二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 266章 焦心 ( No.270 )
- 日時: 2011/10/01 12:10
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「戻れ、マカドゥス」
フォレスは戦闘不能になったマカドゥスをボールに戻す。その表情は、焦燥に満ちていた。
「やっべえな、これ……予想以上に強いぞ、このトレーナー。エレクトロには英雄以外に解放するなって言われてるし……どうすっか」
フォレスがどうやってこの場を切り抜けようか考えていると、不意に地面から声が聞こえてきた。
「やーやーフォレスー。お困りのようだねー」
「!? フレイ!お前、アシドんとこに居ろつったろうが!」
「まー色々あったんだよー」
現れたのはノコウテイに乗ったフレイだった。どうやら地面を経由してフォレスの所へと来たようだが、浴衣や髪のあちこちが泥だらけになっている。
「フォレスー、ちょっとやばい事になっちゃてるんだよー」
「やばい事?」
「そうそう、すっげーやばい事ー」
フレイの口振りから察するに、そんなにやばそうには聞こえない。しかしフレイは「あたしの慌て振りから分かるでしょー?」と言った。
その場にいたリオは全く分からなかったが、フォレスは「そうだな」と分かっていってるのか適当に返してるのか分からないが、そう返答する。
「実はさー、レイが解放したっぽいんだよねー」
フレイは事も無げにそう言うと
「なんだと!?」
フォレスはあからさまに、隠しようがないほど動揺していた。
「おいフレイ。お前それ知ってんなら、何で止めなかった」
「あたしがレイを止められるわけないじゃんさー。これだからおバカなフォレスは困るよねー」
フレイはいつものように軽口を叩くが、それに言葉を返すのを忘れるほど、フォレスは揺らいでいた。
「それは冗談でなくやばいな……!」
フォレスは少しの間思案すると、一つボールを手に取り、中のポケモンを出す。
出されたのはやけに出番が多い、コクジャクだ。
「コクジャク、行くぞ!」
フォレスはコクジャクの足に掴まり、飛び立つ。フレイもノコウテイに乗ったまま地面へと潜る。
「おい、PDOのトップだか何だか知らないが、そこのお前!今回の作戦、俺達は捨てる」
「え……?」
リオはわけが分からないと言うように疑問符を浮かべる。
「つまり、俺達は撤退する。アシドの野郎はごねるだろうが、そこは俺が何とかするとして、このホワイトフォレストを占領するという目的を、諦める」
フォレスは潔く、そう断言した。
「だからってわけじゃねえが、お前も無駄に俺達を付回さないほうがいいぜ。これは忠告だ。下手に動くと、俺達のボスが動きかねない。あの人個人のターゲットに含まれたら、まず終わりだからな」
フォレスはそう言い残し、飛び去っていく。
……その前に
「おいティン、撤退だ!今すぐ戻るぞ!」
自分の部下をきっちりと回収していく。なんだかんだ言って、フォレスは良い奴だったりするのかもしれない。
「お出でなさい、レジュリア!」
レイが繰り出すのは、ルージュラの進化系、レジュリア。
ルージュラよりもスリムな体型になり、顔立ちなんかも人間により近くなった。
「レジュリア、氷・エスパータイプか……リーティン、戻れ」
イリスはリーティンをボールに戻す。
ヤミクラゲとの戦いで分かったが、レイは相当強い。相性で不利な状態で戦って勝つのは難しいだろうと考え、イリスはリーティンを交代させた。
「さあ頼むぞ、メタゲラス!」
そしてイリスが繰り出すのは鋼タイプえお持つメタゲラス。攻撃だけでなく防御でもレジュリアに有利なポケモンだ。
「行くぞメタゲラス。まずはアイアンへッド!」
メタゲラスは鋼鉄の頭を構え、突進する。
「レジュリア、アイスバーンで迎撃しなさい!」
レジュリアは氷の爆発を起こし、突っ込んでくるメタゲラスを攻撃。
すると驚く事に、メタゲラスはその爆発を喰らい、吹っ飛ばされた。
ダイナマイトだろうと最新の兵器だろうと無力化するという触れ込みのメタゲラスだ。このレジュリアの特攻の高さは、驚嘆に値するものだろう。
「だったらこれでどうだ、ストーンエッジ!」
メタゲラスは鋭く尖った岩を無数に浮かべ、一斉にレジュリアに向けて発射する。
「サイコバーン!」
レジュリアは先ほどのアイスバーンと同じ身振りで念動力の爆発を放ち、襲い掛かるストーンエッジを全て砕き散らす。
「レジュリア、気合球!」
レジュリアは気合を凝縮させた球体を作り出し、メタゲラスに放つ。
気合球は格闘タイプ技。即ちメタゲラスの弱点だ。半端ない特攻の高さを誇るレジュリアの気合球を喰らえば、メタゲラスといえど瀕死か、良くて致命傷は免れないだろう。
「メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは地面を鳴動させ、大量の土石を地面から噴出させる。噴出した土石は気合球を防ぐ盾となり、メタゲラスは気合球を受けずに済んだ。
「下手に近づいたら、サイコバーンの餌食になるか……なら、メタゲラス、グラビティコア!」
メタゲラスは頭上に超重力の巨大な黒い球体を浮かべる。そしてその球体を勢いよく、振り落とすようにしてレジュリアに放つ。
「どうだ……?」
渾身のグラビティコアはレジュリアに直撃した。弱点+体重差による威力倍増があるので、瀕死に追い込むほどのダメージを与えられていてもおかしくはない。むしろ瀕死になっているのが自然なくらいだ。
だが、7Pは自然など軽く飲み込んでしまうほど、強大だった。
「レジュリア、気合球!」
砂煙の中から高速で気合球が放たれ、メタゲラスに直撃。爆発してメタゲラスは吹っ飛び、戦闘不能となった。
「メタゲラス!」
イリスはメタゲラスの所へと駆け寄り、その後、気合球が飛んで来た方向を見遣る。
「ぬるい攻撃ですね。その程度、わたくし達が今まで受けてきた痛みなんかより、ずっと軽いです」
レジュリアは多少傷ついているもの、グラビティコアの直撃を受けたとは思えないほど平然としていた。
「さあ、そろそろ終わりにしましょうか、英雄さん」
レイの眼差しは、怒りが含まれ、刺々しかった。
えー今回は前半がフレイとフォレスの会話で、後半がイリスとレイのバトルです。前半は何気に伏線張ってたりしますが、まあそれは追々回収するとして、後半ですね。レジュリア強いです。アイスバーンと、効果抜群とはいえ気合球の二発だけでイリスのメタゲラスを下してますよ。グラビティコアの直撃を喰らっても倒れないし……どんな育て方をしたのやら。では次回もイリスとレイのバトルです、お楽しみに。