二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百八十話 最高のエース ( No.392 )
- 日時: 2013/01/31 00:19
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a5DdqbyH)
「行くぞ、ラグラージ! ハイドロポンプ!」
まずはラグラージが動く。テペトラーのものをも上回る、大量の水を噴き出し、一直線にリーテイルを狙う。
「リーテイル、躱して上空へ!」
対して、リーテイルは素早く飛び上がり、水を躱してラグラージの上を取る。
「リーフブレード!」
そのままリーテイルは一気に急降下し、ラグラージの横を高速で通り抜ける。
さらにすれ違いざま、尻尾の葉でラグラージを切り裂く。
ラグラージには草タイプの技は二段階の効果抜群。当たればいくらラグラージでも致命傷は避けられない。
だが。
尻尾の葉に切り裂かれる寸前。
ラグラージは、強引にその尻尾を掴み、リーテイルの動きを止める。
「!?」
予想外の事態に驚くレオ。
リーテイルの動きは非常に速い。避けることは出来るかもしれないが、まさかそのスピードを見切り、受け止めるとは。
「俺の手持ちには、今は故郷に預けてあるが、素早さに自信のある草タイプのポケモンがいてな。そいつと一緒に鍛えたから、それくらいこいつにとっては速くもなんともないのさ。ラグラージ、投げ飛ばせ!」
ラグラージは思い切り腕を振り、リーテイルを投げ飛ばし、壁に叩きつける。
「追撃だ! 冷凍パンチ!」
ラグラージは意外に速い動きでリーテイルへと迫り、冷気を込めた拳を振るう。
「やばっ……リーテイル、ドラゴンビート!」
咄嗟にリーテイルは体勢を崩しつつも、龍の鼓動のような音波を放ち、ラグラージの動きを数秒だが止める。
その間にリーテイルは何とか空へと飛び上がり、ラグラージの拳から逃れる。
「やるな。ラグラージ、撃ち落とせ! ハイドロポンプ!」
ラグラージは上空を見上げ、大量の水を噴射する。
「当たりませんよ! リーテイル、エアスラッシュ!」
こちらを狙ってくる水柱を躱しつつ、リーテイルは羽ばたいて無数の空気の刃を飛ばす。
「だったらラグラージ、ストーンエッジ!」
空気の刃にラグラージは切り裂かれるが、それを気にも留めず、ラグラージは無数の尖った岩を撃ち出す。
リーテイルは次々と避けていくが、何発かはリーテイルへと命中する。
「リーテイル、ドラゴンビート!」
リーテイルはラグラージへと急接近し、同時に龍の鼓動のような音波を発射。
ラグラージは吹っ飛びこそしないものの、体勢を崩し、大きく後退する。
「リーフブレード!」
その隙を逃さず、リーテイルは尻尾の葉でラグラージへと切りかかる。
「これは躱せねえな。ラグラージ!」
シュウヤの言葉に、ラグラージは両腕を構え、腕についているオレンジの鰭が退化したような部分で、リーフブレードを受け切る。
効果は抜群で、ダメージは勿論大きいが、腹などに喰らい、致命傷を避けるには十分。
「ストーンエッジ!」
返す刀で、ラグラージは尖った岩を無数に飛ばし、リーテイルに効果抜群の一撃を与え、リーテイルを大きく吹っ飛ばす。
「ハイドロポンプ!」
「リーフブレード!」
すかさずラグラージは大量の水を噴射するが、リーテイルは何とか体勢を立て直し、尻尾の刃で水を真っ二つに切り裂く。
「エアスラッシュ!」
そこからリーテイルは羽ばたいて無数の刃を飛ばし、ラグラージを切り裂く。
「効かねえぞ! ラグラージ、ストーンエッジ!」
刃をものともせず、ラグラージは無数の尖った岩を発射する。
「リーテイル、躱してリーフブレード!」
リーテイルは岩を次々と避けつつ、一気にラグラージへと接近し、尻尾の葉を振りかざすが、
「ラグラージ、叩き落せ!」
今度はラグラージは右腕でリーテイルの背中へと打撃を加え、リーテイルを地面へと叩きつける。
「冷凍パンチ!」
すかさずラグラージの左手の拳に冷気が宿り、リーテイルに叩き込まれ、吹っ飛ばされる。
利き腕は右腕だったようで、元の威力はそうでもなかったようだが、それでも大ダメージに変わりはない。
「くっ、リーテイル、やれるか?」
吹っ飛ばされたリーテイルだが、何とかリーテイルは立ち上がる。
「ラグラージ、ハイドロポンプ!」
すぐにラグラージからの追撃が飛んでくる。
「ッ、リーテイル、躱せ!」
