二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第百七十一話 緑と青の交錯 ( No.377 )
日時: 2013/01/23 13:07
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: CXRVbeOz)

先に動いたのはレオとリーテイルだった。
「リーテイル、エアスラッシュ!」
リーテイルは空中へと大きく飛び上がり、背中の葉を羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「タテボーシ、ヘドロウェーブ!」
対して、タテボーシは大量のヘドロを波状に放ち、空気の刃にぶつけて相殺、さらに、
「ハイドロポンプ!」
口から大量の水を噴き出す。
「リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは急降下して襲い来る水を避けると、低空飛行で一気にタテボーシとの距離を詰め、尻尾の葉でタテボーシを切り裂く。
「タテボーシ、ダイヤブラスト!」
斬撃に怯むことなく、タテボーシはすぐさま周囲へと青白く輝く爆風を放ち、まだ近くにいたリーテイルを吹っ飛ばす。
「リーテイル、立て直すぞ! エアスラッシュ!」
宙に吹っ飛ぶリーテイルだが、すぐにバランスをとって体勢を立て直し、無数の空気の刃を放つ。
「そいつは効かないぜ。ヘドロウェーブ!」
タテボーシは再びヘドロの波を放ち、刃を相殺する。
「もう一度だ!」
そのままの勢いで、タテボーシはさらにヘドロの波を発射する。
「攻撃範囲が広い……! リーテイル、ドラゴンビート!」
自分の周りへとヘドロの波を撃ち出すヘドロウェーブの長所は、とにかく攻撃範囲が広いこと。
回避が難しいと判断し、リーテイルは龍の鼓動を模した音波を放ち、ヘドロを打ち消す。
「ハイドロポンプ!」
だが、音波が尽きたところを狙って、タテボーシは大量の水を噴射。
リーテイルは直撃を喰らう。効果今一つの割に、なかなかの威力だ。
「こっちも行くぞ! リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは体勢を立て直すと、タテボーシ目掛けて一直線に飛ぶ。
尻尾の刃でタテボーシの胴体を切り裂き、
「ドラゴンビート!」
さらに近距離から龍の心臓の鼓動の如き音波を放つ。タテボーシの液体状の体から、水飛沫が飛び散る。
「まだまだ! タテボーシ、ダイヤブラスト!」
「させるかよ! リーテイル、もう一発ドラゴンビート!」
タテボーシが体勢を崩しつつも放った煌めく爆風を、リーテイルは龍の心臓を模した音波で相殺し、リーテイルは素早く距離を取る。
「ヘドロウェーブだ!」
タテボーシは大量のヘドロの波を放つ。
「リーテイル、急上昇!」
リーテイルは大きく飛び上がり、ヘドロの波の攻撃範囲から逃れる。
「リーフブレード!」
「ハイドロポンプ!」
ヘドロの波が消えた瞬間を狙い、リーテイルは急降下して尻尾の葉を振りかざす。
対して、タテボーシは大量の水を噴射し、リーテイルを迎撃する。
回避は不可能、リーテイルは咄嗟に尻尾の葉を振り、ハイドロポンプを斬る。
「ダイヤブラスト!」
そこを狙ってタテボーシはダイヤのように煌めく爆風を放ち、リーテイルを吹っ飛ばす。
ダイヤブラストは岩タイプの技なので、飛行タイプも持つリーテイルにはダメージが大きい。
「次だ! ハイドロポンプ!」
タテボーシが大量の水を噴射し、追撃する。リーテイルは素早く飛び上がり、水を回避。
「よっし、リーテイル、エアスラッシュ!」
すかさずリーテイルは無数の空気の刃を放ち、反撃。
「タテボーシ、ヘドロウェーブだ!」
ハイドロポンプを放った直後のタテボーシは、すぐにヘドロの波を放つことは出来なかった。
タテボーシは少し遅れて大量のヘドロの波を撃ち出す。全ての刃の相殺は出来ず、半分ほどの空気の刃はタテボーシの体を切り裂く。
「ここからだ! タテボーシ、ヘドロウェーブ!」
液体状の体は、ダメージを軽減することは出来ずとも、その攻撃による衝撃を緩和することが出来る。
空気の刃にも体勢を崩すことなく、タテボーシは大量のヘドロの波を放つ。
咄嗟にリーテイルはヘドロを躱そうとするが、ヘドロの範囲が広く、リーテイルは躱しきることが出来ず、ヘドロの波をまともに浴びる。
「畳み掛けるぞ! タテボーシ、ダイヤブラスト!」
その隙を逃さず、タテボーシはさらに煌めく爆風を放ち、リーテイルを吹っ飛ばす。
「決めるぜ! タテボーシ、ハイドロポンプ!」
タテボーシは大量の水を噴射し、リーテイルにまともに命中させる。
リーテイルは地面へと激突し、砂煙が上がる。
「リーテイル!」
砂煙が晴れると、リーテイルは倒れていなかった。
とは言うものの、体力は残りわずか、まだ体勢も整っていない。次の一撃を喰らえば、やられてしまうだろう。
「深緑もあるからな、リーテイルが動けるようになる前に決めてやるぜ。タテボーシ、ハイドロポンプ!」
躊躇なくタテボーシは大量の水を噴射する。動けないリーテイルへと一直線に迫り、大きな砂煙が巻き起こる。
(……勝った!)
小さくキラは拳を握りしめる。
だが。

