二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百二十五話 頼りになるザント ( No.307 )
- 日時: 2012/11/21 22:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Dj5QpmsJ)
- 参照: コメが欲しい。切実に。
「頼んだぞ、テペトラー!」
レオが出したポケモンは、鋼タイプのネメアに有利な格闘タイプを持つテペトラー。
「テペトラー、波動弾だ!」
テペトラーは目の前の黒獅子を睨むと、波動を溜め込んだ弾を放つ。
「タイプ相性だけで伝説のポケモンに勝てると思うな。ネメア、メガホーン」
ネメアはその赤い角を突出し、波動弾を破壊。
「メタルブラストだ」
続いてネメアは、強大な鋼エネルギーを撃ち出して反撃。
「テペトラー、ハイドロポンプ!」
対してテペトラーは大量の水を噴射、何とか鋼エネルギーを相殺する。
「続いて怒りの炎」
ネメアの攻撃の手は緩まない。怒り狂ったように燃え盛る炎がテペトラーを襲う。
「そこだ! テペトラー、インファイト!」
だが、テペトラーはその暴れる炎の中を掻い潜り、一気にネメアの懐に突進する。
一発目に強烈な拳をお見舞いし、怒涛の連続攻撃を畳み掛けるが、
「ネメア、鉄壁」
伝説のポケモンは守りにも隙がなかった。
素早くネメアは体を硬化させ、テペトラーの強烈な連続攻撃を正面から受け切った。
「メガホーンだ」
テペトラーの技が尽きたところに、勢いよく角の一突きが撃ち込まれ、テペトラーは大きく吹っ飛ばされる。
「くっ、テペトラー、やれるか?」
レオのその言葉に、テペトラーは起き上がり、頷く。
ネメアの技がテペトラーに対し、全て効果今一つなのが唯一の救いだろう。
「ネメア、メタルブラスト」
「テペトラー、かわして波動弾!」
ネメアは強大な鋼エネルギーを放つが、テペトラーは跳び上がってそれを破壊し、波動を凝縮した弾を撃ち出す。
「ネメア、メガホーンだ」
「そこだ! ハイドロポンプ!」
ネメアは角の一突きで波動弾を破壊するが、そこにすかさずテペトラーは大量の水を噴射する。
ネメアの顔面に直撃、ようやくまともなダメージが入る。
「やりやがったな。ネメア、メタルブラストだ」
しかしすかさずネメアの反撃が入る。強大な鋼エネルギーがテペトラーに襲い掛かる。
「くっ、テペトラー、もう一発ハイドロポンプ!」
テペトラーは何とかもう一度大量の水を放つが、咄嗟に放った技だったので相殺は出来ず、残った鋼エネルギーがテペトラーに命中する。
タイプ相性で有利にも関わらず、レオは圧倒的に押されている。
これが伝説のポケモン、ネメア。深淵を見せる力を使わずとも、素の能力だけで十分すぎる力を持っている。
キラやチヅルたちが伝説のポケモンとある程度互角に戦えているのは、二人で戦っているためだ。それでも互角とまではいかないかもしれない。
まして、一人で戦っているレオが、互角に戦いあえるはずもなかった。
「ネメア、メガホーン」
ネメアは赤い角を構え、突進する。
「テペトラー、かわしてインファイト!」
テペトラーは角を避けてネメアの側面に回り、そこから連続攻撃を叩き込むが、
「鉄壁だ」
またしてもネメアは体を硬化させ、余裕を持ってテペトラーの連続攻撃を耐え抜く。
(くっそ、どうにかして隙を見つけないと…!)
レオが次第に焦り始めてきた、その時だ。
唐突に、レオのライブキャスターが鳴った。
「!? は、はい、こちらレオですけど…」
『レオか。俺だ、ザントだ』
通信相手はザント。
『今遺跡の外壁を上へと進んでいる。今しがた猛獣のような巨大な咆哮が真下から聞こえた。お前、何か知ってるか』
おそらくは、ネメアの咆哮だろうとレオは考える。そして、今はネメアとの戦いの真っ最中である。
「おそらく、それはネメアの咆哮です——テペトラー、ハイドロポンプだ! ——で、僕は今ネメアと交戦中です!」
ネメアの放ってきた怒りの炎を、テペトラーは大量の水で打ち消す。
『そうか、分かった。レオ、今から俺が言うことをよく聞け』
「な、何ですか? ——テペトラー、インファイト!」
怒りの炎が打ち消された隙を狙い、テペトラーはネメアの懐へ飛び込むが、やはりネメアの鉄壁により防がれてしまう。
『ネメアの動きを止めろ。二十秒程度でいい。それで勝てる』
「は、はい?」
『いいからやれ。以上だ、切るぞ』
そしてザントからの通信は切れてしまう。
「何だったんだ…? やるしかないか…頼むぞ、ロップル!」
レオはテペトラーは戻さず、ロップルを出す。
「ほう、増援か? 無駄だと思うがな」
「僕もよく分かんないけど、ロップル、サイコキネシス!」
下っ端の挑発はスルーし、レオはロップルにサイコキネシスを指示。
ロップルは強い念動力を発し、ネメアの動きを止めてしまう。
「無駄なことを。ネメア、引きはがせ!」
しかしネメアは唸り声を上げ、体を震わせ、自力で念動力を振り払ってしまう。
「させるか! テペトラー、波動弾! ロップル、もう一度だ!」
だからこそ、レオはテペトラーを戻さなかった。ネメアが念動力を振り払った瞬間に波動の弾が命中し、ネメアの体勢が崩れる。そこにロップルの強い念動力が再び襲い掛かり、ネメアはまた動けなくなる。
「面倒な戦法だ。ネメア、メタル——」
下っ端の指示は、最後まで聞こえなかった。
ズガァァァァン! という爆音と共に。
突然、天井が破壊されたからだ。
破壊された天井から見えるのは、凶暴ポケモンのサザンドラ。そして、
「よくやった、レオ、これで俺達の勝ちだ」
ザント。
同時に、壊れた天井から何かが急降下し、ネメアの顔面にぶち当たった。
「ズルズキン、とどめだ! もう一発跳び膝蹴り!」
落ちてきたのはズルズキン。ネメアの顔面に強烈な膝蹴りを喰らわせたズルズキンは、さっと着地し、もう一発膝蹴りをネメアの顔面に叩き込んだ。
「僕たちも行くぞ! テペトラー、インファイト!」
このチャンスを逃すレオではない。今度こそ、テペトラーの連続攻撃がまともにヒットした。
テペトラーは怒涛の連続攻撃を叩き込み、最後の回し蹴りでネメアを思い切り吹っ飛ばした。
効果抜群の強烈な三連発は、流石のネメアも耐えられず、戦闘不能となって地面に倒れた。
「……!?」
言葉の出ない下っ端。
それを見下ろしながら、ゆっくりとザントはサザンドラに乗って降りてくる。
「まずは前哨戦。一丁上がりだ」