リーテイルは空へと飛び上がり、噴射される水を避ける。
「エアスラッシュ!」
そこからリーテイルは羽ばたいて無数の空気の刃を飛ばし、ラグラージの体を切り裂いていく。
「ドラゴンビート!」
さらにリーテイルは龍の鼓動の如き音波を放ち、ラグラージを押し戻す。
「こっちも行くぞ! ラグラージ、ハイドロポンプ!」
それでもラグラージは大量の水を噴射して反撃、リーテイルに正面から水柱をぶつけ、リーテイルを吹っ飛ばす。
「ラグラージ、ストーンエッジ!」
「リーテイル、エアスラッシュ!」
ラグラージがさらに放った無数の尖った岩を、リーテイルは羽ばたき、大量の空気の刃を放って破壊する。
「ハイドロポンプ!」
「躱してドラゴンビート!」
さらにラグラージは大量の水を噴射するが、リーテイルは飛び上がって水を避けると、龍の鼓動のような音波を放ち、体勢を大きく崩させる。
「ここだ! リーテイル、リーフブレード!」
その隙を逃さず、リーテイルは一気にラグラージとの距離を詰める。
そしてすれ違いざまに、尻尾の刃を振るい、今度こそラグラージをまともに切り裂く。
二段階の効果抜群。間違いなく致命傷。しかし、
「響かねえぞ! ラグラージ、冷凍パンチ!」
あろうことか、ラグラージは体勢を崩さなかった。
気力と執念で素早く後ろを振り向き、冷気を込めた拳を思い切り振るい、まともにリーテイルを殴り飛ばした。
「何ッ!? リーテイル!」
こちらも二段階の効果抜群。大ダメージを受け、リーテイルは地面へと落ちる。
「リーテイル、まだだ。まだだよな!」
レオは必死に呼びかける。
その呼びかけに応じ、リーテイルはカッと目を見開く。
ゆっくりと立ち上がるそのリーテイルの体に、緑色のオーラが現れる。
リーテイルの力の象徴、深緑の特性。ピンチに追いやられたとき、草タイプの技を最高の威力で出すことができる。
そして。
それに呼応するように、ラグラージの体にも青いオーラが現れた。
今のリーフブレードで、すでにラグラージの体力も限界近くまで削られていたのだろう。
水技の威力が跳ね上がる、ラグラージの激流の特性が発動したのだ。
「リーテイル、ここで決めるしかないよな」
レオの言葉に、リーテイルは自信を持って頷く。
そのリーテイルの反応を見届けると、レオは叫ぶ。
「リーテイル、ハードプラント!」
それと同時、地揺れと共に、地面や壁から、大量の巨大な根、無数の蔦、木の幹が現れる。
その緑の怪物は、ラグラージ目掛けて、すざましい勢いで襲い掛かる。
対して。
シュウヤとラグラージも、逃げも隠れもしない。
「ラグラージ、ここで決めるぞ。文句はねえよな」
シュウヤの言葉に、ラグラージは頷き、襲い来る緑の怪物を正面から見据える。
「ラグラージ、ハイドロカノン!」
ラグラージが両手をかざすと、そこに巨大な水の砲弾が現れる。
ラグラージの両手が砲口であるかのように出現した、キラのタテボーシのものをも上回るその水の砲弾は、次の瞬間、轟音を上げて発射される。
暴れる緑の植物の怪物と、全てを貫き、一直線に突き進む水の砲弾が激突する。
両者一歩も譲らず、激しく音を立てて競り合う。
だが、その時。
「悪いな」
こんな声が、レオの耳に入った。
バトルフィールドの向こう側で、シュウヤが勝ち誇った笑みを浮かべて放った言葉だった。
「俺のラグラージの激流でのハイドロカノンは、他のあらゆるポケモンの水技の追随を許さねえんだわ」
バキバキバリ! と嫌な音が、無数の植物から響く。
その刹那。
植物の怪物は、水の砲弾に打ち破られる。
「……リーテイ——」
レオの言葉は、最後まで聞こえなかった。
レオの言葉が最後まで紡がれる前に、水の砲弾が、リーテイルを捕らえたからだった。
体力が既に限界だったリーテイルに、この一撃が耐えられるはずもなかった。
「リーテイル、よくやったよ。お前は力の全てを出しきってくれた。これで負けたんなら、僕は悔いないよ」
リーテイルは、持てるすべての力を使い果たし、戦闘不能となって倒れていた。
レオ対シュウヤ、遂に決着です。惜しくも、本当に惜しいところで、レオは負けてしまいました。しかし、前作のシュウヤの負け方とは違い、負けはしたものの、後味は悪くない終わり方に出来たんじゃないかな? と自負しております。読者の皆さんも、レオとシュウヤに、盛大な拍手をお願いします。さて、次回は、『ポケットモンスター 平和の光と恐怖の闇』、堂々の最終回です。それでは、次回もお楽しみに!