二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百五十二話 幸福はどちらへ訪れるか ( No.354 )
- 日時: 2012/12/29 00:13
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: omqSuZTj)
「行くぜ! テペトラー、ハイドロポンプ!」
テペトラーは一声上げると、大量の水を噴射する。
ナナネのパンプッチのものと比べても、威力の違いがよく分かる。
「オオイナリ、サイコバーン」
対してオオイナリは念力の爆発による衝撃波を起こし、水を相殺。
「パワーは互角か……だったら、波動弾だ!」
今度はテペトラーは波動を溜め込んだ弾を撃ち出す。
「必中技……オオイナリ、火炎放射」
波動弾は必中技ゆえ、回避は不可能。
オオイナリは灼熱の炎を噴きだし、波動弾を相殺すると、
「高速移動」
一瞬ののちに、瞬間移動でもしたかのような素早さでテペトラーの後ろに現れる。
「サイコバーン」
すかさずオオイナリは念力を爆発させて衝撃波を起こし、テペトラーを吹っ飛ばす。
「続いてエナジーボール」
さらにオオイナリは自然の力を溜め込んだ弾を放って追撃する。
「くっ、テペトラー、冷凍パンチ!」
受け身を取って素早くテペトラーは起き上がり、冷気を込めた拳でエナジーボールを打ち返し、
「これならどうだ! インファイト!」
地を蹴って跳び出し、一気にオオイナリまで迫る。
しかし、
「オオイナリ、高速移動」
またしてもオオイナリは一瞬で移動し、テペトラーとの距離を取る。
「火炎放射」
「させるか! ハイドロポンプ!」
オオイナリは灼熱の炎を放つが、テペトラーもすぐに向き直り、大量の水を噴射する。
流石に炎技では水技には勝てない。大量の水は炎を打消し、オオイナリに正面から水が命中する。
「チャンス! テペトラー、インファイト!」
すぐさまテペトラーは地を蹴って跳び、オオイナリに迫る。
そのまま怒涛の連続攻撃を浴びせ、最後の一蹴りでオオイナリを思いっきり吹っ飛ばした。
「格闘技なら効果今一つ、だから大丈夫。オオイナリ、立て直して。連続でエナジーボールよ」
オオイナリはしっかりと体勢を取り戻し、自然の力を込めた弾を連発する。
「テペトラー、こっちもだ! 波動弾連発!」
対して、テペトラーも波動弾を連続で放ち、自然の弾を次々と相殺していく。
だが、
「後ろが見えてないわよ。オオイナリ、サイコバーン」
いつの間にかオオイナリは高速移動を使用し、テペトラーの後ろへと回っていた。
そのまま念力の爆発の衝撃波を起こし、テペトラーを再び吹っ飛ばす。
(やっぱり速い……隙が無さすぎる)
うかつに攻撃を仕掛けても、躱されて背後からの反撃を喰らうのみ。
かと言って、ずっと待ってるわけにもいかない。
そして、レオが導き出した答えは、
「だったらテペトラー、壁際まで下がるんだ!」
テペトラーは後ろへ跳び、壁に背を付ける。壁まで下がれば、オオイナリは後ろへ回れない。
「これなら! テペトラー、ハイドロポンプ!」
その位置からテペトラーは大量の水を噴射する。
しかし、
「そのくらい対策済みよ。オオイナリ、高速移動」
オオイナリはまたしても消える。そして、
「サイコバーン」
オオイナリが現れたのは、テペトラーの真上。
「やっべ、テペトラー、回避!」
咄嗟にテペトラーは大きく横っ飛びし、衝撃波は避ける。
「逃がさないわ。エナジーボール」
だが、そこに自然の弾の追撃が飛んできて、体勢が整っていないテペトラーへと命中する。
「ちっ、壁際作戦も駄目か……!」
仮に次に真上を警戒したとしても、次にはオオイナリは無警戒な横から出てくるだろう。
