二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百二十四話 地空間を歪める大犬と感覚を狂わす鷲 ( No.305 )
日時: 2012/11/18 19:34
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Dj5QpmsJ)

ネメアの天を貫く咆哮は、左の穴に飛び込んだキラとフウカにも聞こえた。
「今のは…なんでしょう?」
「分からないけど、何か動きがあったようだな。皆無事だといいが」
キラとフウカは、慎重に奥へと進んでいく。
しかし、既にイビルは彼らの位置情報を正確に捉えている。

突如、キラとフウカの足元が崩れ去った。

「!? ドラドーン!」
キラが咄嗟に巨大なドラドーンを出し、二人は背中へ飛び乗る。
二人を乗せたまま、すぐに上に舞い戻るドラドーン。すると、
「やはりこれで勝てるほど弱くもなかったか」
そこにいたのは、イビルの下っ端。
そして、その後ろには、紺色の体を渦巻く風でまとう、おおいぬ座のシリウスを司る伝説のポケモン。
大犬ポケモン、ライラプス。
「ここを通りたければ、このライラプスを倒せ」
下っ端が静かに言うが、その前に二人はもうモンスターボールを取り出していた。
「言われるまでもねえ。出て来い、ディザソル!」
「最初からそのつもりですよ。お願いします、ヒョウカク!」
キラはディザソル、フウカはヒョウカクを繰り出す。
「まずは俺からだ! ディザソル、岩雪崩!」
「ライラプス、かわしてハイドロポンプ」
ディザソルはライラプスの上空から無数の岩を落とすが、ライラプスは残像が残るほどのスピードで軽々と岩を避け、大量の水を放って反撃。
「ヒョウカク、ディザソルを守って! 吹雪です!」
ヒョウカクはディザソルの前に飛びだす。水をもろに受けるが、ヒョウカクの特性、貯水により、水技は無効。
そしてヒョウカクは激しい吹雪を放つ、
だが、
「ライラプス、歪ませろ」
下っ端の一言が聞こえたその刹那、ライラプスの足元に壁ができ、吹雪を遮断してしまう。
「何だ!?」
驚くキラに、下っ端は薄ら笑いを浮かべながら答える。
「ライラプスの能力、それは地形を歪める力。バトルフィールドを意のままに操り、恐るべき素早さで一気に勝負を決めるのさ。ライラプス、アクアテール!」
ライラプスは一瞬でディザソルとの距離を詰め、水をまとった尻尾でディザソルを弾き飛ばす。
「ディザソル! …動きが速すぎる。目が追いつかねえ!」
「落ち着いていきましょう! ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクが角を回転させ、一気にライラプスまで迫る。
「歪ませろ」
対して、ライラプスは再び壁を作り防御するが、ヒョウカクの角は壁を粉砕し、その後ろにいるライラプスを狙う。
しかし、そこにはもうライラプスはいなかった。
「ライラプス、大地の力」
「上か! ディザソル、辻斬り!」
ライラプスが上からヒョウカクに攻撃を撃つ直前、ディザソルが跳び、額の鎌でライラプスを切り裂く。
「チャンス! ヒョウカク、水の波動!」
その隙を逃さず、ヒョウカクは水の力をため込んだ波動を放つが、
「ライラプス、避けろ」
ライラプスは空中でも神速のスピードで動く。波動を一瞬で避け、地に足を着ける。
「素早すぎる…どこに隙があるんだ…!」
神速の大犬、ライラプスが、大きく咆哮する。


そして、こちらでも。
「ボルトック、ダイヤブラスト!」
「ギギギアル、トライアタック」
チヅルとシアンが戦っているのは、緑色の体に赤い模様のある鳥型のポケモン、木星の第三衛星を司る、鷲ポケモンのガニメデ。
「ガニメデ、サイコバーン」
ボルトックの爆風とギギギアルの三色の光線を、ガニメデは念動力の爆発でまとめて薙ぎ払い、
「熱風だ」
羽ばたいて熱い風を吹き付ける。
「ボルトック、ダークリゾルブ!」
対して、チヅルのボルトックが闇のオーラを放ち、何とか熱風を防ぐ。
「ギギギアル、ぶち壊す」
そこにすかさずギギギアルが割り込む。赤いコアを高速回転させ、全力でガニメデにぶつかる。
「ガニメデ、熱風」
だが、再びガニメデは熱い風を吹き付け、ギギギアルを逆に吹っ飛ばす。
「サイコバーンだ」
そして間髪入れずに念動力の爆発を起こし、ギギギアルとボルトックを吹っ飛ばし、一気に二体を戦闘不能まで追い込んでしまう。
「くっ、何て火力…! 次は貴方よ、ファマイン!」
「強い…頼んだよ、ストータス」
チヅルの次の一手はファマイン、シアンの次の一手はストータス。
「何が来ようと無駄だ。感覚を狂わす伝説の鷲ポケモン、ガニメデには勝てないさ」
下っ端がせせら笑い、ガニメデも耳をつんざくような鳴き声を上げる。
「やってみなきゃ分からないわよ! ファマイン、ストーンエッジ!」
ファマインは無数の尖った岩を放つ。
「ガニメデ、ハリケーンで吹き飛ばせ」
「させないよ。ストータス、煙幕」
ガニメデは暴風を起こして岩を跳ね返そうとするが、それよりも早くストータスが煙幕を放ってガニメデの視界を遮り、岩はガニメデにクリーンヒットする。
「なるほど、いい技だ。ガニメデ、サイコバーン!」
ガニメデは再び念動力の衝撃波を放つ。
まともに命中するが、二体とも耐久力には定評がある。余裕を持ってサイコバーンを耐え切り、
「ファマイン、もう一度ストーンエッジ!」
「ストータス、煙幕」
ストータスが煙幕を放ってガニメデの視界を遮り、その間にファマインが岩を撃ち込むが、
「同じ手は効かん。ガニメデ、ハリケーン」
ガニメデは今度こそ自然災害にも引けを取らないほどの暴風を起こし、煙幕や岩はおろかファマインやストータスまでも吹っ飛ばしてしまう。
「……ッ!」
チヅルとシアンは咄嗟に物陰に隠れたので無事だが、今の一撃はひとたまりもなかった。
相当な重量のストータスまでが壁際まで押されたのだ。とんでもない威力であることは一目瞭然だろう。
「さあ、このガニメデをどう攻略する?」
下っ端の声と共に、ガニメデも耳をつんざくようにけたたましく啼く。