二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 289章 重量 ( No.329 )
- 日時: 2011/10/16 23:31
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「出て来い、メタゲラス!」
イリスが繰り出したのは、鋼・地面タイプのメタゲラス。
メタグロスとは同じ鋼タイプだが、こちらの地面技は通りやすく、向こうのエスパー技は通りにくい。
名前が似ているのは、たまたまだろう。
「ふーん、ま、相手が何であれ関係ないけどねー。メタグロス、コメットパンチだよー」
メタグロスは四本の腕の一つを拳のように構え、流星の如くメタゲラスに殴りかかる。
「メタゲラス、アイアンヘッド!」
しかしそれに対しメタゲラスは、鋼鉄の頭を構えて突進し、コメットパンチの威力を相殺する。
「大地の怒り!」
さらにその状態で地面から土砂を噴射し、メタグロスを攻撃。タイルが敷かれたコンクリート床には盛大に大穴が開いたが、まあ、大目に見てくれるだろう。
「むー……やーっぱこの狭い通路でメタグロスなんて使うんじゃなかったー。あーでも他のポケモンでも大差ないか……まあいいやー。メタグロス、サイコバレットだよー」
メタグロスは銃弾のような念動力を、ガトリング砲をぶっ放すような勢いで連射する。
銃弾で床や壁は削れ抉られていくが、メタゲラスの鋼鉄の体には傷一つ付かない。
まあ、相性というのもあるのだろうが。
「ハッ、メタゲラスに傷付けたければ、核兵器でも持って来るんだな。メタゲラス、アイアンヘッド!」
メタゲラスは鋼鉄の頭を突き出して突進。
「君さー、非核三原則って知らないのー?地震だよー」
メタグロスはメタゲラスが突撃してくる前に地面を大きく揺さぶり、衝撃波を放ってメタゲラスを吹っ飛ばす。
「サイコバレット追加ー」
メタグロスは銃弾のような念動力を連射し、着地し損ねたメタゲラスに追撃する。
「くっ、ならこれでどうだ!グラビティコア!」
メタゲラスは頭上に超重力の黒い球体を作り出し、それをメタグロスに振り落とすように放つ。
しかし
超重力の球は、メタグロスに触れたと思ったら消滅してしまった。
「な、何が……?」
イリスは今までにない事態に困惑していた。
「……んー、どうも君は、インドアっぽいのに知識より経験を信じるタイプなんだねー」
フレイはやや呆れ気味に(フレイにしては珍しい表情だ)そう言った。
「グラビティコアは自分の重さを球体に乗せて相手にぶつける技だからねー。自分の重量が相手の重量より重ければ、相手はその重量に耐え切れず大ダメージを受けるけど、相手の方が重ければ、相手にとってその重量は大したことがなく、簡単に打ち消されちゃうんだよねー」
イリスは今まで、メタゲラスと戦った相手の中に、メタゲラスより思いポケモンはいなかった。だからグラビティコアの威力増加が普通になってしまい、このように相手の方が重いパターンを想定せず、失念してしまっていた。
「……ちなみに、そのメタグロスは何キロだよ?」
「このメタグロスの体重ー? えっとー……」
フレイは記憶を探り、メタグロスの情報を引き出し、そして
「550キロかなー」
「ごひゃっ……!?」
メタゲラスの体重は200キロ弱なので、そうなるとメタグロスの体重はメタゲラスの2倍を余裕で超えるということになる。
そら、いくら相手の方が重くてもグラビティコアが効かないわけだ。
「さて、そろそろバトル再開だー。メタグロス、コメットパンチだよー」
メタグロスは拳を構え、流星の如き勢いでメタゲラスに突っ込む。
「ぐっ、メタゲラス、ストーンエッジ!」
メタゲラスは突っ込んでくるメタグロスに鋭く尖った岩を無数に飛ばすが、しかしメタグロスも鋼鉄の体を有するポケモン。ストーンエッジなど砂粒のような物で、結果、飛来する岩はメタグロスの鋼鉄の体に砕かれ、砂と化した。
そしてメタグロスは拳を叩き込む。
「この距離だとまずいな……メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは地面から土砂を噴射し、メタグロスを引き剥がす。
「そこだ、アイアンヘッド!」
さらに鋼鉄の頭を突き出して突進し、メタグロスを押し飛ばす。
「メタグロス、サイコバレットで反撃だよー」
メタグロスは地面に爪を喰い込ませて体を固定し、銃弾のような念動力を連射する。
「構うなメタゲラス!アイアンヘッド!」
メタゲラスは襲い掛かる銃弾の嵐を無視するかのように鋼鉄の頭を突き出し、突進する。
メタゲラスの体には無数の銃弾が被弾するも、メタゲラスの鋼鉄の体には傷を付けることは出来ない。
そしてメタゲラスがメタグロスに突撃する、その時だった。
「メタグロス、地震だよー」
メタグロスは足を折り畳んだかと思うとその場に浮かび上がり、メタゲラスのアイアンヘッドを回避する。
「なっ……!しまった!」
メタグロスは攻撃をかわされて隙が出来たメタゲラスの頭上に移動すると、500キロを超える鋼鉄の体で、メタゲラスを踏みつけた。
いや、踏みつけたなんて生易しいものではない、蹂躙した、と表現すべき一撃だった。
地震そのままの一撃を喰らったメタゲラスは、流石にその攻撃には耐えられなかったようで、その場に崩れ落ちた。
「くっ……戻ってくれ、メタゲラス」
イリスはメタゲラスをボールに戻す。今回の失敗は次に繋がるだろう。
「あの強度と破壊力は脅威だな……だったらこのポケモンだ。頼むぞ、ディザソル!」
イリスが次に繰り出すのは、素早さが高いディザソルだ。しかもディザソルは攻撃力が高い。だからメタグロスにも有利に戦えるはずだ。
「下手に長引かせたりはしない。決めるなら一撃。ディザソル、辻斬り!」
「メタグロス、コメットパンチだよー」
ディザソルは超高速でメタグロスに突っ込み、メタグロスはそれを迎え撃つように拳を構える。
メタグロスは流星の拳を突き出すのと、ディザソルがメタグロスの脇を通り過ぎるのは、ほぼ同時に見えた。そして
「あー、メタグロスやられちゃったかー。しょうがない、戻って休んでてー」
フレイは戦闘不能となったメタグロスをボールに戻し、次のボールを構える——その前に。
「うん、やっぱりあたしもそろそろ本腰入れるべきだと思うんだよねー。あたしばっか休んでたら、皆に申し訳立たないしー」
ゾクリと
イリスの背筋に、何か冷たいものが突き抜ける。
「ま、端的に言うと——あたしも解放するよー」
そしてフレイは浴衣の右袖を捲くりあげ——驚くほど細く白い腕だ——そこに刻まれている、凍てついた翼を晒す。
「あたしに刻まれてるのはキュレムの右翼、そんじゃ行くよー」
次の瞬間、フレイの右腕から赤く濁った光が放たれる。
解放、したのだ。
「……うん。なんか力出てきたなー」
心なし、フレイの口調が安定しているような気がする。
「それじゃ、プラズマ団の境界を、刻んでいくよー」
今回はイリスとフレイのバトル。正直色々書きたいですが、本編が長過ぎて文字数がやばい事に。というわけで、あとがき短めで、次回もお楽しみに。