二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 第二十九話 地下に潜む藁傘の悪魔 ( No.94 )
日時: 2012/11/11 12:39
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 0sokIT7I)

「シャミネ、出て来て!」
チヅルが、黒い猫のようなポケモンを出した。シャミネ、黒猫ポケモン。炎・悪タイプ。
「シャミネ、貴方の炎の力でここを照らして」
シャミネは口から少し火を吹いて、あたりを照らす。
町は真っ暗である。
なので当然、博物館も真っ暗。照らさないとまわりが見えない。
博物館の展示物はいろいろとぶち壊されている。
その時、壁の隅に人影が見えた。ここの博物館で働いている者であろう男性が、口をガムテープでふさがれ、ロープで縛られて倒れていた。
二人は慌ててその男性に駆け寄り、ロープとガムテープを外す。
「…ふう、助かった…」
その男性は大きく息をついた。
「君たち、ありがとう。さっきも人が来たけど、気付いてもらえなかったから、どうなるかと思った。私はここの博物館の館長だよ」
「あの、何があったんですか?」
大体分かっているが、一応レオは訊く。
「イビルとか名乗る連中が侵入してきたんだよ」
地下に保存してある極秘の資料が狙われている、と館長は告げた。
まさかまたカペラじゃないだろうか、カペラなら弱いからいいなと不謹慎ながらレオは思ったが、すぐに気持ちを切り替える。
「レオ、私はこの人をポケモンセンターまで連れて行きたいんだけど、一人でも大丈夫?」
「ああ、任せとけ。大丈夫だ」
レオが親指を立てると、チヅルは少し笑った。そして、
「館長は私と避難してください。ポケモンセンターに人が集まっています」
そう言って、館長に避難を促す。
館長は出て行く前に、資料は地下五階にある、とレオに教えた。
レオは一人で、地下を目指す。


地下三階で、レオは足止めを喰らった。
「御機嫌よう、勇気あるポケモントレーナー。いや、勇気があるのではなく、単に無謀なだけなのかしら?」
地下四階への階段の前に、女が立ちふさがる。
腰くらいより長いつややかなオレンジ色の髪に、アンタレスの服装よりもさらに豪華で派手なドレス風にコーディネートされたイビルの制服を着た女。
かなりの美人で、イビル所属でなければ女優やモデルと思われてもおかしくないほどのスタイルも持ち合わせている。
「お前は…やっぱりイビル七将軍か?」
「ご名答。私はメイサ。イビル七将軍のメイサよ」
メイサと名乗るその女は、まるで歌うような滑らかな口調で話す。
「申し訳ないのだけれど、私たちの目的のため、貴方を通すわけにはいかないわ」
そう言って、メイサはモンスターボールを取り出す。
「ご指名ですよ、キルギシア」
メイサのポケモンは、薄黄色の髪に、両手と頭の後ろに盾を持った、人型のポケモン。
キルギシア、ドールポケモン。エスパータイプだ。
「やるしかないな。出て来い、ハ——」

「ムウマージ、シャドーボール!」

突如、後ろから影の弾が飛び出し、キルギシアに命中した。
が、キルギシアは盾で影の弾を防ぎ、ダメージは無い。
「誰っ?」
メイサが見据える方向にいるのは、一人の少女。
そう、ナシカだ。
「私の家族に何の理由もなく攻撃したイビルはうちが倒す。ムウマージ、シャドーボール!」
ムウマージはさらに影の弾を放って、キルギシアを攻める。
しかし、またしてもキルギシアは盾で影の弾を完全防御する。
この隙に、レオはメイサの後ろを潜り抜け、地下四階へ進む。


四階にいた下っ端は難なく蹴散らし、ついに地下五階。
いろいろな資料がところせましと置かれている。
そして、何故か五階は明るい。
その原因は、ポケモンだった。
緑のコケのような体に、尻尾と顔が生えたような姿のポケモン。
ヒカリゴケ、コケポケモン。草・電気タイプ。ヒカリゴケの体から光が放たれている。
そして、その横には。
「例の資料はどこにあんねん? 全然見つからへんやんけ」
独り言を呟きながら、その『極秘の資料』を探す男の姿が。
「おい、お前! イビル七将軍だな!」
「ゲッゲエ! なんや、もうここまで辿りついたんか? メイサはなにをしてんねんや!」
その男はこちらを向いた。
どこかの方言のようななまった言葉、藁傘をかぶり、江戸時代の旅人のような着物と袴風にコーディネートされた服を着ている。
「あいつは別のトレーナーが相手してるよ」
レオが言うと、その男は軽く舌打ちし、指を鳴らして下っ端を二人呼び、彼らに耳打ちする。
そして、下っ端が行ってしまうと、すぐさまレオの方に向き直った。
「はっはっは、ここまで来られちゃしょうがあらへんわ。そうや、あっしはイビル七将軍のクルサ! ここまで来た事はおみごと、ただし、お前さんはあっしに負けて逆戻りや」
クルサと名乗ったその男は、レオをあざ笑うかの如く、陽気に笑ってそう言った。
「どうかな。僕がお前に勝って、資料を諦めさせる。負けるのはお前だ」
レオはそう言って、ボールを構える。
「大口はそこまでや。あっしをそう簡単に倒せると思わんことやで」
クルサもそう言って、ボールを構えた。



今回の新キャラは、イビル七将軍のメイサとクルサです。博物館の館長? 知らんな。クルサの実力はシャウラより上ですが、レオも戦いを積んでいるので、今のレオならシャウラを倒せるでしょう。従って、今のお互いの力は互角、といったところです。個人的にクルサ好きです。次回は、クルサ戦。それでは、次回もお楽しみに!