二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百六十話 龍爪と鉄拳 ( No.364 )
- 日時: 2013/01/16 00:32
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: aUi6IQQT)
- 参照: 後書きェ……
ティラノスの拳と、テペトラーの拳が交錯する。
競り合うことなく互いの拳が標的へと命中、直後、お互いに大きく吹っ飛ばされる。
だが、今度は確実にティラノスのほうがダメージが大きい。テペトラーは悪技を半減するのに対し、ティラノスは格闘技を抜群で受けてしまうからだ。
しかしそれでも、ティラノスは起き上がる。不屈と憤怒の感情を込め、テペトラーを睨み付ける。
対するテペトラーも、静かに拳を構え直し、ティラノスの目を見据える。
「ティラノス、グランボールダ」
そしてシアンが動いた。
ティラノスが地面に力を撃ち込んだと共に、テペトラーの足元から大量の岩石が飛び出し、テペトラーへと襲い掛かる。
「こいつが厄介だ……! テペトラー、ハイドロポンプ!」
テペトラーは大量の水を薙ぎ払うように噴射し、襲い来る岩を片っ端から破壊していく。
「冷凍パンチ!」
残った岩が降ってくるが、テペトラーは冷気を込めた拳で岩を殴り飛ばし、逆にティラノスへと打ち返す。
「ティラノス、思念の頭突き」
だが、ティラノスとてこの隙をぼーっと見ている訳がない。
水で岩がほとんど薙ぎ払われた時点で、ティラノスは額に思念の力を込め、突撃してくる。
冷気で氷塊と化した岩などお構いなく粉砕し、一気にテペトラーへと迫る。
「冷凍パンチじゃダメだったな……ハイドロポンプだ!」
対してテペトラーは大きく啼き、大量の水を噴射して迎え撃つ。
競り合った末に、テペトラーの水が押し切り、ティラノスを吹っ飛ばした。
「チャンス! 波動弾だ!」
テペトラーは両手を構えて、波動を凝縮した弾を撃ち出す。
「来るよ。ティラノス、ぶち壊す」
競り合っていたので、ダメージはそう多くは無い。
ティラノスはすぐさま体勢を立て直し、爪を振り下ろして波動弾を破壊、さらに、
「ぶち壊す」
猛々しく吼えると、立ち塞がるもの全てを破壊する勢いで突撃する。
「来るぞテペトラー、インファイトで迎え撃て!」
テペトラーも地を蹴って跳び、拳を突き出す。
テペトラーが拳の猛攻を放ち、ティラノスもテペトラーに負けない勢いで拳を連続で撃ち出す。
最後の一撃は、ティラノスは尻尾を思い切り振り下ろし、テペトラーは腰をひねって渾身の回し蹴りを繰り出す。
威力は完全に互角。しばし競り合い、お互いに離れる。
「でも、ティラノスにはまだ龍の舞がある。ティラノス」
「積ませない! テペトラー、波動弾!」
ティラノスが舞おうとした瞬間に、テペトラーは波動弾を放ち、ティラノスの動きを止める。
「くっ、ティラノス、思念の頭突き」
龍の舞を中断し、ティラノスは思念の力を込めた頭突きで波動弾を破壊。
レオとしては、龍の舞だけは絶対に積ませてはならないのだ。もともと攻撃の高いティラノスに、これ以上攻撃力だけではなくスピードによる勢いまで追加されたら手が付けられなくなるのは明らかだ。
「ハイドロポンプ!」
さらにテペトラーは大量の水を噴射し、追撃する。
「ティラノス、躱して思念の頭突き」
ティラノスはハイドロポンプを横に逸れて避けると、額に思念の力を込めて突撃。
「テペトラー、潜り込んで冷凍パンチだ!」
対して、テペトラーも冷気を込めた拳を構え、地を蹴って跳び出す。
ここで正面衝突なら、先ほどのようにテペトラーは勝てない。
だから、ティラノスと激突する寸前、テペトラーは体勢を屈め、ティラノスの顎の下に潜り込む。
そこからアッパーカットの如く上に拳を突き出し、ティラノスの顎に拳を叩き込んだ。
ティラノスが大きく仰け反り、後ろへと下がる。
「ハイドロポンプ!」
そこにすかさずテペトラーが大量の水を噴射。
ティラノスは体勢を崩しており、それでも何とか避けようとしたが、避けきれず、水の一撃を喰らう。
「こうなったら……ティラノス、覚悟を決めるよ」
シアンの言葉に、ティラノスは頷く。
「ティラノス、最強の一撃を。グランボールダ」
ティラノスは大きく跳び、そのままの勢いで地面へと落下、地震にも匹敵する地揺れを起こす。
その反動で、テペトラーの周り一体から大小様々な岩が飛び出す。
ただし、通常の、ではない。
今までとは比にならない、それこそとんでもない量の岩がテペトラーへと飛来し、テペトラーを覆い尽くす。
「テペトラー、脱出するしかない! インファイト!」
岩の中で、テペトラーは怒涛の勢いで拳を撃ち込むが、そう簡単に岩は崩れたりしない。
「これで終わりにしよう。ティラノス、ぶち壊す」
ティラノスは勝ち誇ったような、悪魔のような咆哮を上げる。
二回戦、敵のエースを一撃で粉砕したあの一撃がレオの脳裏をよぎった。
そして、ティラノスはまさにその勢い、いや、それを超える勢いで一直線にテペトラーへと向かう。
その姿はまさに、古代の王者と謳われた、暴君の姿であった。
ティラノスが岩に激突する。
まさにその時だった。
「このチャンスを待ってた! テペトラー、インファイトだ!」
ティラノスが岩を粉砕し、岩の中のテペトラーへと暴虐の手をかざしたその瞬間、岩の割れ目から一陣の青い風が飛び出し、ティラノスに激突した。
レオとテペトラーは、最大の賭けに出たのだ。
現状、テペトラーの力『だけ』ではこの岩は破壊できなかった。
だからこそ、他者の力を借りる必要があったのだ。
テペトラーの拳は、ティラノスの腹部にまともに命中した。
「ティラノス、まだだよ。これで決めよう、ぶち壊す」
「テペトラー、こっちもだ! インファイト!」
今度こそ、ティラノスは憤怒の咆哮を上げ、立ちはだかる全てを破壊しつくす如く突撃する。
立ち向かうは必殺の拳。全ての悪を粉砕する必殺の拳を、テペトラーはただ一心に突き出す。
ティラノスの鋭爪が、テペトラーの剛腕が、交錯する。
両者が背中合わせで、そのまま止まる。どちらも硬直し、全く動く気配すら感じないが、次の瞬間。
テペトラーが片膝を地面へと着き、体勢を崩す。
しかし、その刹那。
ティラノスの体が、声を上げることもなく横へと傾いた。そのまま鈍い地響きを立て、ティラノスは地面へと崩れ落ちた。
「……負けたよ」
シアンが、ぼそりと呟いた。
同時、静寂に包まれていた観客が、一気に歓声を上げる。声援が、激戦を見せた両選手を褒め称える。
シアンはティラノスを戻し、レオへと近づいた。
「頑張ってね。ここまで来たら優勝しかないよ」
「おう、任せろ。シアンの分まで、精一杯頑張るぜ!」
シアンが手を差し出した。レオもその手を握り、握手を交わす。
レオ対シアン、完結です。文字数がピンチなのでもう次回予告に行きます。次回は、準々決勝の前にもう一試合入れます。それでは、次回もお楽しみに!