二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 97章 鳥 ( No.191 )
日時: 2012/06/18 22:00
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html

「キリハ……なんでここに」
「なんでもへったくれもないだろ、今し方僕らはそれに乗って移動している真っ最中だったんだから」
キリハはトロピウスを押し潰したポケモン——神龍ポケモンのドラドーンを指差してい言う。ちなみにこのドラドーン、かなり大きい。10m以上あり、この前見たドランのドラドーン並だ。
「さて、ゆっくり話してる時間もないっぽいし、リオ、好きにやってくれ」
「言われなくとも、そのつもり」
どうやらリオも一緒だったらしく(というかこのドラドーンはリオのポケモンだ)、リオはキリハと乗っていたペガーンから降りる。
「PDOヒウン支部統括、リオ。私もツキがないですね、まさかPDOのトップ3が集結してしまうとは。まあ、それでも私が遅れを取る事はないでしょうが、この状況は少し分が悪い。ここは、一旦体勢を立て直してから再度出向くのが得策ですね」
そう言うとエレクトロは素早くトロピウスに乗り込んだ。どうやら、逃げるつもりらしい。
「逃がさないよ、ドラドーン!」
リオはドラドーンでエレクトロとトロピウスに攻撃しようとするが、ドラドーンはそれが出来なかった。
「これは……!」
ドラードンは急成長した無数の植物に覆われていて、身動きが取れない状態でいた。
「ふふ、トロピウスの生い茂るです。そのドラドーンでは全て引き千切る等をして拘束をを解くのには、三分は掛かるでしょう。そして三分あれば、私のトロピウスは、貴方方が追えないほどの距離を飛ぶ事が可能です。それでは、私はこれにて」
エレクトロはそう言い残し、トロピウスとともに去っていった。



どうやらリオ、キリハ、ザキの三人はドラドーンに乗ってヒウンに帰る途中だったらしい。
しかしそこでザキが妹レーダーなる五感を超えた感覚神経でミキの危険を察知、たまたま積んでいたパラグライダー(のようなもの)を使って飛んでいってしまったとの事。
「兄さんは相変わらず無茶苦茶だね……」
「まあでも、助かりました。ありがとうございます」
「気にする事ないよ、一応君達もPDO隊員という設定なんだから」
「設定とか言うなよ……」
「キリハもその辺、抜けてるところがあるよね……」
とまあそんなやり取りをしつつ、イリスとミキはPDOの面々と別れる、その前に
「兄さん」
ミキがザキを呼び止めた。
「ん? 何だ?」
「お願いがあるの」
「お願い? あとで何でも言う事を聞くという条件なら聞いてやらん事もないが……」
「じゃあいいや、バイバイ。師匠、行きましょうか」
そう言ってミキとイリスも去って——
「待った待った、ちょっとストップ!ちゃんと聞くから待て!」
行く前に、足を止めた。
「で、お願いってのは?」
「ちょっと耳貸して」
ミキはなにやらザキに耳打ちしている。
「——で、どうかな。引き受けてくれる?」
「まあ、それは構わんが……俺でいいのか?」
「大丈夫だよ。兄さん一人じゃ心ともないけど。キリハさんもリオさんもいるし」
「今の発言は流石の俺も傷ついたぞ……」
と、何かを了承したらしきザキは立ち上がり、ミキはイリスの方を向く。
そして

「師匠、ここでしばらくお別れです。今までありがとうございました」

別れの、言葉だった。
「……まあ、どこに行くかは君の自由だ。何をするかも、どうしたいかも、全部君が決める事だ。僕はそれに逐一口出ししたりしない。それに弟子の一人立ちは師としては——」
「師匠、前振りと前置きが長いです」
指摘されてしまった。まあ、確かに長かったが。
という事で、シンプルに一言だけ、伝える事にした。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そしてミキは、イリスから離れていく。
後ろの三人はその光景を、ニヤニヤ……ではなく、微笑ましく見つめていた(一名除く)。



PDOの面々と一緒に行ってしまったミキと別れ、イリスは一人14番道路を歩む。
「また一人旅か……まあ別に寂しくはないけど、虚しくはあるかもな……」
イリスは鳥ポケモンのさえずりをBGMに、歩み続ける。
ピィ、ピィ、クルック、クク、カー、カー、キーン、ペラップ!
「うるせえよ!BGMうるせえよ!さっきから人が感傷に浸ってるというのに鳴き続けるな!これはBGMがうるさくて本筋の音が聞こえないっていうあれだよ!」
イリスはうるさくなく鳥ポケモンに苦言を呈しつつ、なにやらそれらのポケモンが集まっている方を向く。
「って、あれ……人?」
滝が落ち、崖のようになっている場所には、まだ若い一人の男が立っていて、その男の周りに鳥ポケモン達が集まっている。
男は紺色の袴に和服と、古風な出で立ちだった。
イリスは気になって、少々手間が掛かるが迂回して崖の裏にある坂を上り、男の所へと行く事にした。
「すみません、何をやっているんですか?」
素直にうるさいです、とは言えないので、まずは何をしているのかを尋ねるイリス。
「鳥ポケモンを呼んでるんだ。口笛を吹くと、鳥ポケモンが寄ってくる」
男はイリスに背を向けたままで、口笛を吹く。イリスからすれば即刻止めてほしい行為だ。
「ふん……。……!」
男は振り向いてイリスの顔を見ると、驚いたよう表情になった。
「どうしたんですか?」
「いや……昔、俺を破った少年がいてね、その少年と、よく似た目をしているからさ」
なんだか最近よく言われるような気がするな、とイリスは思う。ちなみに、気のせいではない。
「俺はハヤト。君は?」
「イリスです」
とりあえずは、礼儀としてちゃんと名乗る。
そしてハヤトは、毎度の事、イリスと誰かが似ていると言う人物がほぼ必ず言う台詞を、言ってくる。
「なあイリス、俺とバトルしないか?」



今回は、諸事情によりあとがきは短めで。今回はイリスがミキと別れ、ジョウトのハヤトが登場です。次回はイリスとハヤトのバトル、お楽しみに。