二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

十一頁 エクソシストでも、ノアでもなくて ( No.39 )
日時: 2011/09/15 20:26
名前: 蓮華 (ID: LMtRhfuT)
参照: 何かね、異様に“座右の銘”が欲しいの

「再生、能力......」
「うふふ、驚いた?」
「アクマが、進化してる...」

レベルアップじゃなく、別の方向に。
にこやかに笑う少女は、ノアじゃない、アクマ。

「私は、嫉妬。そうね、あと6人いるわ。それだけ教えてあげる」

そう、言い残すと彼女はうふふと笑い空を駆け下りるかのように着地して去っていった。
複雑で、前の見えない森を知り尽くしているかのように、スタスタと。
その姿が霧に消える最後まで見えていたのは、あの水玉の傘。
三人は、その後を追わなかった、否、追えなかった。
足を、地面に縛り付けられるかのように、何かがかけられていたから。

「くそ、あのアマ余計なモン着けて行きやがって......!!」
「動けない...」

地面自体が絡み付いているように、足が全く動かない。
重さも相当のもので、先程あの能力を振り切った神田ですら動けないでいる。
イノセンスを使っても乗っている重さが嘘の様に空気を斬るだけで、解けない。
いっそ、足ごと......なんて危険な案が神田の脳裏に浮かび上がったとき、霧の向こう側から、人影。

「無理よ、アイツの能力はそうそう解けるものじゃないわ」
「?誰、貴女」

霧を引き連れるかのように歩いてきた一人の女性。
耳の下位までの金の髪を揺らして、その耳には紅い宝石を下げたピアスをしている。
少しつり上がった猫のような目は、月光で出来た影の中でも光る、太陽のようなオレンジだった。

「...てめぇは誰だ」
「......私は、“裁判長”」

罪を、裁くの。と、彼女は無表情のまま神田を見て言った。
そして不意にしゃがんで、神田の足に触れたかと思うと、足が、開放された。
そのまま、澪、アリスの足にも触れ、彼女等を解放した。

「ダークホースの為だけに、イノセンスを持たされた者」
「“裁判長”?それ以前に、ダークホースって何」
「ダークホース、七つの大罪を元にしたダークマターのようなもの。七つしかなくて、アクマになった者の過去に反応して進化させる。私は、破壊できる唯一のイノセンス、“裁判長”を持つの」
「破壊できるのは、そのイノセンスだけか?」
「いいえ、もう一つ破壊する方法があるの。それは“原罪”。「ハート」の様な存在よ」

イノセンスの核、「ハート」。破壊されれば全てのイノセンスは消滅し、聖戦の敗北を意味する。
それと同じ様に、ダークホース達にも核はある。
“原罪”を護る為、彼らは捜している。
“原罪”にとって害になりそうな者達を殺しながら、捜して捜して、まだ見つからないでいる。

「彼等より先に、捜して、殺す。貴方達にも伝えておくわ。“原罪”は、知らぬ内に選んだ人間に潜り込み、蝕んでいく。貴方達の近くに、“ジェミニ”と呼ばれる人がいるならお気をつけて。」

“ジェミニ”_____“原罪”と“ノアメモリー”。
似ているようで、違う二つを持つ者を、ノアはこう呼んだ。もう一つ、そう呼ばれるわけがあるのだが、それは後の話にしよう。


「“ジェミニ”はやがて世界を滅ぼす」

石箱に記された、たった一文。
千年公が知る事実と、“ジェミニ”を捜す理由。


そして、黒の教団は“ジェミニ”と呼ばれる者を、まだ、知らない。