二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第九話 熱い現代武士 ( No.30 )
日時: 2012/11/10 21:01
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 1HHiytFf)

日が暮れてきた。
レオはさっきの503番道路を歩いている。タウンマップを広げ、確認すると、
「ここから一番近い町は…タイメイシティだな」
タイメイシティはあの湖の洞窟を抜けた先にある…のではない。洞窟の横には道があり、ちゃんと進める道がある。
「こっちだな…」
レオは道を進んでいく。


タイメイシティ。
和風の町で、町並みは歴史的な文化を残し、建物は全て古風な並びで、ほとんどが木製だ。
ポケモンセンターなどの現代的な建物もあるが、町の雰囲気を保つため、壁は木目のようにデザインされ、現代風には見えない。
町の景観を守るための、徹底的なこだわり様だ。
「とりあえず、今日はポケモンセンターに泊まるか…」
時間ももう遅いので、今からジムに行くという訳にも行かない。
観光でも行こうと思ったが、やはり時間がアレだし、暗くなってから観光というのもやはりおかしいだろう。
「まあいいや。ここにはジムもあるらしいし、明日はジム戦だ。ちょっと早いけど、今日は部屋で調整だな」
まだ時間は早いが、レオは自室に戻る。


次の日。
レオはタイメイシティのジムを訪れていた。
ジムは道場のような感じになっており、やはり和風を思い起こさせるデザインとなっている。
「お願いします!」
レオは道場ジムの扉を開け、中に入っていく。

すると、そこはたくさんの人々の熱気で溢れかえっていた。

剣道の稽古の真っ最中だったらしい。
大声を上げ、竹刀を振りかぶり、相手の面を叩く。
「…場違いだ、僕」
思わずレオは呟いてしまった。
すると、前のほうで指示をしていた先生のような人がレオの元に近づいてきた。
三十代くらいのハンサムな男性だ。茶色の髪はぼさぼさだが、その男の顔に不潔感などと言ったものはいっさい感じられない。
「ジムの挑戦者だな? すまないが、少し待ってくれたまえ。もうすぐ稽古が終わるのでな」
その男性は優しい口調でそう言った。続いて、
「さあ、ラストだ! 全力で声を出して、最後まで全力でやりきれ!」
その男性はさらに声を張り上げた。
その声で、道場内はさらに熱気を増す。


「さて、お待たせしてすまなかったね。私はここの道場の主であり、タイメイシティのジムリーダーでもあるシナイだ」
名前そのままじゃん、とレオは思ったが口には出さない。
ちなみにこの男性、常に胴着と防具(面と籠手以外)着用のようだ。道場の中だけだろうか?
「さて、一つ謝らなければならない。先ほど『少し待ってくれたまえ』と言ったのだが、今はジム戦が出来ないのだ」
「え、そんな! どうしてですか?」
残念に思いながらも、聞いてみるレオ。
「実はな、さっき稽古が終わった時に、一人が私に言ってな。町のはずれにある心の館という建物の近くで、イビルの下っ端を見たらしいんだ」
「何ですって!? イビルが?」
急に態度ががらりと変わるレオ。
「ああ。だから私は行ってこなければならないのだ。よければ、君も来てくれると助かる」
「もちろんです! 僕も行きます!」
うむ、とシナイは頷き、駆けていこうとした。が、
「シナイさん、外でもその格好なんですか?」
「ああ、そうだ。私にとってこれは正装だからな」
まさかの胴着=正装。しかも竹刀まで持っていくらしい。
とりあえず、レオも後に続く。


「ここか…」
シナイ(裸足)を追って、走ってきたレオ。
心の館は既に潰れているようで、ほぼ廃墟と化している。ポケモンによては丁度いい住処になるのだろう。
「レオ君、私は先に行く。君は着いてきても別行動でもいい。行くぞ!」
シナイはそう言って、心の館の中へダッシュしていった。
「…別行動しかないんじゃ」
レオも心の館へ入る。
心の館は本当に潰れているようだ。柱も所々倒れ、中も薄暗く、蜘蛛の巣が張っている。
ポケモンが何匹かレオの目の前を通っていった。
紫のガスに包まれたポケモン。ゴースだ。
ゲットしようかとも思ったが、イビルの方を優先したかったので、レオはゴースは無視して先へ進んでいく。
「それにしても、イビルの奴らはこんな所で何をするつもりなんだ…?」
正直、レオにはここに何があるのか分からない。シナイもどこにいったのかすっかり分からなくなってしまった。
「あ、階段ある」
レオは階段を登る。
二階に上ると、近くで声が聞こえた。
「…は…で…らしい」
「何? なら…に…するか?」
誰かいる。声を聞いた感じでは、二、三人だ。行ける。
「おい、お前ら、誰だ! そこで何してる!」
レオはその言葉とともに、窓を開ける。
「「うわっ!」」
突然の光に目を覆った者たち。二人のイビルの下っ端だった。
「やはりお前たちか…ここで何してた!」
レオは強い口調で迫る。しかし、

「ふふ。貴様にそれを教える義理などない」

そこに現れたのはレオより少し年上くらいの女だった。
手入れされていない紫色のぼさぼさの長髪で片目は隠れ、光の無い死んだ灰色の瞳、つぎはぎだらけのぼろぼろな服を着た女。
その服は、もともとはイビルの制服をもっと明るくコーディネートしたのだろう。このつぎはぎは自然に出来たものだと見える。
しかし、これではっきりと分かる。
コーディネートされたイビルの制服を着ている、つまり、こいつはイビルの『七将軍』の一人だという事。
「ふふ。私はシャウラ。イビル七将軍の一人だ」


やった、二話更新できた♪ またまた新キャラです。今回の新キャラは、熱血ジムリーダー・シナイと、陰湿なイビル七将軍・シャウラですね。違う舞台で続けざまに悪の組織の上位の者が出るのってポケモン小説の中でも珍しいんじゃないですかね。分かったかもしれませんが、シャウラはもの凄い根暗・陰険キャラです。まず服装がね。いろいろと酷いですよね。さて、次回はイビルとの初めてのポケモンバトルになります、シャウラ戦です。それでは、次回もお楽しみに!