二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

二十二頁 少し、別の話をしようか。 ( No.87 )
日時: 2011/12/02 19:44
名前: 蓮華 (ID: qcI1n3YR)
参照: もしかしたらネタバレかもよ!!


「死ねガキがぁぁぁぁっ!!」
「失礼ね、レディに向かって。」
「あぁ!?」

「イノセンス、第二開放“崩御”埋葬ノ天 入滅!!」

ビシ、と地に亀裂が走り、アクマが驚愕する。
しかしその反応は少女にとってはとても遅く、既に地はアクマを包んでいた。

ミシミシミシミシ

最後に見た悔しそうな顔の瞳は、少女をしっかり捉えていた。



場面変わり、とある街道。


「・・・にしてもあのアクマめ。」

少女は人目も憚らず、血塗れの白いシャツを捲りあげた。
しかし其処には大量の血が出るとは思えない真っ白な肌が白いシャツの影を作っていただけだった。
奇異な目を向けていた通行人がその奇異を驚愕の色に染める。

————脅威の再生能力を持つ彼女は第二エクソシスト。

第六亜支部が生み出した“人工使徒”なのだ。


あの「悲劇」が起こるずっと前、適合したイノセンスを利用して逃亡した。
ただ空腹に耐えながら、雨に打たれた影響の寒さに魘されながら、彼女は記憶に浮かぶ少女を思い浮かべていた。
記憶の持ち主が、一人の少女を愛し、離れ、最期を迎えた記憶。
綺麗な髪を左右に揺らし、此方へと走る少女。
逆光なのか写真のように褪せているのか分からないが顔はよく見えない。

凛とした声は浸透して、とても心地良かった。


「・・・・・逢いたい、あの子に・・・。」

その、一心で。

アクマに撃たれようが、周りから奇異の目を向けられようが、脳裏に浮かぶのはいつでもあの子だった。
恐怖でも、悲哀でも、怒りでもなく。
あの声が、見えない顔が、きらきら輝いていた髪が、私を呼ぶ。
ただそれだけで、私はアクマを倒し、周りの奇異の目さえも振り切って、今このレンガの町並みの中を歩いている。

例え亡くなっていようが、それでも逢いたいのだ。

最初は記憶の持ち主の為だったが、最近は私自身も興味を持ち、とりあえず記憶の通りに歩いている。




——————もう少し、もう少し。




・・・あとがき・・・

はい、どうも!!
この話については少し語りたかったので。

“彼女”はセカンドです。
でも、あの「悲劇」には立ち会っていません。
そして“彼女”の記憶の秘密は敢えて明かしません。

今歩く彼女はとある小さな村を目指しています。
そう、「記憶の中の」。
時々挟んでみたいな、と思います。