二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第十九話 囮 ( No.60 )
- 日時: 2012/11/10 22:07
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 1HHiytFf)
「頼むぞ、リーティン!」
「出て来い、ウソドロ!」
レオのポケモンはエースのリーティン。
カペラは、緑色の袋を背負った、紫色のデカいウサギのような姿のポケモンを出した。
ウソドロ、泥棒ポケモン。悪タイプ。
図らずも、本泥棒のイメージとピッタリだ。いや、もしくはこいつが盗んだのだろうか。
「行くぞ! ウソドロ、袋叩き!」
ウソドロは背負った袋を振り回して迫ってくる。
いや袋叩きの意味違うだろとレオは思いながら、
「リーティン、連続切り!」
リーティンも葉を構えて立ち向かう。
襲い来る袋をかいくぐり、ウソドロの懐に潜り込み、葉でウソドロを連続で切りつける。
「ちっ、ウソドロ、アイアンテール!」
ウソドロはその大勢から身を捻って、鉄のように硬い尻尾を叩きつける。
「リーティン、エアスラッシュ!」
リーティンは葉を振って空気の刃を起こす。
アイアンテールにぶつかり、双方が弾かれた。
「ウソドロ、一旦離れろ! シャドーボール!」
ウソドロは後ろに下がってリーティンと距離を取り、影の弾を放って攻撃する。
「弾き返せ!」
リーティンは葉を振り、向かってきた影の弾を弾き飛ばす。
「ならば連続だ! とにかく当たるまで放て!」
ウソドロは先程の影の弾を連続で五発放った。
「エアスラッシュだ!」
リーティンも葉を連続で振り、空気の刃をたくさん起こす。
しかし、全ての影の弾を打ち消すことは出来なかった。最後の一撃が、リーティンにクリーンヒットする。
…が、大したダメージは無いようだった。
しかし、直撃はしたため、リーティンは体勢を崩す。
ところが、ここでウソドロは攻撃して来なかった。
まるでリーティンが立て直すのを待っているように。
「ウソドロ、もう一度袋叩きだ!」
リーティンが体勢を立て直すと同時、再びウソドロは袋を振り回して突進する。
「なめやがって…リーティン、連続切りだ!」
リーティンは先程と同じようにウソドロの袋を避け、ウソドロの懐に潜り込んで切りつける。
(あれ…?)
その時、レオは気付いた。
今の動き、最初と全く同じだ。とてもカペラは最初の対策を意識しているようには見えない。
さらに、先程カペラがリーティンの体勢が整うのを待っていたこと、シャドーボールのダメージの小ささを考えると、分かることは一つ。
(もしかしてこいつ…弱い?)
そう。
カペラは、イビル七将軍最弱なのだ。
本来、カペラの受ける指示は情報収集や盗みなどの裏仕事。バトルには、そこまで向いていないのだ。
「くそ、ウソドロ、瓦割り!」
ウソドロは何とか連続切りを耐え、手刀を叩き込む。
「かわしてエアスラッシュ!」
リーティンは素早く離れて手刀をかわし、葉を振るって出現させた空気の刃でウソドロを襲う。
まともにウソドロに命中した。ウソドロはまだ立ち上がるが、連続切りのダメージもあり、体力は残り少ないだろう。
「ウソドロ、袋叩き! 今度こそ当てろ!」
ウソドロは袋を振り回して走り出す。
しかし、レオはもう仕上げに入ろうとしていた。
「リーティン、グラスミキサー!」
葉を振るって発生させた木の葉の渦が、ウソドロに襲いかかる。
ウソドロを呑み込み、中のウソドロごと渦を地面に叩きつけた。
「ウソドロ!」
ウソドロは、戦闘不能だった。
レオが横を見ると、下っ端軍はまとめて氷漬けにされていた。
「さあ、本を返せよ」
「観念して、盗んだ本を渡してください」
レオとユウが詰め寄る。
しかし、何故かカペラは急に笑い出した。
「ギャハハハ! 引っかかったなバカどもめ!」
そう言うと、カペラは本が入っているはずの袋を開く。
そこには、
「空っ…ぽ…!?」
袋の中には、何も無かった。
「お前たちはまんまと引っかかった。考えてみろ、こんなに弱い俺が、こんな重要な任務を任されると思うか?」
こんなに弱いのは知らなかったとして、レオたちが分かることはたった一つ。
だまされた。
「くッ…レオ君行きますよ!」
「はい!」
ユウとレオは急いで倉庫を飛び出した。
その頃、町のはずれでは二人のポケモントレーナーが戦っていた。
片方は、レオの幼馴染、キラ。
先程、図書館員に頼まれて、イビルを追いかけにいった。
もう一人は、赤い長髪に、ドレスのようにコーディネートされたイビルの制服を着た女。
アンタレス。
カペラを囮に使い、アンタレスが本を持って行く計画だったのだが、キラの起点によって止められてしまった。
双方の表情は、苦悶と超然。
しかし。
超然としているのがアンタレスで、苦悶を浮かべているのがキラだった。
「ドラピオン、クロスポイズン!」
「レクオレ、避けろ!」
アンタレスのポケモン、化けサソリポケモンのドラピオンは、キラの一番手を余裕でなぎ倒し、エースのレクオレ相手にも余裕で戦っている。
「くっそ、強え…」
キラは口の中で悔しそうに呟いた。
前回、あとがきを忘れていました、すいません。さて、イビル七将軍が二人登場です。アンタレスは蠍座の恒星ということで、サソリポケモンのドラピオンを出してみましたがいかがでしょうか。ちなみに、今回がレオの対イビル七将軍での初めての勝利になります。さて、次回はキラ対アンタレスですね。それでは、次回もお楽しみに!