二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第十八話 軍服の盗っ人将軍 ( No.55 )
- 日時: 2012/11/10 22:05
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 1HHiytFf)
レオがバッジを貰い、ジムを出ようとした時、誰かがジムの中に駆け込んできた。
「ユウさん、大変です! ちょっと来ていただけませんか?」
女性だ。さきほど行った図書館の制服を着ているところを見ると、図書館で働いている人らしい。
「はい、どうしたんですか?」
ジム内にあるポケモン回復装置でポケモンを回復させたらしいユウが出てきた。
「図書館の本が、イビルの連中にごっそりと盗まれてしまったんです!」
「何ですって!? 分かりました。すぐに行きます。レオ君、君も来てください!」
ユウはそう言うと、ジムを飛び出していった。
レオも言われたとおり、後を追う。
「これは…」
盗まれた図書館の本は、神話や歴史にまつわる本だった。
その類の本のみが、本棚から完全になくなっていた。
「それにしても、なぜイビルと分かったのですか?」
ユウが図書館員に訊く。
自分よりも年下なのに、随分としっかりしてるな、とレオは不謹慎ながら思った。
「はい、こんな手紙が残されていたんです」
図書館員が、ある紙を渡す。そこに書かれていたのはこんな事だった。
『ラビリン図書館の神話・歴史関連の本、確かにいただきました。
——イビル七将軍・カペラ』
「これは、いつ盗まれました?」
「一時間前にはありました。おそらく、見回りの者がいなかった隙を狙って盗んだのでしょう」
「しかし、そんな事が出来るとは——」
「いえ、エスパーポケモンのテレポートなどを使えば可能です」
ユウの言うとおりだ。不可能を可能にしてしまうのがポケモンである。
その時、図書館員がまた口を開く。
「先ほど、ここに居たトレーナーの方に依頼して、イビルを追ってもらっています。一人だったので不安ですが、彼がやると…」
どうやら、既に動いているものがいるらしい。
「分かりました。一時間前ならそんなに遠くには言っていないはずです。レオ君、手伝って下さい。そのトレーナーと合流し、イビルの連中を捕まえ、本を取り戻しましょう」
「はい、分かりました」
そう言って、ユウとレオは図書館から出る。
遠くまで探しに行く必要は皆無だった。
二人が目をつけたのは、近くにある倉庫。そこには、三人のイビルの下っ端がいた。
「…ここですね」
「絶対そうですよね」
即行で納得するユウとレオ。対して、下っ端三人は、
「知らない! 俺たちは何も知らんぞ!」
「そうだ! この中に盗んだ本などない!」
「その通り! この中に七将軍の者などいらっしゃらない!」
墓穴を掘っている気がしたのはレオだけではないようだ。
「とりあえず、道を開けてくれませんか。僕たちはこの倉庫に用があります」
ユウはため息をついたあと、そう言う。
「なんだと、ガキの癖に! 出て来い、ブイゼル!」
「子どもは大人しく帰れっての! 出て来い、ホーホー!」
「ぶっ飛ばすぞ! 出て来い、ゴース!」
下っ端三人がそれぞれのポケモンを繰り出す。
ユウはもう一度大きなため息をつくと、
「出てきて下さい、スターミー。冷凍ビーム」
ユウが出したスターミーが、冷気の光線を放ち、下っ端のポケモン三体をあっという間に氷漬けにした。
ついでに下っ端三人組も氷に閉じ込めた。
「さて、行きましょうか」
ユウとレオは倉庫の中に入る。
中にいたのは、十人ほどの下っ端。そして、その奥に違う服を着た男が。
「!? まさか、もうこの場所がばれたのか!?」
驚いたような声を上げる奥の男。
いや墓穴掘りまくりでしたけど、とレオが言う前に、そいつは立ち上がる。
「まあいいか。そうさ、俺がカペラ。図書館から本を盗みました。返して欲しけりゃ俺に勝て!」
図書館においてあった紙と一致する。
カペラと名乗った男は、目立ちにくい黒と緑の、迷彩柄に似た、イビルの制服をコーディネートした服を着ている。
「いいでしょう。僕が——」
ユウが動こうとしたが、下っ端軍が素早くユウを取り囲む。
「お前はジムリーダーだ。俺は弱いほうと戦う。お前は下っ端軍団と遊んでな」
そう言うと、カペラはレオの方に向き直る。
「さて、お前は俺が相手してやる。かかってこいよ」
「いいだろう。一泡吹かせてやる!」
カペラとレオは、お互いにボールを構えた。