二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 278章 完成 ( No.307 )
- 日時: 2011/10/10 19:35
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ディザソル、辻斬りだ!」
ディザソルはアブソルの時よりも数段速いスピードでバンギラスに接近し、漆黒の刃で切り裂く。
急所を切り裂かれたのか、バンギラスは体を揺らしながらうめき声をあげる。
攻撃力も素早さも、ディザソルは進化して格段に上がったようだが、イリスが注目すべきはそこではなかった。
「ディザソル、お前……僕の指示を……」
そう、ディザソルはイリスに指示されて、辻斬りを放った。つまり、ディザソルは以前のアブソルとは違い、イリスの言う事を聞くようになったのだ。
「よし、ならこのまま一気に攻め落とすぞ。ディザソル、ツヴァイテール!」
ディザソルは刃状の二又の尻尾を硬化させ、バンギラスに二度、叩きつける。
「メガホーン!」
そして漆黒の刃をバンギラスに突き刺す。
この連撃で、バンギラスも相当なダメージを受けた。
「おおう、モスギスさんピーンチ!バンギラス、ストーンエッジ!」
「ディザソル、怒りの炎!」
バンギラスは鋭く尖った岩を無数に発射するが、ディザソルはそれらの攻撃を怒り狂ったように燃え盛る炎で全て焼き尽くす。
「メガホーンだ!」
そして漆黒の刃をバンギラスの腹部に突き立てる。直撃なので、なかなかのダメージだ。
「続けて行くぞ、辻斬り!」
さらにバンギラスの死角を狙って連続で切りつける。効果いまひとつといえど、連続で繰り出せばダメージは蓄積する。
「バンギラス、ぶち壊す!」
バンギラスは腕を大きく振るい、鉄槌を振り下ろす。
しかしディザソルには当たらない。ディザソルは俊敏な動きでバンギラスの鉄槌をかわすと、そのまま指示を待たずにバンギラスを切り裂く。
この辺の勝手に行動する癖は、まだ抜け切っていないようだ。しかし今ではそれも、一つのオプションだ。
「オート攻撃とは、なかなか便利だな。ディザソル、怒りの炎!」
ディザソルは怒り狂ったような炎を放ち、バンギラスを取り囲む。
「バンギラス、もすっと抜け出すのです!」
「遅い!メガホーン!」
ディザソルはバンギラスが炎からもすっと抜け出す前に漆黒の刃を突き刺した。
するとバンギラスはグラつき、体勢を立て直す前に崩れ落ちた。
そしてその顔は目を回していて、戦闘不能だ。
遂にあの強敵、バンギラスを倒したのだ。
「ふぅ……何とか、切り札のバンギラスは倒せたな」
イリスがホッと一息吐くと、モスギスはキョトンとした顔で言った。
「もすの切り札はバンギラスじゃないですよ?」
「え……?」
「仮にも四天王のもすが、そんな簡単に切り札を出すわけないじゃないでもすか」
モスギスはさも当然のように言う。つまり、モスギスにはまだ、バンギラスよりも強いポケモンがいるという事だ。
「ま、そんなにモスギスさんの切り札が見たいのであれば、特とご覧になればよいでしょう」
モスギスはそう言って、次なるボールを手に取る。
「テレレレッテレー!ティラノス!」
モスギスの切り札、それはバンギラスよりも巨大なポケモンだった。
バンギラスの三倍を遥かに超える巨体、褐色の体は、所々が薄い黄色に染まっている。
そして何よりも鋭い眼光、恐ろしい相貌。バンギラスが怪獣なら、このポケモンは恐竜だ。
暴君ポケモン、ティラノス。岩・悪タイプのポケモンで、前述の通り化石から復活する、恐竜ポケモンだ。
「おいおい……なんだよこれ、規格外過ぎる……いや、でか過ぎるだろ……!」
イリスはティラノスを見上げ、戦慄する。それもそうだろう、こんな巨大なポケモンを見せられたら、大抵、恐怖する。
「もすすす……では、一気に決めましょう。ティラノス、グランボールダ!」
ティラノスは雄叫びをあげると、地中より無数の岩石を呼び出す。そしてそれらを、ディザソルを囲むようにして放ち、ディザソルの動きを封じる。
「しまった……ディザソル!」
ディザソルは抜け出そうともがいているようだが、ガッチリと固まった岩石の集合体は、そう簡単には砕けない。
「それではこれでズガーンとフィニッシュ。ティラノス、ぶち壊す!」
ティラノスはその巨体からは想像もつかないようなスピードでディザソル(を覆っている岩石)に接近し、全てを破壊するかの如く突撃する。
すると岩石は文字通り、ぶち壊され、中にいたディザソルも砕かれた岩と同じく吹っ飛んでいく。
「ディザソル!」
吹っ飛ばされたディザソルはぐったりとして動かない。つまり
「戦闘不能……僕の、負けか……」
「ウィナー、モスギス!きゃーモスギスさんステキー!」
モスギスは勝利後、一人で浮かれていた。
対するイリスはやっとアブソルが進化し、言う事も聞いたというのに敗北してしまい、かなりブルーだった。
「おや、随分とへこんでますね。モスギスさんが勝ったというのに」
「モスギスさんが勝ったから、へこんでるんですよ」
素なのかわざとなのか、モスギスは地味に傷口に塩を塗ってくる。
「まあ、そう気に病まないでください。一緒に駆け上がりましょう、勝利の泥橋を!」
「あんたは一生黙ってろ!」
イリスはスッと立ち上がり、モスギスに背を向ける。というか、ポケモンセンターに帰る。
「……まあ、紛いなりにもアブソルが進化して、僕の言う事を聞いたのはモスギスさんのお陰だからな……そこだけは、感謝かな」
何はともあれ、これでイリスの手持ちは、完全完璧なフルメンバーとなった。
今回はディザソルが大暴れ、難敵バンギラスを下しましたが……もすの切り札、ティラノスにやられてしまいました。でもいいんです、ディザソルは格好良いから。ああ!でも僕はティラノスも好きだったり……うう、これは難儀なことです。まあ、僕の悩みなんて置いといて、次回予告でも。次回はNが出て来た理由が明らかに!というわけで、次回もお楽しみに。