二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 二十一話 あれから、それから ( No.82 )
- 日時: 2011/11/26 20:25
- 名前: 蓮華 (ID: fh.wbL8r)
- 参照: やっと二十話って・・・。
雲一つ無い青空。あの日もこんな快晴だった。
あれから夜中ぶっ通しで泣き続けた俺の目は真っ赤だった。
あんな涙一粒で収まる筈ないよな、そりゃそーだ当然だ。
「もう、戻れないってか・・・。」
苦笑を通り越し嘲笑が出た。
座っているくたびれた椅子が傾いてギィ、と音を立てる。
こんなに泣いたのは教団のあの日以来だ。誰にも見せる事無く泣いたなぁ。
教団では、人前では流さなかった。
リナリーみたいに、感情から自然と出せはしなかった。
ふと、思い出す。
「そういや、アレンに見られたな、泣き顔。」
彼は忘れているだろうが。
左手に神、その眼と髪に呪い。「養父を・・・破壊したんです。」と語っていた彼の目は俺と同じ。
でも、光があった。希望じゃなくて、何て言えば良いのだろう。
道、道が見えてる人の目だった。何かの為に生きてる人、そう言えばいいのだろうか。
つい、眼を逸らしてしまうほど俺とは似ている様で違う眼。
恐れた、のではなく後ろめたい、と言うのもおかしいだろうか。
眼を合わせてはいけない、飲まれる、飲まれてしまう。
そんな、弱さが俺を動かした。養父、仲間、アクマとの誓いに生きる彼とは逆の道を、進んでいるのだから。
飲まれるな、飲まれたら俺は・・・・・・・・・・・・
「消えてしまう。」
「何が、デスv“ジェミニ”V」
「・・・千年伯爵・・・。」
「相変わらずですネ、「ライア」V」
「千年公こそ、相変わらずのメタボね。」
「メタボではありませンV」
背後に現れた、シルエット。
ボン、キュッ、ボン・・・古い?まぁそれとは正反対な影。
そして、その腹に抱き付くもう一つの小柄な影。
「やほぉ、久し振りぃ。」
「あらロード、久しいわね。」
「その格好で女口調は駄目だよ〜。」
「あ、そうねゴメン。」
聖痕と共に現れた白いコート。腰の所をベルトで留め、ジーンズを履いている。
色黒い肌を映えさせる見事なまでの白いコートはゆったりと垂れていた。
髪も解け、元々伸ばしてあった髪は月光に反射して暗い部屋の中輝いた。
「・・・で、用件は何なのかしら?」
「“原罪”、に会いたいのデスV」
「あら、ココまで注文しといて用は私にじゃないのね。まぁいいわ。」
一度、目を閉じ少しばかり静かにしていた少女。次に目を開いた時、彼女は少年の顔になっていた。
ゆったり微笑んでいた顔は無表情になり、落ち着き払っていた。
目の中に歯車を宿したソレは、千年公を見て眉間の皺を寄せた。
「・・・何の用でしょうか。」
「“原罪”、今すぐオマエに汚された我輩のアクマをお返しなサイv」
「イヤだ、彼等はもう僕の支配下。キミが恐れを抱くのかい、千年公。」
「マサカvただ邪魔で仕方ないんですよネv」
「・・・あ、そう。」
なぁんだつまんない、と椅子をギィギィ揺らしながら口を尖らせ言葉通りの表情を見せる“原罪”。
その反応に千年公のいつもどおりの口角が僅かに上がった様に見えたのは、錯覚なのだろう。
ロードは“原罪”に抱き付き、「カッコいい〜♪」と褒めている。
ソレに困った様に対応する“原罪”。
彼もまた、「俺」の様に女の子に弱いらしい。
「まぁ、いいでしょウvロード、行きますヨv」
「えぇ〜、まだ居たい〜。」
「こら、我侭言ったら駄目だよロード。」
「・・・はーい。」
しぶしぶロードは巻き付けていた腕を解き、千年公と一緒に去って行った。