一陣の緑の風が、タテボーシの横を吹き抜け、その液体状の体を切り裂いた。

「はあッ!?」
驚いた声を上げ、風の正体を目で追うキラ。
対照的に、レオの表情は全く変わっていなかった。
レオには、こうなる自信があったからだ。
そう。
ザントのサザンドラの時と、同じように。
「残念だけど、まだ終わってないぜ」
リーテイルは傷だらけの体だが、その目はまだ明確な光を灯し、上空から静かにタテボーシを睨み付ける。
タテボーシは深緑の発動したリーフブレードをまともに喰らったようで、相当大きなダメージを受けているようだ。
「リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは一瞬でタテボーシとの間合いを詰め、背中と尻尾の葉でタテボーシを切り裂く。
「タテボーシ!」
タテボーシの体から水飛沫が上がり、タテボーシは悲鳴にも聞こえる雄叫びを上げる。
タテボーシも、体力は残りわずかのようだ。
「なあ、キラ」
「言わなくても分かってるぜ」
そして、二人はいったん言葉を切り、
「「あの技で、この勝負を決めるしかないよなあ!」」
そして、二人は最後の大技を指示する。
「リーテイル、ハードプラント!」
「タテボーシ、ハイドロカノン!」
リーテイルが咆哮すると同時、地面や壁を突き破り、巨大な根、無数の蔦、木の幹が大地から突き出される。まるで、リーテイルが植物で出来た怪物を召喚するように。
その幾多の植物は、意志を持った緑の怪物のように、タテボーシへと一直線に襲い掛かる。
対して、タテボーシも咆哮する。それと同時、タテボーシの口に、巨大な水の砲弾が出来上がる。まるで、タテボーシの口が巨大な砲口であるかのように。
その巨大な砲弾が、地面を削りつつ、全てをぶち抜き、粉砕する勢いで、リーテイルへと一直線に襲い掛かる。
お互いの必殺技が、真正面から激突する。
深緑と激流の効果で、威力が高められた双方の一撃は、一歩も引くことなく互いに競り合う。
そして、ついに動きがあった。
数多の植物が、巨大な水の砲弾を少しずつ押し戻しているのだ。
ついに水の砲弾が打ち破られる。
行く手を遮るものが無くなった植物の群れは、今度こそタテボーシに襲い掛かり、その液体の体を呑み込んでしまう。
「……負けたか」
小さくキラは呟く。
植物が通り過ぎると、タテボーシの目の光は消え、戦闘不能となって倒れていた。
「よくやったぜ、タテボーシ。お前のその技で負けたんなら、悔いはない」
そして、キラはタテボーシを戻し、レオへと近づく。
「レオ、俺の負けだよ。お前のポケモンが、俺のポケモンたちより強かった。それだけさ」
「キラのポケモンだって相当強かったさ。どっちが勝ってもおかしくなかった」
レオの言葉を聞くと、キラは首を横に振り、さらに言葉を続ける。
「そんな言葉はいらねえぜ。俺は負けたんだ。俺がお前に言えることは一つだけだ」
一旦キラは言葉を切る。そして、
「俺に勝ったんだ。絶対に優勝しろよ」
「おう。任せとけって」
レオとキラが握手を交わすと同時、観客から大声援が巻き起こる。
激闘を見せた二人を称えているのだ。
そして、最高のライバル、キラに勝ち、レオはいよいよ準決勝へと駒を進めた。




レオ対キラ、決着です。学校が二限目で終わったので、この時間に更新しています。さて、ついにリーテイルがタテボーシを破りましたね。レオの準決勝の相手は、シュウヤとフウカの勝った方。どちらも予選を六勝で勝ち進んだ強敵です。相当な実力を持った彼らに、レオはどのように立ち向かうのか。さて、次回は、準決勝は……まだです。次の次くらいに準決勝が始まります。それでは、次回もお楽しみに!