二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百五十五話 暴君竜 ( No.359 )
日時: 2013/01/04 17:57
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: omqSuZTj)

「コジョンド、ストーンエッジ!」
「ノコウテイ、スピンテール」
コジョンドの放つ無数の尖った岩を、ノコウテイは開店させた尻尾を振るって弾き飛ばし、
「火炎放射」
すかさず灼熱の炎を放ち、反撃する。
「コジョンド、かわして跳び膝蹴り!」
コジョンドは横へと跳んで炎を避けるが、そこで麻痺が発動し、跳び膝蹴りを発動できなかった。
「チャンス。ノコウテイ、ドラゴンダイブ」
その隙を逃さず、ノコウテイは跳び上がり、上空から殺気と共に急降下。
当然コジョンドは避けられず、大きく吹っ飛ばされる。
「くっそお! コジョンド、波動弾!」
「これで終わりだよ。ノコウテイ、スピンテール」
体勢を崩しながらコジョンドが放った波動弾を、ノコウテイは尻尾を回転させながら振るって弾き飛ばし、逆にコジョンドへとぶつける。
さらにノコウテイはもう一回転して、尻尾をコジョンドへと叩き込む。
コジョンドは思い切り地面に叩きつけられ、戦闘不能となった。
「よくやったぜ、コジョンド。戻ってろ」
ゲンゾウはコジョンドを戻し、
「なかなかやるな。だが、このゲンゾウ様のエースには勝てないぜ」
最後のボールを取り出す。
「ズルズキン、出て来いやぁ!」
ゲンゾウの最後のポケモンはズルズキン。ザントも使用していた、不良のようなポケモンだ。
ザントのズルズキンのような性格ではないようで、いきなり胡坐をかいて座り込んだりはしない。
「へえ。ノコウテイ、蛇睨み」
ノコウテイは蛇のような鋭い眼光でズルズキンを睨み付け、ズルズキンを麻痺させる。
が、
「無駄だぜ!」
ズルズキンの体が光りだし、瞬く間に麻痺が治ってしまう。
「ズルズキンの特性は脱皮。状態異常はすぐに治る。マグナムパンチ!」
ズルズキンは地を蹴って跳び、ミサイルのような拳を向ける。
「ノコウテイ、スピンテール」
ノコウテイは尻尾を回転させ、ズルズキンに叩きつけるが、しかしズルズキンはその尻尾を踏み台にし、そこからさらに跳び、ノコウテイの顔面に拳の一撃を浴びせる。
コジョンド戦でのダメージに加え、顔面に効果抜群の一撃を喰らったノコウテイは、ここで戦闘不能となる。
「ノコウテイ、ありがとう。戻って」
シアンはノコウテイを戻し、最後のボールを構える。
「エスパー技が通じないのが痛いけど……行くよ、ティラノス」
シアンの最後の一手が姿を現す。しかし、そいつはシアンの力の抜けた声からは想像のつかないような化け物だった。
古代の恐竜のような姿をした、六メートルを超える、非常に頑強な褐色の体。体は岩のように硬く、爪や牙は非常に鋭い。
ティラノス、暴君ポケモン。岩・悪タイプ。
ティラノスは鋭く荒々しい眼光を向けて威嚇し、そしてシアンは、呆然とするゲンゾウへと言葉を向ける。
「どうしたの? 怖いの?」
「……ケッ、このゲンゾウ様に怖いものなんかねえぜ。やるぞ、ズルズキン!」
心を奮い立たせるゲンゾウ。
「行くぞ! ズルズキン、マグナムパンチ!」
ズルズキンは拳を構えて、ティラノスへと迫る。
「ティラノス、かわして龍の舞」
対して、ティラノスは意外にも俊敏な動きでズルズキンの拳を避けると、龍のように力強く舞い、攻撃と素早さを上げる。
「こざかしい手を! ズルズキン、ドラゴンクロー!」
ズルズキンは手に龍の力を込め、蒼白い爪を作り上げ、ティラノス目掛けて切りかかる。
「かわして龍の舞」
ティラノスは再び素早い動きで爪を避け、再び龍のように舞う。
「こらあ! 攻めてきやがれ! マグナムパンチ!」
再びズルズキンはミサイルのように勢いよくパンチを繰り出すが、
「もうちょっと待ってね。かわして龍の舞」
またしてもティラノスは拳を避け、龍のように舞って攻撃力と素早さを上げる。
「もう一回」
ティラノスは連続で舞う。これでティラノスの攻撃力、素早さは通常の三倍。
「じゃ、攻撃してあげるよ」
シアンの口元がわずかに動いた。

「ティラノス、グランボールダ」

ティラノスがスタジアムを揺るがす咆哮を上げる。
刹那、地面から大小様々な岩石が飛び出し、ズルズキンへと襲い掛かり、ズルズキンの動きを完全に封じてしまう。
「ティラノス、ぶち壊す」
そしてティラノスは恐ろしい勢いでズルズキンへと突撃し、覆いかぶさる岩を容易く破壊し、ズルズキンごと思い切り吹っ飛ばしてしまう。
ズルズキンは壁に激突し、さらに壁にめり込んで戦闘不能となった。
ゲンゾウは口をぽかんと開け、唖然とするのみ。
「は……は、はぁ!?」
ようやくゲンゾウの口から、言葉ともならない言葉が出た。
まさかエースのズルズキンがたった二発で倒されるなど、思ってもいなかったのだろう。
「頑張ったね、ティラノス。流石だよ」
シアンはティラノスをボールに戻し、ゲンゾウを一瞥すると、無言でスタジアムを去っていった。
「……あのティラノス、尋常じゃないでね。私のポケモンでも苦戦を強いられそう」
レオの横で試合を見ていたフウカが、レオへと言葉をかける。
「ああ、僕も思った。あのティラノスの力は半端じゃない」
まさかシアンがあんな隠し玉を持っているとは思わなかったが、楽しみでもあった。
もしかしたら、次でシアンと当たるかもしれないのだ。
そして、レオはふと時計を見る。
「フウカ、もうチヅルの試合が始まってるかもしれない。行こうぜ」
「はい、そのつもりですよ」
龍門スタジアムを出て、レオとフウカはチヅル対シュウヤの試合へと向かう。




シアン対ゲンゾウ、決着です。シアンのエース、ティラノスですが、このポケモンは僕も大好きですね。攻撃力が尋常じゃないほど高く、耐久力は非常に低いという極端な種族値となっています。図鑑説明に素早いとありますが、図鑑説明だけでなく、実際結構速いんですよ。悪タイプが結構好きなので。さて、次回はチヅル対シュウヤです。それほど長くはしないつもりです。それでは、次回もお楽しみに!