二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百四十四話 南方生まれの鳥使い ( No.340 )
- 日時: 2012/12/20 00:21
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9Qe5KE35)
次の日。レオは東方の龍門スタジアムへと向かっていた。
レオの本戦は、名誉ある第一試合目。本戦の一番初めを務める形となった。
「緊張するなー。だけど、せっかくのポケモンリーグだ。こんな大舞台、人生でそう何度も経験できるもんじゃない。楽しんでいこう」
緊張する自分に言い聞かせ、気を落ち着かせて、レオは龍門スタジアムへと向かう。
入口をくぐれば、そこはもうバトル会場。
後戻りは出来ないし、負けたらそこで終わり。やり直しは出来ない。
「よし、行くぞ!」
自身を鼓舞するように、レオはスタジアムの入口へと入っていく。
中には、運営スタッフの男性がレオを待っていた。
「もうすぐ第一試合が始まります。私が合図したら、スタジアムへと入ってくださいね」
頑張ってください、とスタッフは付け加え、微笑む。
そして、数分が経過。
「そろそろ、時間です。入場してください」
スタッフが言い、バトルフィールドへの入り口を開ける。
レオは拳を握りしめ、入口へと進んでいく。
レオがフィールドに出るやいなや、実況の声が響き渡る。
「お待たせしました! まもなく、ポケモンリーグ一回戦、第一試合が開始されます!」
実況の掛け声と共に、観客も盛り上がる。
「それでは、東側、レオ選手! 西側、カンタロウ選手! 中央へ!」
レオは、ゆっくりと進み出る。
対して、向こうから歩いてくるのは、白髪のぼさぼさのショートヘアーの少年。服は黒く、白い模様が描かれ、半そで半ズボンという簡素で動きやすい服装だ。
そのトレーナーは特に緊張する様子もない。むしろ盛り上がる観客へ手を振っている余裕ぶりだ。
もちろんレオにはそんな余裕はない。
中央に立った瞬間、そのトレーナーは笑いだす。
「ハッハッハ! まンずまンず、ついに来たべ、ポケモンリーグ本戦!」
やけにテンションの高いトレーナーだ。
「こげなでっけー大会で、イッチ番初めにバトル出来るなンて、オラ感動で鳥肌立ッツまうッぺや!」
言葉にもの凄い訛りがあるそのトレーナーは陽気に叫び、レオの方を向く。
「おッと、すまンすまン。オラはホウエン地方生まれのカンタロウ。世界に羽ばたく鳥使いだべ!」
カンタロウと名乗ったそのトレーナーは、再び天を仰いで高らかに笑う。
「オラはこンなところじゃ収まらね。今は力さ蓄えてるところだけンど、いずれナンバーワンの鳥使いになるンだッぺ! そのために、まずはお前さ倒し、そのまンまの勢いでこの大会優勝してやるべ!」
「どうかな。僕だって、この大会に優勝するために来てるんだ。ただで勝てると思わないでくれよ」
「ハッハ! おもスろいこと言うッぺな! オラに勝てるとでも思ッてるだか?」
「もちろんだぜ」
その言葉を引き金に、二人はモンスターボールを取り出す。
「それでは、第一回戦、レオ選手対カンタロウ選手を始めます。使用ポケモンは三体。それでは、バトル開始!」
そして、二人はポケモンを繰り出す。
「出て来い、リーテイル!」
「羽ばたけ、プレゼンタ!」
レオのポケモンはエースのリーテイル。
カンタロウのポケモンは、赤と白を基調とし、大きな袋の形をした尻尾を持つ、サンタをイメージさせる鳥ポケモン。
プレゼンタ、運び屋ポケモン。氷・飛行タイプ。
相性が不利だが、リーテイルは空を飛べる。条件は互角。しかも、レオは初戦はエースで行くと決めていた。
「行くべ! プレゼンタ、冷凍パンチ!」
プレゼンタは拳に冷気をまとい、リーテイルに殴りかかる。
「リーテイル、ドラゴンビート!」
対して、リーテイルは龍の心臓の鼓動のような音波を放ち、逆にプレゼンタを吹っ飛ばす。
「プレゼンタ、やり返せ! ぶち壊す!」
プレゼンタは今度は腕を振り回し、全力で殴りかかる。
今度の拳は、確実にリーテイルを殴り飛ばした。
「追撃だべ! プレゼンタ、冷凍パンチ!」
吹っ飛んでいくリーテイルを、プレゼンタは拳に冷気をまとって追う。
「来るぞ! リーテイル、回避だ!」
リーテイルはプレゼンタを見据え、何とか急上昇し、プレゼンタの拳の一撃を避ける。
「まだだべ! プレゼンタ、種爆弾!」
上空目掛けて、プレゼンタは種を投げつける。
リーテイルは尻尾で跳ね返そうとするが、尻尾に当たった瞬間に種は破裂し、リーテイルを吹っ飛ばす。
「くっ、リーテイル、エアスラッシュだ!」
体勢を崩しながらも、リーテイルは羽ばたき、無数の空気の刃を飛ばす。
「なンつー量だ……プレゼンタ、ぶち壊す!」
エアスラッシュの量にカンタロウは驚くが、プレゼンタは怯まない。
拳を振るい、空気の刃を次々と破壊していく。
「今だ! リーテイル、リーフブレード!」
その隙にリーテイルは素早く接近し、尻尾の葉でプレゼンタを切り裂く。
「プレゼンタ、怯むな! 種爆弾!」
プレゼンタはくるりと後ろを振り向き、リーテイル目掛けて種爆弾を投げつける。
リーテイルの背後で炸裂し、リーテイルは撃墜されたかのように地面に落ちる。
「よっしゃ! プレゼンタ、冷凍パンチ!」
落ちていくリーテイル目掛けて、プレゼンタは拳に冷気をまとい、思い切り殴りかかる。
「まずい! リーテイル、ドラゴンビート!」
しかし、リーテイルは地面すれすれで体勢を取り戻し、何とか飛び上がる。
龍の心臓の鼓動のような音波を放ち、プレゼンタを弾き返す。
「危ねえ……今の喰らってたら、まずかったな」
「なかなかやるな。けンど、そンくらいの動きじゃ、オラの鳥ポケモンには勝てンッぺや」
リーテイルとプレゼンタは再び上空に飛び上がり、にらみ合う。
ポケモンリーグ本戦、第一試合。レオの相手は、訛りが激しい、鳥ポケモン使いの陽気なトレーナー、カンタロウです。こういうキャラはどこかで使おうと思っていましたが、訛りを書くのが難しいです。特有の訛りを上手く書けている自信はまったくありません。多少訛り方がおかしくても、大目に見てやってください。さて、次回はカンタロウとの試合の続きです。それでは、次回もお楽しみに!