗り、空中遺跡目掛けて飛び立つ。
ザントはそれを見上げ、しばし眺めると、再び住民保護を再開する。


地上から見るとその大きさがよく分からないが、空中まで来るとよく分かる。
物凄く大きい。例えるならば某映画の天空の城のアレくらい大きい。
「こっちだ!」
運良くグレースが遺跡への入り口を見つける。
順々に飛び込んでいった十四人は、そこでいきなりの足止めを喰らうことになる。

「ハッハー! 残念だが、ここで俺らの相手をしてもらうぜクソ野郎共!」
「ごめんなさいね。ボスからの命令で、貴方たちを通してはいけないことになってるの」
「む、これはまた大量のネズミが迷い込んだものだ」
「やっと来たか、ええ加減待ちくたびれたわ。ボスはもう奥まで行ってもたで」
「覚悟しなよ。最後の作戦で、あたしら気合い入ってるからね」
「ハハハハハハ! わざわざ死にに来たか、愚か者共め!」
「面倒くせぇ…ま、俺様に与えられた最後の任務だ。やってやるか」

出て来た順に、カペラ、メイサ、シャウラ、クルサ、アンタレス、トゥレイス、リゲル。
イビル七将軍が、十四人の行く手を遮るように立ちはだかる。
「馬鹿なことを」
グレースが言い放つ。
「七対十四だ。私たちの負け筋がどこをどうしても見つからんぞ」
正論だった。
実際、イビル七将軍らもこの人数で勝てるとは思っていない。
しかし、
「それでノープロブレム、問題ないさ」
対するトゥレイスの表情は、いつもと変わらず、薄い嘲笑が浮かんでいる。
「ボスがガタノアを呼び覚まし、操ることに成功すれば、誰もボスを止められん。時間を稼げば、私たちの勝ちだ」
トゥレイスの言葉もまた、正論だった。
レオたちの手にはピースジュエルがあるが、マターの話ではそれだけでは足りないとのことだ。
マターがガタノアを呼び覚ますより早くマターを止めなければならない。
その時。
「師匠、ここはお任せください」
アサツキが進み出た。
それに促され、他のジムリーダー六人も次々と前に出る。
「グレースさん、うちらが食い止めます」
「この現代武士、シナイにお任せあれ。先に行け」
「ここは僕らが何とかします。心配ご無用です」
「大丈夫よグレース。マターが敗れる未来が見えるわ」
「やれやれ…このゴーストマスター、スミレが出るとしよう」
「スミレ先輩には負けられません。私だって!」
ジムリーダーたちが、イビル七将軍と対峙する。
「すまんな…では任せる!」
グレースの言葉と共に、残りの者たちはイビル七将軍を飛び越え、遺跡の奥へ突き進む。



イビルとの最終決戦、開幕です。初っ端からイビル七将軍が現れますが、マターにはまだライラプス、ガニメデ、ネメアの三伝説ポケモンが戦力として残っています。あと、ザントの役回りが前作と同じですね。最初は参加せず、後々登場する。さて、今回は敵か味方か、どちらで現れるでしょうか? 次回はレオたちの進軍を書くか、ジムリーダーたちの戦いを書くかです。それでは、次回もお楽しみに!