二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百四十六話 その根性は炎の如く ( No.344 )
- 日時: 2012/12/21 23:53
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9Qe5KE35)
「バフォット、メガホーン!」
「ドンカラス、不意打ち!」
バフォットは角を構えるが、突進する直前にドンカラスが背後に現れ、一撃を見舞う。
「怯むな! バフォット、もう一度だ!」
ドンカラスが戻ってきたところを狙い、バフォットは角を構え直して突進し、ドンカラスを突き飛ばす。
しかし、なぜか先ほどよりもダメージがあまり通ってないように見える。
「? 気のせいか……バフォット、メタルブラスト!」
更にバフォットは鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「ドンカラス、熱風!」
対して、ドンカラスは熱い風を起こし、メタルブラストを相殺。
……と思われたが、確かに威力は弱めたものの、完全に相殺が出来ず、残ったエネルギー波がドンカラスに命中する。
(やっぱり、何かおかしい。奴の能力が変化してる)
やはり気のせいではなかったと、ここでレオは確信する。ドンカラスの能力に異変が起こっている。
「何さ考えてるかは知らねけど、そげな暇与えねェべ! ドンカラス、熱風!」
ドンカラスが再び熱い風を吹きつけ、バフォットはまともに熱風を浴びる。
やはり、先ほどと比べ、ダメージは減っている。
(待てよ。能力がおかしくなったのは、さっきのハリケーンからか。まさか……?)
本当にハリケーンが原因なのかは分からないが、考えうる可能性はそれしかない。
「試してみるか。バフォット、ぶち壊す!」
バフォットは地を蹴り、全力で突進する。
「ドンカラス、熱風!」
ドンカラスは執拗に効果抜群の熱風を繰り返す。
だが、バフォットの勢いは熱風に打ち勝ち、渾身の一撃をドンカラスに命中させる。
「もう一度ぶち壊す!」
吹っ飛んでいくドンカラスを追うように、バフォットはさらに突進を続ける。
「ならこれしかねえべや! ドンカラス、ハリケーン!」
再びドンカラスは暴風を巻き起こし、今度こそバフォットの突進は止まる。
しかし、吹っ飛ばされなかった。蹄を地面に食い込ませ、今度はしっかりと耐え切る。
「まだまだ! もう一発!」
バフォットの連続攻撃は止まらない。またドンカラス目掛けて突っ込んでくる。
「チッ、ドンカラス、ハリケーン!」
ドンカラスも再び暴風を巻き起こすが、ついにバフォットは暴風と競り合い、そして暴風を打ち破った。全力の激突が、ドンカラスに命中する。
「やっぱりな」
カンタロウに向けて、自信に満ちた表情と共にレオは言う。
「ハリケーンは確かに強力な技だ。それと同時に、追加効果がかなり多い」
その証拠に、とレオは続け、
「ハリケーンを放つたびに、ドンカラスの技の威力は落ちている。不意打ちの威力は変わっていなかったから、特攻が下がるんだろう。でも、特攻に対し、耐久力は上がる。今のバフォットの猛攻をまともに喰らい続けているんだ、普通のドンカラスの耐久力を考えればもう倒れていてもおかしくないのに」
ドンカラスはまだ耐えている。まだ倒れていない。
そして、レオの言葉を聞き終えると、カンタロウは高らかに笑う。
「ハッハッハ! なかなかやるなお前、その通りだべ! だけンど、オラのドンカラスには悪巧みがある。下がッた特攻も元通りだッぺ」
そして、
「ドンカラス、悪巧み!」
ドンカラスは体勢を立て直すと、何かを企んで脳を活性化させる。しかし、
「遅えんだよ! メガホーン!」
既にバフォットが角を構えて突進し、ドンカラスを吹っ飛ばしていた。
「とどめだ! メタルブラスト!」
吹っ飛ぶドンカラス目掛けて、バフォットは鋼エネルギーを発射する。
体勢を崩しているドンカラスをまともに捕らえ、ついにドンカラスは地面に落ち、戦闘不能となる。
「チッ、よーやッたべドンカラス。戻れ」
カンタロウは悔しそうにドンカラスを戻すが、すぐに余裕を取り戻し、
「まンずまンず、ついにオラのエースの登場だなや。覚悟するッぺ!」
カンタロウは最後のボールを取り出す。
「羽ばたけ、オオスバメ!」
カンタロウの最後のポケモンは、ツバメのような姿のポケモン。尾羽はピンと立ち、目つきは鋭く、頭頂部の羽毛は尖っている。
オオスバメ、ツバメポケモン。ノーマル・飛行タイプ。
そしてこのオオスバメ、首から赤い玉を提げている。カンタロウの趣味だろうか?
「何だありゃ。まあいいか、バフォット、メタルブラスト!」
バフォットは新たなる敵を見据え、吼えると、鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「オオスバメ、守る!」
対して、オオスバメは守りの結界を作り出し、砲撃を完全防御。
「だったらバフォット、ぶち壊す!」
バフォットは地を蹴り、オオスバメ目掛けて全力で跳ぶ。
「オオスバメ、避けろ!」
しかし、オオスバメは素早く横に逸れ、バフォットの突撃を回避。
「メタルブラスト!」
着地すると、再びバフォットは鋼エネルギーの攻撃を放つが、
「オオスバメ、もー一回避けろ!」
再びオオスバメは軽やかな動きで鋼エネルギーを避ける。
「メガホーン!」
「守る!」
バフォットは猛攻を仕掛ける。硬い角でオオスバメを突き刺すが、オオスバメはまたしても結界を作り、完全防御。
「そろそろだべ……」
ふとカンタロウが呟いた、次の瞬間。オオスバメの首の玉が赤く輝きだす。
そして、
オオスバメは、炎に包まれた。
「!?」
思わず呆然とするレオ。何が起こったか、理解できない。
「来たべ! オオスバメ、ブレイブバード!」
炎をまとったまま、オオスバメは突貫する。
一瞬にしてバフォットを吹っ飛ばし、バフォットは壁に激突し、戦闘不能となってしまう。
「バフォット!? 何が起こった……? しかも今の威力は……」
「何があッたか、教えてやるッぺ」
オオスバメを包む炎は消えたが、腹部には火傷の後。
「オオスバメの首の玉は、持ッたポケモンさ火傷にさせちまう道具、火炎玉。だけンど、オオスバメの特性は、状態異常ン時に攻撃が跳ね上がる根性だべ」
つまり、とカンタロウは続け、
「今のオラのオオスバメは、攻撃力さ跳ね上がッてンだべ! これがオラのエースだッぺ!」
高らかに叫ぶ。
「なるほどな。ありがとう、バフォット。休んでてくれ」
レオはバフォットを戻し、最後のボールを取り出す。
「もうお前しかいないよな。頼んだぞ——」
レオ対カンタロウ、その三です。カンタロウのエースは、通称『焼き鳥型』とも言われる、火炎玉根性型オオスバメ。攻撃力が跳ね上がり、そこから繰り出される高威力の技で、相手をなぎ倒す型です。レオはこの強敵にどう立ち向かうのか?さて、次回は、レオ対カンタロウ、決着です。それでは、次回もお楽しみに!