二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 267章 放電 ( No.281 )
日時: 2011/10/02 23:30
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「戻りなさい、ルナトーン」
ザンバは戦闘不能となったルナトーンをボールに戻し、次のポケモンが入ったボールに手を触れる——
ザザッ……
——直前で、通信機に連絡が入った。
『おいザンバ、聞こえるか』
その声は7Pであるアシドの声だった。
「はい、聞こえています」
『お前、今どこにいる。何やってる』
「現在、英雄の仲間と思われる者と、交戦中です」
ザンバは淡々とした口調で言う。
対照的にアシドの声は高低差が激しく、さっきまで普通の声だったのが、急に怒鳴るような声になった。
『おいおい、お前、任務放棄でもし始めたか? ちゃんと目的の物探せつったろうがよ。敵と遊んでる場合じゃねえだろ!」』
「はい、申し訳ありません」
アシドの理不尽極まりない叱咤に、ザンバは素直に頭を下げる。この辺りに、器の違いを感じるものだ。
『……まーいいさ。どうやらこの森にゃ、例の物はなさそうだからな。お前が遊び呆けてる間に、ここら一帯をレーダーで探ってみたが、特に反応はなかった。だから、もう引き上げていいぞ。つーかさっさと戻って来い』
本当に、酷い上司である。技量云々ではなく、人として。
しかしザンバは嫌な顔一つせず、「承知いたしました」と事務的に言って、通信を切る。
「……よく聞こえなかったが、どうも撤退するっぽいな」
「まあ、そんなところですね」
ザンバは触れていたボールから手を離し、踵を返し、イリゼに背を向けて歩き出す。
「……追わないのですね」
少し歩くと、ザンバは足を止め、そう口にする。
「ああ。おっさんの俺が下手に出しゃばっていい問題じゃなさそうだからな。お前らの事は、息子達がカタをつけるべきだろうぜ。ま、それでも助力くらいはしてやるがな」
ザンバは止めていた足を再度動かし、去っていく。
「ふぅ……結構強かったな、あいつ」
イリゼは近くの木にもたれ掛かり、息を吐く。
「さて、どうするか……ん?」
イリゼはふと、ある人影を見つけ、首を傾げた。



「出て来い、フローゼル!」
イリスが次に繰り出すは、フローゼル。草タイプのリーティンは相性が悪く、アブソルは命令を聞かない。なのでタイプ的に多少は有利なフローゼルだ。
「行くぞ、テラーソニック!」
フローゼルは素早く腕を振り、黒い衝撃波を放つ。
「レジュリア、アイスバーン!」
レジュリアも氷の爆発を起こし、それによって生じた衝撃波でテラーソニックを相殺する。
「気合球!」
そしてすかさず気合を凝縮した球を放つ。球はまっすぐフローゼルに飛んでいくが、フローゼルは軽く跳躍してその球を避ける。
「フローゼル、気合パンチだ!」
フローゼルは硬く拳を握り締め、気合を込める。そしてレジュリアの所へと駆け込み、拳を振りかぶる。
「レジュリア、サイコバーン!」
しかしそこでレジュリアは念動力の爆発を起こし、フローゼルを攻撃。フローゼルは気合パンチの威力を削がれ、吹っ飛ばされた。
「フローゼル!」
気合パンチの威力がサイコバーンによるダメージを多少軽減したようで、フローゼルはまだ戦闘不能ではない。
だがそれでも、大ダメージは受けているようで、あと一撃でも喰らえば戦闘不能だろう。
「フローゼル、下手に近づかない方がいい。ここは遠距離から攻めるぞ。テラーソニック!」
フローゼルは両腕を素早く振り切り、黒い衝撃波を二連続で放つ。
「レジュリア、アイスバーン!」
だがそれらの衝撃波は、レジュリアの起こす氷の爆発によって阻まれる。
「今だフローゼル、アクアテール!」
フローゼルは二又の尾に水を纏わせ、地面を蹴って一気にレジュリアの所へと駆け込む。
アイスバーンによって生じた爆発と、アイスバーンがテラーソニックを打ち消す事によって舞い上がった砂煙が、フローゼルの姿を隠しているため、レジュリアにはフローゼルが見えない。その隙にフローゼルはアクアテールをレジュリアの顔面にヒットさせる。
「深追いはするな、一旦退け」
フローゼルはアクアテールを叩き込むと身を翻し、イリスの下へと戻る。
「ふん、その程度の攻撃は、効かないと言ったはずですが。もう忘れたのですか?」
「残念ながら僕は、敵の言う事を素直に聞き入れるほど愚かじゃないし、攻撃が効かないからといって諦めるほど潔くもない」
イリスはそう言うものの、今の状況がかなりピンチだという事くらいは分かっていた。
イリスの残りの手持ちは、フローゼルを含めても三体。一体はエース、リーティンだが、もう一体はじゃじゃ馬アブソルだ。それに対してレイの手持ちも三体だが、レジュリアはまだまだ余裕の表情。残る二体にしたって、相当強いはずだ。
まさに、絶体絶命。
「……いや、絶体絶命のピンチなら、今までだって乗り越えてきたはずだ。なら、この関門だって突破してみせる!フローゼル、テラーソニック!」
フローゼルは素早く腕を振り、黒い衝撃波を放つ。
「……呆れましたね。今まで出来たから今回も出来る、というその発想にも呆れましたが、この程度の事で絶体絶命などと言われては、あなたが今までどれほど程度の浅い修羅場を潜り抜けてきた事か、それが分かってしまいますね」
レイはイリスを蔑むような目で睨みつけ、言った。
「決めましょう、レジュリア。放電!」
レジュリアは両掌を前に突き出し、そこから電気を放つ。
文字通り、放電だ。
黒の衝撃波は放たれた電撃に打ち消され、電撃はそのままフローゼルに襲い掛かる。
「ヤバイ……フローゼル、回避だ!」
イリスは叫ぶが、もう遅い。
フローゼルの体には電撃が迸り、フローゼルはその場に倒れ伏す。



今回は前半がザンバが撤退し、イリゼが何か(誰か)を発見。後半がイリスとレイのバトルの続きです。いや、それにしてもレイ強いですね。一応、レイは解放したら序列四位という事にはなっていますが、それにしても強い。まあ、実はそれには理由があるのですが、それは後々明かしましょう。では次回もイリスとレイのバトルになりますが、流石にそろそろ決着を着けようかと思います。では、次回もお楽しみに。