二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

二十五頁 想い出は今も ( No.177 )
日時: 2012/04/22 19:38
名前: 蓮華 (ID: cb2HLYEu)
参照: エイプリルフールってその日になったらなったでどうも仕様が無いよね。

教団に来た時、門前でうろうろしてた俺をモニター越しに見つけてくれたのがリナリーだった。


「アウトォォォォォォォォ!!!」

・・・門番があの台詞言うまでは順調だったんだ!!あの時は疑問符状態だったが今なら分かる。
俺の中のノアメモリーやら“原罪”やらを感知してあの結論に至ったのだろう、凄くありがたくない。
そりゃモニター越しに聞いてた科学班やらファインダーやらは大パニックでリナリーさんが此方へいらっしゃる訳で。

ポカンとしてた俺は隙だらけだったのだろう。

「え、ちょ、あぁぁぁぁああぁ!!!」

反射的に避けたのが目の前の女性は気に入らなかったようです、(実はその反応がアクマだと受け取られてるとは思わなかったよ)どうしよう。
ツインテールの彼女は凄く可愛いのですが睨まれてるってのは頂けないよね!!いやそこも可愛いけど。

「アクマ、ね。」
「いやいや待って俺は、っとぉ!?」

俺が居たとこの地面がへこんでいる。恐らくアレが、あの靴がイノセンス。一発喰らえば俺の体粉々!・・・笑えないね。
とりあえず避けるものの、俺はとても困っていた。理由が言いにくい、言ったら目の前の女性の攻撃は一瞬止むだろうが。
蹴り入れられる度にその、スカートがヒラッてして目のやり場に正直困るのですが。
でも脚見てないと攻撃が何処に来るか読めないし一体俺にどうしろと!?女性殴るとか出来れば避けたい。
迷う間も女性は攻撃を続け、俺はソレを出来るだけ最小限の動きで避けている。体力温存したいし。

「あ、そだ。イノセンス————《発動》!!」
「っ!!?」
「ごめんな、少しだけ・・・時間くれればいいんだけど。」

右手で鉄砲の型を取り、女性に銃口にあたる部分———人差し指を向けて、「バン。」と銃を撃つように手を動かす。
すると女性は後方へと吹き飛び、イノセンスで踏みとどまった。人体もイノセンス。銃とかアイツ思い出すし、そんな使いやしないけど。

「・・・俺はエクソシスト希望者、OK?」

近くに居たゴーレムに満面の笑みでそう告げると、ゴーレムの向こう側で「門番大丈夫なのか?」とかザワザワあった後、門番の横にあった門が開いた。
門へ進もうとすると、女性がゆっくりと近付いてきた。イノセンスは解いてある様なので、用心することもなく歩き続ける。
女性は俺に駆け寄って、俺の前に立ち、俺の歩みを止めた。否、俺が止まったんだよなコレ。

「さっきはごめんなさい、私はリナリー・リー。よろしくね。」
「・・・小鳥遊 安央衣、よろしく。」

差し出された女性らしいしなやかな手を、固く、握り締めた。笑うリナリーに「女性はやっぱり笑顔がステキだ!!」って言ったの覚えてる。



                                                       LENALEE side

目を覚ますと、兄さんがダバダバと涙を流して「リナリィイイ、痛いところは無いかいぃぃ!!?」と声をかけた。
どうやら教団に戻って来た様で、婦長や、アレンくんが「良かった」と微笑んでいる。でも、その中に安央衣は居ない。


——————ごめんな

瞬間。彼女のあの、悲しげな顔と最後に彼女から聞いた言葉が脳内に思い返される。私は痛む体も無理矢理動かして、病室から飛び出した。
任務があることを伝えるため、ノックしたあのドアを。泣いていた彼女との壁であるかのように閉められていたあのドアを。

バン

真っ白な部屋にドアを乱暴に開いた音が響く。「どうした?」って優しく訊ねる声も、慰めるように笑いかけるあの表情も。
何も、無い。私はその場にへたれ込み、「安央衣はいない」という今この状況にただ泣いた。
それと同時に、あの時彼女を止められなかった自分の弱さを悔やんだ。あの言葉は、あの言葉の裏には、「帰りたかった。」という想いが———————

「あった、はずなのに・・・!!」

分かってた、のに。自分の弱さゆえ、彼女は、安央衣はいま此処に、居ない。妙に真っ白な部屋が、その事実を際立たせた。


———————————————安心の「安」、中央の「央」、衣服の「衣」で安央衣。皆「変わってる」とか言うけどちゃんと俺の名前だかんな!!
                         「安心の中央にいて、衣服のように皆を包み込む。」・・・そんな意味だと勝手に思ってるんだ。

紙に鉛筆で書いて、私に必死に説明した安央衣。自己解釈を話した後の照れくさそうな顔は子供らしくて、私も思わず微笑んだ。
あんな安央衣が、悲痛な声で泣いていたあの時、開けていれば、安央衣は今も此処で笑っていたかもしれない。

安央衣との思い出を振り返るたび、後悔が生まれてきて、胸をより締め付ける。

「私の世界が、欠けてしまう・・・。」

帰ってきてよ、お願い。世界より貴女が大事だから・・・!!

                                                       LENALEE side end.


「・・・優依、俺どうしよ。」
「・・・何がですか?」

食べる手を止め、不意にポツリと呟いた。目の前の皿に乗る目玉焼きにはコショウかソースかとかそんな事を尋ねる訳じゃない。
夢を、見たのだ。旧友が俺を探して子供の様に泣いている夢。何度も俺の名を呼ぶ声が、頭の隅に残っている。
別に頭を痛めるわけではない。でも、引っ掛かって、他の事を考えられない。先程から俺が食事をする手を止めていてつられたのか手を止めている優依を見る。

「夢が、どうしても引っ掛かるんだ。なんて事無い夢なのに、引っ掛かる。」

そう、夢で泣いていた彼女はこの間、友と言う縁をきって突き放した他人の筈なのだ。

なのに何故、彼女が泣いていたというだけで、時が止まったような、針が胸に刺さった様な気分に陥らなければならない?









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あとがき・・・

遅れた。
リナリーに主人公に対する恋愛感情は無いです、主人公も((
友人を想う良心がある限り、少女はその気分に苛まれ続ける事でしょう。
逃れる為には、心を捨てるか、或いは・・・