二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百五十三話 天敵 ( No.355 )
日時: 2012/12/31 21:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: omqSuZTj)

「それでは、十五分程度の休憩を挟み、二回戦の第三試合と第四試合を行います!」
実況の声が響く。
レオがスタジアムを出、控室に戻ると、
「レオ君、どうだった?」
次に試合を控えたシアンがいた。
「もちろん勝ったぜ。最後は少し危なかったけど。シアン次試合みたいだけど、自信は?」
「うん、ちょっと次の相手が強敵でね、厳しいかも。まあ勝つけどね」
「流石だな。次の試合、観客席から応援してるぜ。頑張れよ!」
レオはシアンに手を振り、次はシアンの応援のために観客席へ向かう。


「レオさん! 好調ですね、二回戦突破おめでとう!」
続いて観客席でレオはフウカに会った。
「フウカ! 二回戦はどうだった?」
「私も勝ちましたよ。午後の試合に勝てば中央スタジアム進出です」
フウカも順調に勝ち進んでいるようだ。
「ところで、次のシアンの相手が結構強敵らしいけど」
ふとレオが言うと、
「そうなんです」
フウカの表情が急に真面目になる。モニターの、シアンの相手の顔を指さし、
「前、シアンさんが格闘タイプが苦手だって言ってたんですけど、あの相手、格闘タイプ使いです」
「えっ? マジ!?」
慌ててフウカの方を向くレオ。
「ええ、間違いありません。一回戦を見てましたが、三体とも格闘タイプでした」
「大丈夫かな、シアン……」
「ですけど、シアンさんのポケモンは相当な実力派です。戦略次第では、充分に勝てる実力を持ってます」
「だよな。とりあえず、応援するしかないな」
まもなく休憩時間が終わり、シアンの試合が始まる。


「それでは、二回戦の第三試合を始めます。東側、ゲンゾウ選手! 西側、シアン選手、前へ!」
西側からはシアンが、東側からは茶髪のショートヘアーで、目つきの鋭い、ヤンキー風貌の男が出てくる。
「おうおうおう! このゲンゾウ様の相手が、こんな弱そうな奴で大丈夫なのかぁ?」
「大丈夫だよ。だって戦うのはポケモンだからね」
ヤンキー男・ゲンゾウの挑発を、シアンは無表情のまま軽く受け流す。
「それでは、第二回戦、ゲンゾウ選手対シアン選手のバトルを始めます。使用ポケモンは三体、それでは、始め!」
審判の言葉と共に、二人はポケモンを繰り出す。
「テッコンボ、出て来いやぁ!」
「行くよ、セルディー」
ゲンゾウのポケモンは、人型をベースに、耳に2つ拳を生やした、合計四つの拳を持つポケモン、テッコンボ。
対して、シアンのポケモンは人魚ポケモンのセルディー。
「ハッ! そんな弱そうなポケモンで俺様に勝てるつもりなのかよ!」
「見た目と実力は違う、ってね。セルディー、スターフリーズ」
セルディーは前方に手をかざし、星形の巨大な氷塊を飛ばす。
「テッコンボ、マグナムパンチ!」
対してテッコンボはミサイルのように勢いのあるパンチを繰り出し、氷塊を破壊する。
「続いて雷パンチだ!」
「かわしてアクアジェット」
テッコンボは拳を構えてセルディーに接近し、電撃を込めたパンチで殴りかかるが、セルディーはそれを軽やかに避け、水をまとってテッコンボに突撃し、吹っ飛ばす。
「ケッ! テッコンボ、もう一回雷パンチ!」
テッコンボの一番高い能力は防御。すぐに起き上がると、再び耳の拳に電撃をまとい、セルディーに殴りかかる。
「セルディー、シャドークロー」
対してセルディーは持ち前の素早さを生かして拳を潜り抜け、後ろに回り、影の爪で背後からテッコンボを切り裂く。
「まだだ! 炎のパンチ!」
しかしテッコンボは体勢を崩さず振り向き、炎を灯した拳でセルディーを殴り飛ばす。
「どんどんいくぜ! マグナムパンチ!」
「させないよ。セルディー、サイコバレット」
テッコンボはミサイルのように勢いのある拳を繰り出すが、それよりも早くセルディーが念力の銃弾をマシンガンのように発射し、逆にテッコンボを吹っ飛ばす。
「さらにスターフリーズ」
セルディーは追撃の手を緩めない。星形の氷塊を放ち、追撃する。
「舐めんなよ! テッコンボ、炎のパンチ!」
対して、テッコンボは体勢を崩しながらも炎を灯した拳で氷塊を破壊し、
「雷パンチ!」
拳に電撃をまとい、勢いよく殴りかかる。
「セルディー、かわしてアクアジェット」
セルディーは先ほどと同じように拳を掻い潜り、背後を取ろうとするが、
「へっ、二度も同じ手は喰らわねえぜ! テッコンボ!」
ゲンゾウの声で、テッコンボは申し訳程度の小さい手のほうに電撃をまとわせ、セルディーを殴り飛ばす。
耳の大きな拳に比べると力は劣るものの、それでも効果は抜群。セルディーは正面から拳を受け、吹っ飛ばされる。
「へえ、少しはやるみたいだね。だけど、これでむしろ有利になったよ」
だが、シアンの表情は揺るがない。
無表情云々の問題でなく、焦りなどの感情を一切感じていないのだ。むしろ、その表情にはわずかだが自信も感じられる。
「あ?」
「そのテッコンボ、よく見てみたら?」
苛立ちを募らせながら、ゲンゾウは自分のテッコンボを見直してみる。
すると、テッコンボは酔っぱらいのようにふらつき、目がハートマークになっていた。
「セルディーの特性、メロメロボディだよ」
シアンは淡々と告げる。
「そのテッコンボ、セルディーの特性でメロメロ状態になったんだ。それじゃろくに戦えないね」
それを聞き、ゲンゾウは露骨に舌打ちし、
「そんなもんに構うな! テッコンボ、マグナムパンチ!」
しかし、テッコンボは動かない。いや、動けないと言った方が正しいか。
そして、そんなテッコンボとゲンゾウを見て、シアンの口元はわずかに緩む。




うーむ、どうも終わり方が微妙ですね。今年最後の執筆なのですが、終わり方だけがどうもしっくりきませんが、まあいいでしょう。さて、今回はシアン対新キャラ・ゲンゾウ。シアンの苦手な格闘タイプ使いです。いやー、格闘タイプに弱いって聞いたら、格闘タイプ使いと戦わせるしかないでしょう(ドS)。シアンが格闘タイプ相手にどう戦っていくのか、お楽しみください。さて、次回は続き。今年一年ありがとうございました。来年もパーセンターを、『ポケットモンスター 平和の光と恐怖の闇』をよろしくお願いします。それでは、次回もお楽しみに! そして、よいお年を!