二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 七頁 Snow White ( No.23 )
- 日時: 2011/09/03 16:49
- 名前: 蓮華 (ID: kHRUQb8C)
- 参照: 男装少女を永遠に愛す!!
其処は、何もかも枯れ果てる砂塵の地。
鳥も、花も、木も、生まれる前に水分を奪われ、芽を出す事も許されない。
唯一生きれるのは人間と、水。
彼等は皆、水を持ち歩き、生き延び、寿命が来て_______砂と化す。
しかし、たった一人、死を迎えてもその美しき肌を枯らす事無く棺にて眠る少女がいた。
彼女の名は、忘れ去られ、今はこう呼ばれている。
“白雪姫”
「......なんとまぁ、幻想的な」
渡された資料を読み終わり、俺は一人、感想を述べる。
ラビは任務先で待っている。
着くまで、俺がラビを嫌う理由を述べよう。
まず、あの目が気にくわない。
ブックマンの後継者の象徴と言うべきか、映さない目。
この前手伝ってもらった時も
初めて会った時も、あの目。
ブックマンも、同じ目をしていた。
ユウより、怖い。
次に、ブックマンの後継者
“裏歴史”を記録していくらしいあの職業。
「ラビ」も偽名らしい。
...........49番目だっけ。
嘘ばっかの存在は嫌いだ。
傍観者も。
死に逝く存在を“傍観”?神気取りかよ。
...........だから、ラビは嫌いだ。
嘲笑う俺を、窓が映した。
“彼”と同じにした容姿が、“彼”のしない顔をしている。
不愉快になって、俺は目を逸らした。
すると、扉をノックする音が静かな部屋の中、聞こえた。
「着きました」
「ありがとう」
ファインダーに礼を言って、砂漠をザカザカ進み、町に着いた。
水を常に飲んでいないと死にそうだったので、水に触れる。
こういうのって、イノセンス化出来るのかな。
水は球体と化し、フワリと浮いて俺を包んだ。
.........銃、発動できないな。
「安っ央っ衣ぃ〜〜〜!!」
俺に抱きつこうとした兎を、ブックマンが蹴飛ばした。
無駄な体力使わせないでくれてありがとう。
「で、イノセンスは?」
「まだ見つかってない」
「........」
ついでに水で包んでやり、教会へと向かった。
ステンドグラスの向こう側から差し込む光が、棺や床を鮮やかに照らす。
綺麗だ、なんて思ったのは初めて来た時だけ。
“彼”を奪われ、伯爵を望みかけた俺にはこんなのはただの憎々しいものに過ぎない。
俺を包む薄い薄い水の膜が、ほんの少し波をたてて、落ち着いた。
「棺片っ端から開けるか。砂はハズレ、姫がアタリ」
「え、マジさ?」
「早くやるぞ、暗殺対象」
「サラッと恐ろしい事言うな」
重いが持ち上げられないことは無い棺の蓋を、両手で持ち上げる。
中身は______砂。
枯れた花やボロボロになった布が上に乗っている。
そっと戻すと、俺の名を呼ぶ兎の声が聞こえた。
「安央衣、あったぁ!!!」
声のしたほうに、顔を向けたら。
俺を包んだ水を徹り抜け、腹を貫いた、ガラス。
ガラスの割れる音と、ラビが俺を呼ぶ音と、とても不快な、アクマの笑い声。
声をだしたくても、血が口から零れ出て行くだけで。
イノセンスを解き、銃を手に取る。
何も言わず、ただ狙って、撃つ。
「火判っ!!」
「!?」
轟、と炎がアクマを焼く。
俺のイノセンスとまた違う色を出すその炎は、何度か見たもので。
「...ラビ」
「安央衣、腹大変な事になってっさ」
銃の衝撃とかやばいさ、と猫の様に襟を掴まれた。暴れようとするも、手を動かすだけで、痛む腹。
畜生、よりにもよってコイツに助けられるとかものすごく嫌だ。