二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百三十一話 吼える炎龍 ( No.316 )
日時: 2012/12/06 20:02
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 1ZQMbD0m)

マターとザントの勝負を、レオとウェイガは少し離れたところから見ていた。
「あのマターとやら、相当なやり手だな。正直ここまで強いとは思わなかったぞ」
「イビルのボスをやっているだけの実力はありますね。僕も以前五割ほどの力を出したマターと戦いましたけど、あれは五割じゃなかったですね」
チャンピオンを追い詰めたザントと互角に戦うその実力。今の自分では勝てないだろう、レオはそう感じた。
確かにレオはザントに勝利しており、ザントは手加減はしないトレーナーだが、手加減をしないことと本気を出すことは似ているがイコールではない。
今ザントは、世界を救うため、全力で戦っている。そういうバトルへの思いは、ジム戦での手加減しない勝負と同じだということはありえない。
実際、そのような勢いでザントがバトルを仕掛けてこれば、レオは確実に勝てない。
そのザント相手に互角の戦いを見せるマター。彼もまた、屈指の実力者だったのだ。
「とりあえず、ザント殿がバトルを終えた後を考えるぞ。奴はすぐにガタノアを動かすだろう。そうなれば…」
「ええ、僕たちも動かないといけませんね。チヅルやキラたちも、一刻も早く来てくれるといいんですけど…」
その時、レオはあるものに目が付いた。
マターがモンスターボールを取り出す際に、手から外し、横に投げ捨てた物。
すなわち、機械の爪、『ゲート』。


「こいつに任せよう。出て来い、ジバコイル!」
ザントの四番手は、地場ポケモンのジバコイル。
「おや、タイプ相性に圧倒的に不利なジバコイルで来ますか。何か策でもあるのでしょうか?」
「お前は何を言っているんだ?」
マターの挑発を、ザントは軽く返す。
「お前は分からないのか? ジバコイルの鋼技がドサイドンに効果抜群だということに。ジバコイル、磁力線!」
ジバコイルはユニットを回転させ、磁力の波を放つ。
磁力線は技の動きが見えず、相殺するのが難しい。
ドサイドンは磁力線をまともに浴びるが、まだ倒れない。
「ドサイドン、地震だ!」
「させん! ジバコイル、ハイドロポンプ!」
ドサイドンが足を踏み鳴らして地震を起こすより早く、ジバコイルは大量の水を噴射し、遂にドサイドンを吹っ飛ばす。
ドサイドンの特防は防御と比べると低い。それでも普通のドサイドンよりは高いが、今までの蓄積ダメージもあり、ドサイドンは遂に倒れてしまう。
「ま、こんなところでしょうね。ドサイドン、戻れ」
マターはドサイドンをボールに戻し、そして次のボールを取り出す。
「そろそろ終わらせましょうか。リザードン、群がるもの全て燃やせ!」
マターの四番手は、尻尾の先に炎を灯し、オレンジ色の体のドラゴンポケモン。
炎・飛行タイプ、火炎ポケモンのリザードン。
前々からマターが空を飛ぶときに使われていたポケモンが、ついに戦線に現れる。
「リザードンか。お互いに有効打はあるが?」
「そうですね。どちらが勝つかは、戦略次第でしょう。リザードン、火炎放射!」
リザードンは雄叫びを上げ、灼熱の炎を噴き出す。
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
対するジバコイルは大量の水を噴射し、炎を打ち消す。
「十万ボルト!」
さらに強烈な電撃を放ち、リザードンを襲う。
「リザードン、ダイヤブラスト!」
対して、リザードンは周囲に煌めく爆風を放ち、電撃を吹き飛ばす。
「そうくるか。ならばジバコイル、バグノイズ!」
ジバコイルは狂ったような雑音を放ち、リザードンの体の内部からダメージを与える。
バグノイズは効果今一つ、しかしリザードンの動きを止めるには十分。
「追撃せよ。ジバコイル、十万ボルト!」
すかさずジバコイルは強烈な電撃を放ち、リザードンを捕える。
「リザードン、これくらいで怯むな。気合玉!」
効果抜群の技一撃程度では、リザードンはやられない。すぐに立ち上がると、気合を凝縮した弾をジバコイル目掛けて投げつける。
「ジバコイル、磁力線!」
ジバコイルは磁力の波を放ち、気合玉を相殺するが、
「火炎放射!」
追撃の手を緩めず、灼熱の炎が飛んでくる。ジバコイルは避けきれず、炎をまともに浴びる。
「チッ、ジバコイル、立て直せ! ハイドロポンプ!」
炎を喰らったジバコイルは、目を点滅させながらも体勢を立て直すと、大量の水を噴射して反撃する。
「リザードン、かわしてダイヤブラスト!」
「ジバコイル、逃がすな! 十万ボルト!」
リザードンはハイドロポンプをかわして飛び上がり、煌めく爆風を放つ。
対してジバコイルも強烈な電撃を放つ。
電撃は爆風により打ち消されるが、威力が弱まり、爆風も届かない。
「火炎放射!」
「ハイドロポンプ!」
すかさずリザードンは灼熱の炎を放つが、ジバコイルも大量の水を噴射。
「さらにもう一発ハイドロポンプ!」
その隙を逃さず、ジバコイルは大量の水を噴射し、リザードンを吹っ飛ばす。
「なかなかやりますね、そのジバコイル。侮れませんね」
「当たり前だ。八年以上前からの仲間だぞ」
言葉のやり取りはあるが、どちらも表情は崩れない。
リザードンは起き上がり、自身を鼓舞するように大きく咆哮する。
ジバコイルもユニットをフル回転させ、リザードンを威嚇する。