二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百六十二話 太陽下の女と霰下の女 ( No.366 )
- 日時: 2013/01/17 00:03
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: CXRVbeOz)
「お願いします、セラーナ!」
フウカの二番手は、ピンクの布を被ったぬいぐるみのようにも見えるポケモン。頭には葉が生え、赤い木の実が飛び出している。
セラーナ、果実ポケモン。草タイプだ。
「行きます。セラーナ、地球投げ!」
セラーナがすっと動く。
しかし、次の瞬間、セラーナは既にサーナイトの後ろへと回っていた。
「!? サーナイト、影分身!」
慌ててナシカが影分身の指示を出すが、時すでに遅し。
セラーナはがっちりとサーナイトを両手で掴み、上空へと跳び上がる。
そのまま地球の回転のように数回転し、そのまま急降下、サーナイトを地面へと叩きつける。
カンカーン戦でのダメージもあり、サーナイトは戦闘不能となった。
「サーナイト、ありがとう。休んでおいて」
ナシカはサーナイトを戻し、セラーナを見据える。
「随分と速いわね、そのセラーナ。葉緑素でしょ?」
「ええ。葉緑素です。加えて素早さを特に鍛えていますから」
葉緑素は晴れの時、素早さが二倍になる特性だ。
「私のセラーナは、晴れの時は伝説のポケモン、ライラプスにも劣らないスピードを出すことだって出来ますよ」
「へーえ」
ナシカはそれを聞くと、うっすらと笑い、次のポケモンを繰り出す。
「行くよ、ユキメノコ!」
ナシカの次なるポケモンは、振袖を纏った雪女のようなポケモン。足は無い。
雪国ポケモンのユキメノコ、氷・ゴーストタイプ。
ちなみに、ユキメノコはウチセト図鑑には載っていないポケモンだ。
「セラーナ、ソーラービーム!」
セラーナは強い太陽光を一瞬で吸収し、一気に太陽光線の如きエネルギーを発射する。
「ユキメノコ、躱して」
対してユキメノコは掴み所のない不規則な動きで光線を避ける。
そして、ある意味、フウカにとって最も厄介な技を繰り出す。
「ユキメノコ、霰!」
ユキメノコは天へと氷の力を送る。
次の瞬間、晴天だった空に一気に黒雲がかかり、やがて大粒の霰が降り出す。
「……ッ! 霰……ですか」
天候に頼った戦術のセラーナにとって、これは大きく不利な戦いとなる。
フウカの手持ちには、天候を無視できる特性、エアロックを持つテイルーンがいるが、肝心のテイルーンのタイプがユキメノコには心許ない。
そして、ナシカは不敵な笑みを浮かべる。
「さて、これで状況はひっくり返った訳だけど? ユキメノコ、吹雪!」
ユキメノコは暴風に雪を乗せ、それを撒き散らす。
「くっ、セラーナ、大成長!」
対してセラーナは急激に細胞を成長させて、大量の蔦を地面から突き出させ、何とか吹雪を防ぎきる。
「セラーナ、目覚めるパワー!」
その蔦の上からセラーナは飛び出し、くすんだ茶色のパワーの塊を放つ。
しかし、ユキメノコはまるで雪にまぎれて消える雪女のように姿を消し、目覚めるパワーを避ける。
「ユキメノコの特性、雪隠れ。この霰の中でユキメノコを捕らえるのは難しいよねえ。ユキメノコ、氷の礫!」
ユキメノコはセラーナの正面に現れ、氷を固めた礫を素早く放つ。
咄嗟の先制攻撃には対応できず、セラーナは氷の礫を喰らう。
「くっ、セラーナ、目覚めるパワー!」
体勢を崩しながらも、セラーナは茶色のパワーの塊を放ち反撃。
ユキメノコはパワーの一撃を喰らう。ダメージを見る限り、効果抜群のようだ。
「その色とこのダメージ量、その目覚めるパワーは岩タイプだね」
ナシカの表情は揺るがない。それだけユキメノコやこの戦術に自信があるのだろう。
「ユキメノコ、シャドーボール!」
ユキメノコもナシカと同じように不気味な薄笑いを浮かべると、影の弾を二発発射する。
「セラーナ、躱して!」
セラーナはバックステップで影の弾を避ける。
元々このセラーナは素早さが高いので、普通の攻撃を避けるくらいは簡単だ。
しかし、
「ユキメノコ、吹雪」
ユキメノコは雪を風に乗せ、その吹雪を撒き散らす。
いつもならソーラービームで打ち消すが、肝心の日光が無ければ太陽光線を放つことは出来ない。
「セラーナ、大成長!」
セラーナは細胞を大きく成長させ、地面から大量の蔦を生やして身を守る。
しかし、
「どこを見てるのかなぁ?」
霰に身を隠したユキメノコは、セラーナの真後ろに現れ、
「隙だらけね。吹雪!」
雪を乗せた暴風を放ち、今度こそセラーナを吹っ飛ばす。
「くっ、セラーナ! 大丈夫ですか?」
セラーナはまだ起き上がり、体勢を構えなおすが、ユキメノコは霰にまぎれつつ、確実に接近してくる。
加えて、霰のダメージも地味に痛い。
「ユキメノコ、氷の礫!」
「セラーナ、目覚めるパワー!」
ユキメノコが氷の塊を放つと同時、セラーナは茶色のパワーの塊を放つ。
技はお互いに相殺され、
「セラーナ、大成長!」
セラーナはすかさず細胞を急激に成長させ、無数の蔦をユキメノコに向けて一斉に放つ。
対してユキメノコは霰にまぎれて姿を消し、蔦の攻撃から逃れる。
「目覚めるパワー!」
しかし、今度はフウカも隙を狙っていた。
ユキメノコが現れた直後を狙って、セラーナは茶色のパワーの塊を撃ち出し、ユキメノコを捕らえる。
「やってくれるじゃんか! ユキメノコ、シャドーボール!」
ユキメノコはパワーが命中した頬を押さえてセラーナを睨むと、霰にまぎれて姿を消す。
そしてセラーナの背後に現れると共に影の弾を放ち、セラーナを吹っ飛ばす。
「くっ、セラーナ、立て直して!」
「そんな隙与えないけど? ユキメノコ、吹雪!」
セラーナはまだ起き上がり、体勢を戻すが、それよりも早くユキメノコは風を巻き起こし、雪を乗せて放つ。
雪を乗せた暴風が、セラーナへと襲い掛かる。
久しぶりの一日二話更新です。ユキメノコの特性、雪隠れは、アニメダイヤモンドパールのシンジのユキメノコを意識して書いてみました。書いてましたが、やたら強いですね。これとユキノオー合わせたら無限霰で無敵になるんじゃねえのかこれ……。アニメでもピカチュウが大苦戦していた覚えがあります。さて、次回は、フウカ対ナシカ、決着となります。それでは、次回もお楽しみに!