「オオイナリ、高速移動」
さらにオオイナリはテペトラーへと接近、背後に現れる。
「くっそ、回避だ!」
体勢さえ崩れていなければ、背後からの一撃は避けられる。
だが、反撃の余裕がない。
「くっそ、テペトラー、連続で波動弾!」
テペトラーは必中の波動弾を連発する。
「オオイナリ、火炎放射」
対してオオイナリは炎を噴き出し、波動弾をいくつか相殺。
残った波動弾が命中するが、効果今一つであり、サイコバーンの追加効果の特防アップも発動しているのか、さほど大きなダメージではない。
「相手が悪かったわね。確かにそのテペトラーは強い、実力的には私のオオイナリとほぼ互角。けど、私のオオイナリとはポケモンの相性が悪すぎる。私みたいに魔法でも使えない限り、貴方にはもう勝ち目はないわ」
ナナネのその言葉にレオは歯噛みするが、魔法云々はともかく、戦況は実際その通りなのだ。
攻撃を与えられる隙が無さすぎる。
「そろそろ決めるわよ。オオイナリ、高速移動」
オオイナリは一瞬でテペトラーの後ろに回る。
「くっそ、テペトラー、後ろだ! 避けろ——」
苦し紛れに、レオはテペトラーに回避を指示する。その時、閃いた。
(何だ。攻撃の隙、あるじゃんか)
レオの表情に余裕が戻ってくる。そして、ナナネはそれに気づかない。
「しぶといわね。オオイナリ、高速移動からサイコバーン」
再びオオイナリはテペトラーの後ろに回る。
その瞬間。
「そこだ! テペトラー、そのまま後ろにインファイト!」
レオが考えたのは、簡単なことだった。回避するだけの『隙』が、そこにあったのだ。
しかし、振り向いてから構えるのでは、サイコバーンのスピードに負ける。
だからレオは、そのまま、と指示した。
そして、テペトラーもその指示を理解したようだ。
テペトラーは拳を思い切り後ろに振るい、念力の衝撃波よりも速く、裏拳のようにオオイナリを殴り飛ばす。
そして今度こそしっかりと向き直り、殴る蹴るの怒涛の連続攻撃を叩き込む。
そして止めの一撃は、オオイナリの首元を掴み、思い切り地面に叩きつける。
「こいつでもらった! テペトラー、ハイドロポンプ!」
今まで散々攻撃されてきた恨みでも晴らすかのように、テペトラーは最高火力の大量の水を、この至近距離でオオイナリ目掛けて撃ち出した。
流石のオオイナリでも避けられず、至近距離からの大量の水を正面からまともに喰らう。
「うそっ!? オオイナリ!」
ナナネが初めて大きな声を出した。
「とどめだ! 冷凍パンチ!」
最後にテペトラーは、冷気をまとった拳を、オオイナリの横腹へと思い切りぶち込んだ。
オオイナリの動きが止まる。戦闘不能、テペトラーの逆転勝利だ。
「っ……あー……」
ナナネは悔しそうな表情を見せ、息を吐くと、オオイナリを戻した。
「私の負けよ。ここまで追い詰めたのに、やられるなんて」
「いやいや、正直危なかったさ。あそこの隙に気付かなかったら負けてた」
そして、レオとナナネは戦いの後の握手を交わす。
「このバトルには負けたけど、この勝負から得た経験は、私の魔法の力に刺激を与えてくれたわ。また会うことがあれば、今度は魔法もポケモンももっと強くなった私と勝負してよね」
「もちろん。どこまでが本当の話か分かんないけど、次に会ったら、こっちからもバトルをお願いしたいさ。またポケモンバトルしようぜ」
とりあえず、レオは二回戦も勝利。午後からの三回戦に勝てば、準々決勝に進出だ。
ナナネ戦、決着です。ナナネのエース、オオイナリに敗北寸前まで追い詰められたレオとテペトラーですが、レオの機転で逆転に成功し、見事オオイナリを下しました。他にも書きたいことがありますが文字数がピンチなのでこのへんで。次回もお楽しみに!