二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百六十七話 熱と幻影 ( No.373 )
- 日時: 2013/01/20 17:06
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: hmF5PELO)
雷が落ちるまで数秒。
それよりも早く、テペトラーはマカドゥスの懐へと踏み込み、腰をひねって渾身の回し蹴りでマカドゥスを吹っ飛ばす。
しかし。
それと同時に、テペトラーの頭上から槍のような雷撃が落ち、テペトラーを貫いた。
「マカドゥス!」
「テペトラー!」
マカドゥスは吹っ飛ばされて壁に激突し、テペトラーは雷の直撃を受け、その場に崩れ落ちる。
両者共に戦闘不能だ。
「頑張ったな、マカドゥス。休んでてくれよ」
「テペトラー、よくやった。後は後続に任せろ」
お互いにポケモンを戻し、次のポケモンを繰り出す。
「次はお前だ、ファントマ!」
「ハンタマ、お前に任せるぞ!」
キラの三番手は、幻影ポケモンのファントマ。対するレオはハンタマを繰り出す。
「出たなハンタマ。そろそろ出てくるんじゃないかと思って、こいつを出したんだよ」
「どういう意味だ?」
「そのハンタマで今まで散々痛い目を見てきたからな。こいつがハンタマ対策の一体目ってことだよ」
そして、キラは動く。
「ファントマ、オーバーヒート!」
ファントマはその大きな口を開け、広範囲へと爆炎を撃ち出す。
地面へと着弾するや否や、炎は大きく広がり、バトルフィールドのほとんどを炎が包み込む。
だが、
「それだけでハンタマの逃げ道を断てると思ったか?」
ハンタマは既に高く跳び上がり、炎を避けていた。
「今度はこっちからだ! ハンタマ、サイコバレット!」
そこからハンタマは念力の銃弾をマシンガンのように撃つ。
ファントマは全ては避け切れず、銃弾を何発か浴びる。
「この戦法でも駄目なのかよ、おい。ならファントマ、悪巧み!」
ファントマは瞬時に脳を活性化させ、オーバーヒートで下がった特攻を元に戻す。
「シャドーボールだ!」
そしてすぐに、影で作った弾を連射する。
「ハンタマ、かわしてシャドーパンチ!」
対してハンタマは俊敏な動きで影の弾を避けつつファントマへと確実に近づき、シャドーボールが切れたところで拳に影を纏わせて跳び、ファントマを殴り飛ばす。
「くっそ、やっぱり隙が無いな」
キラが呟くが、その言葉に反し、表情に焦りは全く見せない。
「でもこれならどうだ? ファントマ、バグノイズ!」
ファントマは大きく息を吸い、そして狂ったような雑音を放つ。
流石にこれは避けようがない。ハンタマの動きを止めつつ、体の内側からダメージを与えていく。
「シャドーボールだ!」
ハンタマが動きを止めたところを狙って、ファントマは影の弾を放つ。
「回避は難しいな……ハンタマ、シャドーパンチ!」
ハンタマは影を纏った拳を振るい、襲い来る影の弾を破壊する。
「ファントマ、オーバーヒート!」
影の弾を破壊されると、ファントマはすかさず攻撃態勢に入る。
口を大きく開き、広範囲に爆炎を撃ち出す。
再び炎がスタジアム中を燃え上がらせるが、またしてもハンタマは跳び上がり、炎を回避していた。
「シャドーパンチ!」
そしてそこからハンタマは拳に影を纏わせ、ファントマ目掛けて突っ込み、ファントマを殴り飛ばす。
「くっ、まだまだ。俺のファントマは、これくらいでやられるほど弱くはねえ」
キラの言葉と共に、ファントマも再び宙へと浮かび上がる。
「ファントマ、悪巧み!」
ひとまずは下がった特攻を戻さなければならない。
ファントマは脳を瞬時に活性化させ、特攻を上げる。
「っし、ファントマ、シャドーボール!」
そこからファントマは連続で影の弾を放っていく。
「ハンタマ、全て回避だ!」
一聞すると無茶な指示かもしれないが、ハンタマにはそれが出来る。
ハンタマは持ち前の運動神経を生かし、向かって来る影の弾を次々と避けて行き、
「シャドーパンチ!」
最後の影の弾を跳んで回避し、影を纏った拳を構えて突撃する。
「狙うならここだな! ファントマ、オーバーヒート!」
しかし、ファントマもハンタマの動きに合わせ、燃え盛る爆炎を発射する。
「まずい! ハンタマ、ブレイズキック!」
このタイミングで避けるのは不可能。
ハンタマも、咄嗟に技を切り替え、足に炎を灯して立ち向かう。
爆炎とぶつかり合い、ハンタマは競り負けて吹っ飛ばされるが、致命傷は回避できた。
「危ねえ……今のをまともに食らってたらまずかったな……。しかし、暑い……」
額から汗を流しつつ、レオは呟く。ふとみるとキラの汗もすごい。
ファントマがオーバーヒートを何発も放ったせいで、バトルフィールドの温度は急上昇しているのだ。
「ま、熱にやられてるようじゃ駄目だけどな。ファントマ、バグノイズ!」
ファントマは狂ったような雑音を放つ。
「これが……ハンタマ、サイコバレット!」
バグノイズの威力に最初は後退しつつも、ハンタマはそれを打ち破って前へと跳び、力を込めて念力の銃弾を無数に放つ。
無数の銃弾は次々とファントマに突き刺さり、ファントマの体がぐらつく。
「よし、これで決まりだ! ハンタマ、飛び膝蹴り!」
その隙を逃すはずもなく、ハンタマは地を蹴って飛び出す。
一気にファントマとの距離を詰め、渾身の膝蹴りがファントマへと命中する。
だが。
「残念だったな。ハズレだ」
キラの言葉と共に、ファントマは煙のように消滅してしまった。
「……は?」
レオもハンタマも、何が起こったか分からなかった。そして、
「ファントマ、オーバーヒート!」
いつの間にかハンタマの頭上にいたファントマが、口を大きく開き、爆炎を撒き散らした。
ハンタマは爆炎にまともに命中し、さらに爆発の中心地に巻き込まれる。
炎が消えると、ハンタマは体を焦がし、その場に倒れていた。
「何が起こったのか教えてやるよ」
キラは得意げに話し出す。
「簡単に言えば蜃気楼さ。オーバーヒートを何発か放っておけば、温度は必然的に上昇してくれる。後はファントマの幻影を見せる能力と組み合わせれば、蜃気楼を作り出すことくらい造作も無いんだよ」
オーバーヒートは、ハンタマにダメージを与えることだけが目的では無かったのだ。
「なるほどな。ハンタマ、休んでてくれ。にしても、流石はキラだぜ。僕の計画ではハンタマでもう少し戦うつもりだったのに」
「言ったろ。ハンタマ対策だってな」
キラの言葉を聞き、そして、レオは次のボールを取り出す。
レオ対キラ、パート3。今までのほとんどのバトルでいい仕事をしてきたハンタマですが、今回はキラの策に嵌り、敗れてしまいます。にしても、ファントマはやはりゴーストタイプが入っていないことに違和感を感じますね。こいつらは何で炎タイプ単体なんでしょう? ま、本家にいないのでどうでもいいと言えばどうでもいいですが。さて、次回も続きですね。それでは、次回もお楽しみに!