二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 一頁 少女は ( No.4 )
- 日時: 2011/08/13 18:06
- 名前: 蓮華 (ID: o.w9FXPe)
「ラビ〜、ラビ〜?」
凛とした声で、誰かの名を呼ぶ。
その手には誰かに渡された大量の紙の束。
まぁ運べるだろうと楽観視して、只今とてつもなく後悔している。
ユウは任務(見送ったし)、アレンは食堂で忙しそう(食べてただけだけど。)。
あとはラビのみ。で、今に至る。
「出てこいよ、アホ。」
ポツリ、とたった一言。
明らかに頼む言葉じゃない。
だけど、あの兎は笑って許して手伝うんだろう。
偽善じゃないかと疑っている自分がいる。
「あ、安央衣。呼んだ?」
「えぇそりゃもう随分と前から。」
「...ごめんなさい。」
頼むの俺なのに。
可笑しくて笑ってしまった。
「あー、いいよ。これちょっと持って。」
「うわ、重そう!!持つ持つ。」
ラビが慌てて紙束の三分の二を抱える。
.....俺が手伝ってるみたいじゃん!!
癪に障って、ラビの腕の中から大体で取り上げ手元に置く。
よし、半分ぐらい。
自己満足して再び歩き始める。
少ししてあまりにも話さないからか、ラビが口を開く。
「これって何処に持っていくんさ?」
「教団一のシスコンのとこ。」
そう、あのサボり常習犯で巻き毛で才能を訳分からないロボにしか使わない印象しかない室長。
本当、”彼”といい勝負。
笑い事のはずなのに悲しくなってしまった俺は馬鹿なのだろうか。
「コムイ〜?」
「寝てんだろアイツ。」
遠慮なくドアをガチャリと開ける。
ほら寝てた、下にいる資料達可哀想に、涎の餌食。
ツカツカと足音を立て、人の事言えないほど資料を踏み(こんな状態にしてる室長も悪いが)、机に突っ伏してるユーモアあふれる室長を起こす呪文を唱える。
「リナリーが彼氏連れてたぞ。」
「リナリィィイィ!!!!」
大音量。日常茶飯事だから慣れてるけど、最初は驚いた。
相手は誰だい!?とか抹殺しに行こう!!とか周りを見ずに言い続ける室長の肩に手を置く。
「安心しろ、嘘だから。」
「安央衣くん......。」
「資料届けに来たさ。」
資料が再び涎の餌食にならぬことを願いながら室長室を後にした。
ラビとは途中で別れ、俺は自分の部屋に戻った。
見慣れた、真っ白い部屋。
壁も、家具も、窓も。
色付いているのは外の景色と、飾られた写真だけ。
“彼”の部屋だった。
飾られた私の写真と、白を好んでいた“彼”らしい真っ白さで分かった。
コムイに聞いたら、亡くなったらしい。
「そうか」って受け入れた。
あの時、予想はついてたから。
いなくなるんだろうって、遠いとおい場所に行くんだろうって。
それでも、一縷の希望で待ってたダケ。