二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

十二頁 “ジェミニ”は ( No.41 )
日時: 2011/10/05 18:48
名前: 蓮華 (ID: 9yxsejk0)
参照: 生は問いであり、死は答えである。

_____ごめん、安央衣。

なんで?

_____僕のせいで、君は......

大丈夫、寂しくなんかないよ。

_____本当かい?“ジェミニ”。


「......っ!!!」

任務から帰ってきて、一時の睡眠を摂っていた、本当に短い時間。
なのに、何故こんなに時間が経過している様に思えるのだろう。
“彼”の夢を見た、名前を呼べない、“彼”の。
“ジェミニ”と呼ばれたら、何かが反応した。
複雑で、不快で、それでも何処かに在る、何かが。
目の端から顔に沿って横に流れていく涙を、掬う気力すら奪う、何かが。

「ごめん、な、さい、廉......!!」

漸く動いた手を涙ごと顔を隠すように、瞼の上に乗せた。
“彼”の名は、廉。どうしても、どうしても言いたくなかった名前。
死んで、答えてくれないから、伏せた、“彼”の名を。
静かな、静かな、真っ白な部屋に木霊させる様に、何度も呟いた。
その扉の向こう側に、ノックしようとするリナリーの手があるなんて知らなくて。


腹減った。
うん、腹減った。泣き疲れた...あれ、違う?
言葉の違いを確かめながらも、食堂に向かおうとして扉をガチャ、と開けると、其処に...


何も無かった。

てのは冗談で、ノックしようとするアレンが居ました。

「ん?どうした、アレン。」
「えっと、コムイさんが呼んでました。」
「あ〜、分かった。腹満たしたらすぐ行くって言っといて。」

ニコリと笑って「はい」って言うアレンに、俺は少し心許していたんだ。
彼は、俺の顔を見て何かを悟っていたんだと、気付く事無く俺は、彼の横を通り過ぎて去っていった。


「おまちどーん!!......アンタ、大丈夫?」
「ん〜?何が。」
「目、真っ赤。」
「嘘っ!!」

思わず杏仁豆腐を受け取ろうとした手を離し、目を覆う。
しまった、忘れてた。用心が抜けてた。
そして、ふと思い出す。さっき此処に来る前に、性格には此処に来ようと扉を開けた時に居た、少年を。
もしかして、否もしかしなくても、ばれてるよな、ジェリーに気付かれたんだから。
やっべ、どう言い訳しようアレ。

そんな悶々とした気持ちのまま俺は杏仁豆腐を食べ終わり、室長室へ向かった。

「やぁ、安央衣君。」
「よっ、シスコン室長。」
「早速本題に入るけど。」

スルーかよ、学んだなコムイ。
コムイの君臨する机の前のソファに座ってドカ、と机に足を乗せる。
コムイはソレを見ながらも乾いた笑いを続け、本題に入った。

「単独任務だよ、安央衣君。」
「......What?」
「単独任務。」
「ワンモアプリーズ。」
「単独任務。安央衣君、いつからそんな耳遠くなったの?」
「失礼な、老化は進んでねーよ。」

じゃあいってらっしゃーい、とヒラヒラ手を振って見送られ、俺は憎い憎いコムイを睨んで出て行った。

______“アクマ大量発生らしいからヨロシクね”

てな訳で、アクマ大量発生に、俺は独りで放り込まれます。
後から誰か送っておくよ、と付け加えられたけど、来るまで独りなんだろ!?