二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百二十九話 超火力超能力 ( No.314 )
日時: 2012/12/02 00:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: PIT.hrJ/)

「私の本気のシビルドンから先手を取るとは、お見事です。こいつは先鋒戦ではなかなか負けないのですがね」
「それは俺のヘルガーも同じだ」
ザントの言葉に、流石です、とマターは言葉を返し、次のモンスターボールを取り出す。
「それでは次です! ビビッドン、逃げ惑う者全て喰らえ!」
マターの二番手は、ポケモンの中でも一際奇形なポケモン、ビビッドン。
「珍しいポケモンだな。ヘルガー、ダークロアー!」
ヘルガーは悪意に満ちた咆哮と共に闇の衝撃波を撃つが、
「ビビッドン、バグノイズ」
対するビビッドンは狂ったような雑音を発し、闇の衝撃波を破壊し、さらに雑音でヘルガーの動きも止めてしまう。
「そこだ! 十万ボルト!」
すかさず、ビビッドンは強烈な電撃をヘルガーに浴びせかける。
シビルドン戦でのダメージも蓄積していたヘルガーは、ここで戦闘不能となって倒れてしまう。
「よくやった。ヘルガー、休んでおけ」
ヘルガーをボールに戻すと、特に何か話すこともなく、ザントは次のボールを取り出す。
「次はお前だ。暴れて来い、ズルズキン!」
ザントの二番手はズルズキン。ビビッドンをギロリと睨み付けると、胡坐をかいてその場に座り込む。
「おやおや、これはまた異色のバトルスタイル。私並みに性格が悪そうなポケモンですねえ」
「自覚があるだけマシだな。まだ救いようはあるってことか」
「つまらん冗談ですな。ビビッドン、気合玉!」
ビビッドンは手に気合を凝縮し、その弾を投げつける。
「ズルズキン、防御!」
対してズルズキンは自分の脱皮した皮を被り、防御の姿勢を取る。
気合玉は正面から命中、ズルズキンは吹っ飛ばされるが、何事もなかったように余裕で立ち上がり、大きく舌打ちし、ガラの悪い目つきでビビッドンを睨み付ける。
「ズルズキン、やり返せ。龍の舞、そして復讐だ!」
ズルズキンは、力強い龍のように舞い、自身の能力を上げる。
そして、二、三歩歩いたかと思うと、先ほどのだらけた態度が嘘だったかのように、いきなり地を蹴って跳び出し、復讐心を込めた拳でビビッドンを殴り飛ばす。
「さらに追い込め! 飛び膝蹴りだ!」
ズルズキンはいったん着地すると、すぐに勢いよく跳び、ビビッドンの顔面に強烈な膝蹴りを叩き込む。
「そこまでです。ビビッドン、十万ボルト!」
やられっぱなしのビビッドンではない。三本の足でしっかりとバランスを取り、すぐにズルズキンに向き直ると、強烈な電撃を放つ。
攻撃直後のズルズキンは反応が追いつかずに、電撃の直撃を喰らってしまう。
「さらにバグノイズ!」
そのままビビッドンは狂ったような雑音でズルズキンの体の内側にもダメージを与え、
「吹っ飛びなさい! 気合玉!」
構えた両手から気合を凝縮した弾を撃ち出す。
「ズルズキン、立て! ドラゴンテールだ!」
ズルズキンはすんでの所で起き上がると、龍の力を込めた尻尾を思い切り振るい、気合玉を弾き飛ばす。
「仕返しだ。復讐!」
ザントはズルズキンと波長が合うのか、先ほどよりもバトルを楽しんでいるように見える。
ズルズキンはガンをとばすと、拳に憎悪の力を込め、ビビッドンに殴りかかるが、
「ビビッドン、サイコキネシス!」
ビビッドンは強い念動力を操作し、あろうことか柱を強引にへし折り、その柱を操ってズルズキンの拳を止めてしまう。
「そのまま叩きつけろ!」
後退したズルズキン目掛けて、ビビッドンはその柱を思い切り叩きつける。
「こいつは…ズルズキン、跳び膝蹴り!」
防御は無意味だと判断し、ザントは攻撃を指示する。
ズルズキンは地を蹴って跳び、強烈な膝蹴りを柱に叩き込む。
柱の軌道はずれ、何とか回避することは出来たが、柱は少しひびが入った程度で、折れることは無かった。
つまり、
「そのビビッドンのサイコキネシスの威力、桁違いだな」
そう。龍の舞を一度積んだズルズキンの跳び膝蹴りでさえ砕けなかった柱を、ビビッドンは容易くへし折っている。
ズルズキンが悪タイプなので直接は喰らわないが、もし悪タイプでなければ、完全に体の動きを支配されていただろう。
「まあ、そうですね。こいつのサイコキネシスは、持ち上げるだけなら500キロほどあるメタグロスまで持ち上げられます」
操るとなるともう少し軽くないと無理ですね、とマターは軽く告げ、
「おしゃべりはここまでですよ。ビビッドン、気合玉!」
「そうだな。ズルズキン、ドラゴンテールからの復讐!」
ビビッドンは構えた両手から気合を凝縮した弾を放つが、ズルズキンは龍の力を込めた尻尾で気合玉を弾き返すと、憎悪を込めた拳を振るい、ビビッドンの横顔を殴り飛ばす。
「やってくれますね! ビビッドン、気合玉!」
それでもビビッドンの体勢自体は崩れない。ビビッドンは気合を凝縮した弾を手掴みし、直接ズルズキンの腹部へ叩き込み、ズルズキンを吹っ飛ばす。
「そろそろ終わらせましょうか。ビビッドン、バグノイズ!」
ビビッドンは狂ったような雑音を発し、ズルズキンの動きを止め、
「サイコキネシス!」
先ほどの倒れた柱を横なぎに振るい、今度こそズルズキンを叩き飛ばす。
「ジ・エンドです。十万ボルト!」
立ち上がろうとするズルズキンに、容赦のない追撃が叩き込まれる。
ズルズキンは電撃をまともに浴び、その場に崩れ落ちた。
「チッ…ズルズキン、よくやった。休んでおけ」
ザントは少々惜しそうにズルズキンを戻す。やはりズルズキンとはどこか波長が合うのだろうか。
「ならば次はこいつだな。先鋒、次鋒の仇を取ってこい、ネクロシア!」
ザントの次のポケモンは、死神ネクロシア。
「ほう。私のビビッドンほどではないにしろ、異形のポケモンですな」
マターのその言葉はスルーし、ザントはビビッドンを見据え、ネクロシアはそっと右手の爪を構える。