二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

縋らないで、苦しくなる【基山×亜美】 ( No.7 )
日時: 2011/07/09 11:51
名前: ゆう@元憐卯 ◆Oq2hcdcEh6 (ID: kVdvMbwW)


 いたい。
 胸が、傷が。彼等と共に、いたい。
 自ら手放した存在が愛しくて、恋しくて堪らなくなった。馬鹿だなあ、私。と自分自身を罵ってから、自嘲気味の笑みを浮かべた。こんなの、ずっとずっと前から分かってた気がする。
 きゅう、と締め付けられる胸に手を当てて小さく息を吐き出した。苦しい、痛い。まだ、体中は悲鳴を上げている。私のこころも、限界だった。

「おはよう、目覚めはどう?」

 さいあく。
 驚くほど冷めた言葉が飛び出した。ずっと昔までは彼を見るたびにきゅんきゅんしていたのに、今では何の反応も示さない。宇宙人ごっこの所為、か。
 父さんの考えていることはよく分からない、分かろうとも思わない。こんな狂った計画で、ヒロトさんが喜ぶはずがない。サッカーを何故壊そうとするのだろう。自分の大切なヒロトさんが愛したサッカーを守り抜こうという思考は無いのだろうか。と、頭の中でぐるぐると考えてみる。何だかこめかみ辺りがずきずきとしてきた。もうやめよう。
 そっと伏せた瞳から雫が落ちた。いたい、と口から言葉が零れ落ちた。

「安静にしてないと体に響くよ」
「あんたの所為だろ、……グラン」
「やだなあ、今はヒロト、なんだよ?」

 その性格の悪さはヒロトであろうとグランであろうと変わらないのか、と睨んでみたら肩を竦めて笑われた。どうしてこうも宇宙人とやらはむかつくのだろう。

「守と一緒に居たかった?」
「気安く呼び捨てにするな……!」

 私のキャプテンを、あんたみたいな人間が呼び捨てにするな。
 苛立ちが収まらない。こいつといる限り私はいらいらしっ放しなのだろう、何処かに行ってしまえばいいのに、ばか。
 有りっ丈の言葉をぶつければ、私の気持ちも収まるのに何故か言葉が引っ掛かって出てこない。別に、こいつに未練とかそういうのがあるわけなんかじゃないのに。

「ごめんね、父さんからの命令なんだ」

 たすけて、と。
 ヒロトが言っているように見えた。どうして、こんな奴に可哀相だという同情の気持ちが現れるのだろう。嘘、そんな、認めない。
 縋るようなヒロトの目から逃げるように、視線を虚空に彷徨わせた。





***
シリアスって書いてて楽しいと思いませんか、(
亜美はヒロトが嫌いだったり。