二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百三十八話 平和の神 ( No.328 )
日時: 2012/12/14 23:45
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Pa6wZ.rX)

レオは『ゲート』を使い、少しづつ異次元へとつながる空間の亀裂を開いていく。
その様子は、近くでレオを守るチヅルにはもちろん、ガタノアと戦うザントたちの目にもはっきりと見えた。
「もう少しだ! とにかくガタノアの意識をこちらに引き付けろ!」
ザントの声で、ウェイガやキラもガタノアへの攻撃を続ける。
いつの間にか、フウカもロップルを、シアンもノコウテイを出し、加勢している。
そして、ついに。
「やったぞ!」
レオが叫んだその時、亀裂が最大限に達し、その裂け目が広がり、異次元へのトンネルが出来上がる。
同時に、『ゲート』に填め込まれたピースジュエルが輝きだした。
突然、ガタノアの攻撃がさらに激しさを増す。
ガタノアは異次元トンネルの奥から何かを感じるようだ。その更なる暴走は、トンネルの奥に潜む何かへの憤怒にも見え、かつ、その何かに怯えているようにも見える。
そして、異次元トンネルの中から、何かが姿を現す。

そのポケモンの体は白く、緑の模様が入っている。
体長は二メートル強、人型のドラゴンポケモン。
耳は頭の後ろに長く伸び、緑の尾の先は波打ったような形をしている。

ロイツァー、平和ポケモン。ガタノアと対をなし、平和を司る、伝説のポケモンだ。
そして、ロイツァーを目にした途端、ガタノアの咆哮がさらに大きくなる。
「sndvfipoqwerhgu pvqojn vpjasbvw ibvgpwqehfw!!!」
怒りと暴走に任せ、ガタノアは黒い光線を撃ち出す。
対して、ロイツァーは手をかざし、白い光線を放つ。
二つの光線は互いに競り合い、相殺され、爆風を起こす。
その時、レオの頭の中へ、声が語りかけられる。
“勇気ある人間たちよ、下がっていよ。後はワタシが引き受けよう”
レオはびっくりし、辺りを見回す。
ロイツァーがこちらを向き、頷いたのを見て、何が起こったのか理解した。
ロイツァーは、テレパシーでレオの脳内に語りかけてきたのだ。
そして、声が聞こえたのはレオだけではないようだ。
ザントたちも、声に驚いた様子で、ロイツァーを見ていたからだ。
“さあ、下がるのだ。よくワタシを呼び出してくれた、後はワタシに任せよ”
ロイツァーに言われ、レオとチヅルはザントたちのところまで下がる。
「jbknuasbler!!」
ガタノアは動くレオたちに反応し、黒い光線を放つが、
“させぬ!”
ロイツァーが素早く白い光線を放ち、レオたちを助ける。
そして、レオたちがある程度離れたのを確認すると、ロイツァーはガタノアの正面に立つ。
“さあ、ガタノアよ。遊びの時は終わりだ。力を鎮めよ、ワタシたちが力を振るう場所はここではない”
「vprngurheuge!!」
ガタノアは怒りの咆哮を上げ、黒い光線を放つが、ロイツァーは正面からその光線を受け、耐え切ると、
“暴走を鎮めよ! ガタノア、ワタシたちのいるべき場所へと帰るのだ!”
全てを包み込むような、眩い光を放った。
「うわぁ…っ!」
あまりの眩しさに、レオたちは目を開けていられなかった。全員が、目を瞑り、腕で目を抑える者もいた。
その光は、闇を打ち消すように、この遺跡全体を包み込んだ。
「ggggg…gjrnguabgr!!!!!」
ガタノアの断末魔が響き渡る。その断末魔も、やがて小さく細くなっていき、やがて聞こえなくなった。
そして、その光はだんだんと和らぎ、静かに消えていった。
レオたちはゆっくりと目を開ける。
そこにいたのは、お互いに向き合う、ロイツァーとガタノア。
「お互いの抑制能力、か」
レオの隣にいたザントが、口を開く。
「ロイツァーとガタノアは、互いの力を抑制する能力を持っている。片方が暴走した場合、もう片方がその力を鎮められるようにな」
“よく知っているな、人間よ”
ザントの言葉に、ロイツァーが答える。
「gjrhubarj…trihsj」
ガタノアも落ち着きを取り戻したようだ。その声や動きに、先ほどのような狂ったものは見られない。
そして、

「よくやったぞ、皆」

後ろの方から、声が聞こえた。
レオたちが振り返ると、そこにいたのは、
「グレースさん!」
ガタノアの暴走が止まったことで、チャンピオンのグレースも、元の体を取り戻していた。
「何がよくやっただ。初っ端から戦線を離脱した癖しやがって」
ザントの言葉に、グレースは笑いながら申し訳なさそうに頭を掻く。
“それでは、ワタシたちは元の世界に帰るとしよう。迷惑をかけてすまなかったな”
「hhgrenjnb…buibewrw」
ロイツァーとガタノアが言葉を終えるとともに、異次元への扉が開いた。
平和の神と恐怖の神は、再び異次元の向こうへと帰っていった。
そしてそれは、イビルの壊滅と、ウチセトに平和が戻ったことを意味していた。